表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】異世界をフリマスキルで生き延びます。~いいね☆を集めてお手軽スキルゲット~  作者: 深見おしお@『伊勢崎さん』コミックス1巻9/27発売!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/292

90話 カレーライス

「イズミ、今日は馳走(ちそう)になる。これはつまらぬものだが」


 キースが親父さん宅の玄関で社交辞令のようなことを言い、手に持っていた葉っぱの包みを俺に手渡す。中身はワイルドボアの肉のようだ。俺はありがたく受け取りストレージに収納する。


「おーい、キースもラウラも挨拶なんていいから早く中に入りな! 俺は早くカレーとやらを食いたいんだよ!」


 すでにテーブルに着席しスプーン片手の親父さんが急かすように声を上げた。キースとラウラは顔を見合わせると、苦笑しながら家の中へと入っていく。


「もう、お父さんったら……」


 なんて恥ずかしそうに呟くクリシアだが、クリシアの視線もさっきからカレー鍋に釘付けだ。味見は俺だけがやって、クリシアにも食べさせていなかったからな。


「それじゃあさっそくカレーを食べてもらおう。今からよそっていくからなー」


 キースとラウラが嗅ぎなれないカレーの匂いにキョロキョロしながらテーブルに着いたところで、俺はライスクッカーの蓋を開ける。


 途端にもわっと真っ白な湯気が立ち込め、懐かしさすら感じる炊きたての米の匂いが俺の鼻に届いた。


 クリシアに用意してもらった深皿に、ホカホカの白米をたんまりとよそう。皿に盛られた米を見た感じでは、炊飯器で炊いたものと何も変わらないように見えた。


 カレーには色々と反応しながらも、米にはまったく興味を示さなかった親父さんが、ここで初めて鼻の穴をひくひくと広げながら感想を口にする。


「カレーは美味そうな匂いがするが、そっちの白いヤツの匂いはなんだかイマイチだな。雨が降った後の土の匂いみたいでよ……。それになんか白くて小さい虫の卵みたいに見えるんだが、本当に食っても大丈夫なのか?」


「ちょっ、ちょっとお父さん! そういうこと言うの止めてよ。私も匂いはともかく見た目は少し気にしてるんだから!」


 クリシアも見た目は気になっていたのか。たしかにこういう虫の卵ってありそうだけどさ。


「米は植物だよ。虫の卵じゃないから安心してくれ。それと匂いも、カレーと一緒に食べればまったく気にならないだろうしな。どうしても米が無理なら、パンにつけて食べても美味いよ」


 後で酒を飲むときに、パンにカレーを浸したものをツマミにしようと思ってクリシアに用意をしてもらっていたんだが、ちょうどよかったかもしれない。


 俺は米を盛った皿に、たっぷりとおたまですくったカレーをかけていく。


「まあ食わず嫌いになるかもしれないからさ、最初の一口くらいは米で食ってみてくれよ。まずは親父さんからな」


 トロトロと米の上にかけられていくカレーを見て、親父さんが呟く。


「よく見りゃカレーだって、見た目は完全にアレだよな……。よし、俺は見た目は気にしないことにするぞ!」


 親父さんがぐっとスプーンを握りしめる。虫だのアレだの言っときながら、気にしないことにできるのもカレーの香ばしい匂いが生み出す魅力なのかもしれないな。俺は盛り付け終わった皿を親父さんの前にドンと置いてやった。


「が、我慢できねえ、先に食うぞ!」


「ああ、食べてくれ」


 親父さんはスプーンでカレーと米をごっそりすくうと、一気に頬張り、目をくわっと見開いた。


「……うっ、うめえっ! これは止まらねえぞ! はふっはふっ――」


 そう言って後はひたすら胃の中にカレーライスを流し込む作業を続ける親父さん。どうやら気に入ってもらえたようだ。


 そんな親父さんの様子をしばらく眺めていると、ちょんちょんとクリシアに裾を引かれた。この物欲しそうな顔がカレーのおねだりじゃなければ色っぽいんだけどなあ……。


 とにかくさっさとみんなの分も用意しよう。さっきからヤクモに足をカリカリとひっかかれてて痛いし。


 そうして次々と皿に盛り付けたカレーをテーブルに置くと、それぞれが待ちかねたようにスプーンをカレーに差し込んで食べ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作『ご近所JK伊勢崎さんは異世界帰りの大聖女
~そして俺は彼女専用の魔力供給おじさんとして、突如目覚めた時空魔法で地球と異世界を駆け巡る~』

タイトルクリックで飛べます! ぜひ読んでくださいませ!

書籍「フリマスキル」発売中です!
ぜひぜひご購入をよろしくお願いします!

↓クリックで特集ページに飛びます。
i000000

作者Twitterはコチラ。更新情報なんかも流してます。お気軽にフォローしてくださいませ。
https://twitter.com/fukami040

「異世界で妹天使となにかする。」もよろしくお願いします!

i000000

i000000


ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] いや、麦も見た目そんな変わらんだろ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ