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【書籍化】異世界をフリマスキルで生き延びます。~いいね☆を集めてお手軽スキルゲット~  作者: 深見おしお@『伊勢崎さん』コミックス1巻9/27発売!


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217話 行きはよいよい帰りは

 キャリーワゴンを引っ張りながら、俺は湿地帯をひたすら走る。


 フロートのお陰で悪路はどうってことはない。ただ、行き道は沼や泥深い場所を気にせず通過していたけれど、今はそれらを避けながらグネグネと遠回りしている。その影響で思ったよりも時間がかかりそうな予感がする。


 日没まで十分間に合うと思っていたのに、あまりゆっくりとはしていられなさそうだ。俺は走るスピードをさらに早め――


「――おっ?」


 近くの藪に潜む一匹のソードフロッグと目が合った。しかし今は狩りよりも日没までに帰ることが優先だ。幸いソードフロッグはそれほど好戦的じゃない。


 俺はソードフロッグをスルーして、そのまま真っ直ぐ走り続ける。すると、ゲコッとひと鳴きしたソードフロッグは、ピョコピョコと跳ねながら俺の後を追いかけてきた。


 絡んできたのは想定外だが、フロートを駆使しつつ【俊足】スキルもある俺の走行速度は相当なものだ。追いつかれることはなさそうだし、距離を離せば諦めるだろう。


 俺は無視を決め込み、走り続けることにした。



 ――そうしてしばらくすると、今度は俺の【空間感知】が別の存在を捉えた。背後を見ると別のソードフロッグが二匹、目をぐりぐり動かしながら俺に向かってぴょんぴょん跳ねている。


 だがその視線は俺というより、背後のキャリーワゴンを見ているように感じた。……うーむ、もしかするとこのキャリーワゴンは、やたらとソードフロッグを惹きつける物なのかもしれない。


 前の世界の記憶だが、カエルってエサが無くても変わった見た目の疑似餌だけで簡単に捕まえられるんだよな。子供の頃、田んぼでカエル釣りして遊んだよなー。


 そんなことを思い出しつつも、俺はソードフロッグからの逃走を続ける。俺の足の方が早いのは間違いない。距離が離れていけば、そのうち諦めてくれるだろう。



 ――そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。



 距離を離してもソードフロッグが付いてきている気配がする。しかもソードフロッグだけではなく、それを餌にするバジリスクまでやってきて、そこからさらに別のバジリスクがリンク、そのうちもう一匹がリンク、もうひとつおまけにリンク、リンク、リンク。


 さらには物音に釣られたのか、狩りでは無視していたようなコウモリ、トンボ、モモンガみたいな小さめの魔物なんかも現れて――


 気がつけば、俺の背後を魔物軍団が追走しているような状況になった。なってしまった。


 ドドドドドドドドドドッ……! 激しい物音が背後から響いてくる。


『ヒッ、ヒイィィー! おっ、おい! イズミ! これどーするんじゃっ! どーするんじゃコレッ!』


 ヤクモが首を仰け反らせて迫りくる魔物軍団を凝視しつつ、念話でキンキン声を頭に響かせた。


「だ、大丈夫だって! 追いつかれたワケじゃねえし!」


 とはいえ、内心では心臓がバックンバックンだ。付いてきている魔物の数が尋常じゃない。


 ネトゲでこういうのあったよな。トレインってヤツだ。大量のモンスターを引き連れて走り回り、周囲を巻き込んで大事故を起こすという、はた迷惑なアレだ。


 幸いなことに集落の漁師なんかはとっくに帰っている時間帯。他人を巻き込む危険はないと思うが、なにより今は俺が危ない。


 かと言って、いまさらヘタに足を止めてしまえば魔物の群れに囲まれかねない。ちらっと背後を見ると、少しずつ俺からは距離が離れているように見える。このままいけば大丈夫か? こうなれば体力勝負だ。


 俺はストレージからスタミナポーションを取り出すと、片手で蓋を開けて一気にグビッっと飲み込んだ。


 すぐに身体の中の疲れがふんわりと消えていくのを感じ、その気持ちよさに足元が一瞬ぐらっとふらつく。


 俺は足を踏ん張りその感覚を耐え凌ぐと、背後の魔物たちから距離を離すべく、まだ先の見えないゴールを目指してさらに足を早めるのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 奇跡かけてマップ兵器と行きましょうか! [気になる点] よく目を覚まさないねエルフ娘。 [一言] 傍から見ると誘拐犯にも見えなくないね(;´∀`)
[良い点] とれーぃん とれーぃん はしってゆっけ♪ とれーぃん とれーぃん どこーまーでもー♪
[一言] 足の早いユニットで敵を引きつけて熱血必中幸運MAP兵器はお約束ですな
感想一覧
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