第六十八話、ケッコンシキ
潜砂艦、”アマテラス“は、地底湖の調査から帰って来た。
地底湖に”古代の海が広がっていること。
地底湖が、モンジョ古王国の”ヤマタイ湖“につながっていること。
「世紀の大発見かつ、超軍事機密だねえ」
事実、二機の飛行艇を乗せた、武装艦が王都”ヒミコ“の前まで行っている。
全隊員に、口外禁止が徹底された。
古アールヴ王家に連絡を入れ、地底湖内の調査は一時中止。
しばらくは、地底湖の周りを調査する。
◆
アールクの戴冠式が行われることになった。
同時に、ティオナと結婚式も行われる。
“アマテラス”のクルーたちも招待された。
国をあげて盛大に執り行われる。
ドウアラ王は引退して、北の平原にある都市に隠居することになった。
アールクの王としての最初の仕事は、“アールヴ首長国連邦”への挨拶である。
ドウアラ王も含めた、カサンドラ王妃の墓参りも兼ねた。
キャラバン船の一部が、王室用に改造される。
古アールヴに“竜砂帯”超えることができる船はない。
二隻に乗って行くことになる。
早急に、“竜砂帯“を越えられる船と、水晶を採取できる飛行船の購入が決まった。
「行ってきます」
国民の盛大な見送りだ。
アールクとティオナの新婚旅行でもある。
ニ艦がゆっくりと、王都”エンドラ“を離れる。
南の砂漠を目指した。
◆
古アールヴと新アールヴは順調に関係を深め、南方諸国に”砂水晶“が出回り始めた。
ゴールドラッシュならぬクリスタルラッシュが起こり、”竜砂帯“を越える船の数が増大している。
水晶の採掘場から、直接”ヤマタイ湖‘につながっている地下水路のことだ
“竜砂帯”を越えるよりは安全なルートである。
今、このことを知らせるため、新アールヴは、モンジョ古王国と関係を改善をしようとしているところだ。
水晶魔道具が、普及する先駆けであった。
◆
イオリは、実家のあるレンマ王国に帰っていた。
ファラクも一緒である。
二人の結婚式を挙げる為だ。
「飛行艇しか頭にない、うちの子が結婚できるなんて」
ファラクは、イオリの父に泣かれた。
クルックとフィッダ、他関係者も呼んでいる。
「もう、三ヶ月?」
マリアが、フィッダに聞く。
フィッダが自分のお腹を優しく撫でる。
「そうだよ、順調さね」
代わりにローズヒップが答えた。
キャラバンは、一つの家族。
母代わりである。
フィッダの後ろを、クルックが心配そうに動いていた。
「風が出てきた、お腹が冷えるっ」
クルックが、フィッダに膝掛けをかける。
良い父親になりそうだ。
イオリとファラクの結婚式は、レンマ王国方式で行われる。
ファラクは、白いウエディングドレスに“ツノカクシ”と呼ばれる白い帽子をつける。
白いドレスに銀色の魔紋が映える。
エルザードからイオリに、ファラクが受け渡される。
誓いのキスの後に、
「後ろと正面が同じになりますように」
永遠を意味するのだ。
司祭が聖句を唱えながら、二人の周りをゆっくりと回る。
二人もゆっくりとその場で回った。
レンマ王国特有の“マリッジサークル”という儀式である。
会場の人も相手がいれば一緒に回る。
「一生、一緒にいるのよっ」
「そのつもりだっ」
「よろしいっ」
ファラクは、花が全開になるような笑顔を見せた。
了




