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飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
砂漠の調査

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第六十七話、コダイノウミ

 リピートアフターミー、”砂上潜水飛行輸送船“

 休暇が終わった。

 いよいよ、地底湖の調査に入る。

 いつもは、砂に潜っているアマテラスだ。

 水の中でも問題はない。


 潜砂艦”アマテラス”は、地底湖に浮かんでいる。


「隔壁閉鎖」


「これから、誰も入ったことのない場所に入る」


「各所、警戒と監視を厳とせよ」


「ワルダ、ランダ、舞ってくれ」


「潜行」


「ダイブ、ダイブ、ダイブ」


 潜砂艦”アマテラス”が、潜水を始めた。


◆ 


 ”アマテラス”は藍色の水中を、垂直に潜っている。


 ピイイイン


 ピイイイン


 定期的に、三次元ソナーを打った。


「キャプテン、少し狭くなって、広がっているみたいです」

 ボトルのネックのようだ。

 余裕でエンシェントドラゴンが、行き来できるだけの広さはある。


 潜行を続ける。


「広いところに出ます」


「これは広いな」

 投光器の光が、闇の中に消える。


「水の色が変わった?」

 ブリッジで、マリア女史が言った。


「とりあえず、底まで潜ろう」

 エルザードが指示を出す。


「真っ暗ね」

 フィッダがとなりにいる、クルックに話した。


「何も見えないな」

 クルックが格納庫にある、丸いガラス窓から、外を見ながら言った。

 離れた別の窓に、イオリたちもいた。

 手の空いているものは、窓の外の監視の指示が出ている。

 何か異常があれば、報告するのだ。


「あれは、サメ?」

 フィッダがつぶやく。


「サメだ、でかい」

 クルックがフィッダの背中越しに見た。

「ブリッジ、左舷に巨大なサメがいるっ」

 伝声管に大声で言った。


「左舷に、投光器を向けろ」

 ライトの光が移動する。

 ”アマテラス”三分の一くらいの大きさのサメが、照らし出される。


「いや、でも、……」

 マリアは、そのサメに見覚えがあった。


「心当たりがあるのか?」


「……」


 サメは光に驚いたのか、サッと闇の中に姿をひるがえした。


「もう少しで湖底です」


「キャプテン、左舷前方、巻貝の様なものが泳いでますっ」


 巻貝に、いかの頭が生えている。

 貝の大きさが2メトルくらいあった。


「……アンモナイト……」

 マリアが呆然とつぶやいた。


 その時だ。


 ガブリッ


 暗闇の奥から、ミツクビのサメが突然現れ、アンモナイトに噛みついた。

 殻がバラバラにされた。

 食べ残しが、水中に舞う。


「GIDORADON,MEGALODON!!」 

 マリアが大声で叫ぶ。


 遥かな昔に絶滅したはずの、”メガロドン、ギドラ種”だった。


「イオリッ」


「ああっ」


 目の前で、アンモナイトが食べられた。


「絶滅してたんじゃあ」

 ファラクが驚きの声をあげる。


「なに?」

 フィッダとクルックが振り返る。


「メガロドン、ギドラ種、古生代のサメのはずだ」

 博物館で復元模型を、見てきたばかりだ。

 色は違うが。


「古代の海が残っているの?」

 ファラクがつぶやいた。



「濃度は違うけど、海水ね」

 マリアが言う。

 正に周りは、古代の海だった。

 

 最初にいたサメは、”メガロドン”で間違いなさそうだ。

 海底には、三葉虫がはっている。

 ウミユリもいた。

 

「三葉虫とウミユリは時代が違うんじゃ」

 アルがマリアに聞く。

 二人も、博物館で見たばかりである。


「それを言うなら、アンモナイトもずれるわ」 

「わからないけど、限られた空間で、絶滅せずに混ざったんじゃないかしら」


 その上を、ダンクルオステウスが悠々と泳いでいる。


 しばらく、周りを回った。


「キャプテン、ソナーに反応あり」

「横穴があります」


「キャラバン船の位置がわかるか?」

 方向指示器を見る。

 キャラバン船の距離と方向が矢印でわかる。


 迷子にはならないか? 


「入ってみよう」

「微速前進」


 “アマテラス”が入り口に近づいた。

 横穴の奥から、巨大な何かが飛び出してきた。


 巨大な二つの目。

 二つついたエビの尻尾のような触腕。

 横腹には、三角形のヒレがたくさん付いている。

 大きさは、“アマテラス”と変わらない。


「アノマロカリス・タイタニアだっ」


 コツッ


 一瞬、触腕がアマテラスを掴もうとする。

 ウニのような複雑な口が開いた。

 

「うわっ」


 ガリッ


 ひとかじりするも歯が立たない。

 投光器で光を当てると、身をひるがえし、暗闇に消えた。



 三日ほど、横穴を慎重に先に進む。

 竪穴が見えてきた。


「地上に出るかもしれない、浮上しよう」

 “アマテラス”は浮上した。


 途中、“首長竜”とすれ違う。


「ここを巣にしているみたいだね」


 ピイイイイン


 ピイイイイン


「もう少しで広い場所に出ます」


 どこかの湖底のようだ。


「ふむ、湖面まで浮上」

 浮上しても明るくならない。

 どうやら夜のようだ。


 湖面に静かに出た。


「周囲を確認」

 

「久しぶりの地上だぜ」

「月が綺麗ねえ」

「ここはどこだ?」

 

 広い湖だ。


 遠くの岸に、街明かりが見える。


「うわああ」

 双眼鏡を除いていたクルーが叫ぶ。


「キャプテンッ、あれっ、王都”ヒミコ“ですっ」

 モンジョ古王国の王都だ。


 ここは、ヤマタイ湖!!


「総員艦内に入れっ」


「緊急潜行っ」


 モント沖海戦から、約三年。

 まだまだ、モンジョ古王国と、仲直りしたとは言えない。


 王都の目と鼻の先に、武装艦が無断侵入!!


 幸い誰にも気づかれなかった。


 湖底の竪穴で、”首長竜“とすれ違う。


「ヤマッシーって本当にいたんだ」


 モンジョ出身のクルーがしみじみと言った。


 水晶都市国家アールヴと、モンジョ古王国の地下航路発見。


 ”砂上潜水飛行輸送船“という不思議な船種が、タタラバ造船所で、近い将来作られることになる。


 

 湖底水路の発表の後、


 “ヤマッシーは実在したっ”


 と新聞の一面を飾ったのである。

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