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飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
砂漠の調査

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第六十六話、ハクブツカン

 潜砂艦“アマテラス”は休暇の為、砂上都市“タルフィーヤ”に帰港している。

 二日間の予定だ。


「イ〜オリ、今日はここに行かない?」

 ファラクが、チラシを見せた。


「タルフィーヤ自然史博物館?」

 イオリがチラシを見た。


「古アールヴの歴史とか、水晶船の展示もあるみたいよ〜」

 ファラクもイオリとは、付き合いが長い。

 基本、イオリは飛行艇の整備で、休みを使うはずだ。


「へええ」

 水晶船のしくみかあ

「行こうか」

 イオリが、いそいそと腰を上げた。


「ふふふふ〜ん」

 オッケ〜〜

 ファラクが、勝ち誇ったように笑った。



 “タルフィーヤ自然史博物館”は、都市の中央にあった。


 入館料を払い入館する。

 正面のガラス越しに、巨大な“クリスタル”が浮かんでいるのが見えた。

 5メトルくらいの”オベリスク“のように見える。

 床の金色の魔術陣が、時折キラリと輝く。


「”コアクリスタル“だ」

 イオリが、見上げた。

「凄いなあ」

 ”都市の浮遊“と”給水“を担っていると、説明文に書かれている。

 

「都市の地下は、ほぼ全てが貯水槽って書いてあるわ」

 砂漠出身のファラクだ。

 水の大切さは、身に染みている。


 博物館は、”コアクリスタル“を中心に、螺旋状なっている。

 常にガラス越しに、コアクリスタルが見える。

 コアクリスタルを背中に、緩やかに上がりながら、展示を見ていくことになる。


 最初の展示は、砂漠にいた古代の生物だ。


「へええ、魚やワニの化石?」


「昔、ここいらは豊かな海だったみたいだよ」

 イオリが、アンモナイトの化石を、指差しながら言った。


「うひゃあ」

 ファラクが、可愛い声をあげる。


 巨大な古代ザメ、”メガロドン“の複製模型だ。


「ギドラ種?」

 さらに大きい、三つ首のメガロドンの模型があった。


 緩やかに坂を上がる。


 人類史の展示に入った。


「人類が、この世界に、喚ばれたのが、一万年くらい前みたいね」

 竜の女神に、大量に召喚されてだ。



 この世界は竜の世界。


 全ての人類は、異世界転移者の子孫である。


 この世界は竜の女神が創造したり、召喚したもので出来ている。

 しかし、“魔術“や”魔族”は違う。

 “竜の女神”を一方的に執着している“魔の神”が、この世界に勝手に送ってきているのだ。

 

 魔は、世界(女神)を侵す。


 ゆえに強力な力になるのだ。

 砂水晶は、“魔術”を抑え込む力が強い。

 “魔”をコントロール出来るということである。

 


「アールヴの民の一部が、“竜砂帯”を越えたのは千年くらい前か」

 砂漠を渡る民の絵がある。


「砂水晶に魔紋を入れる様になるのは、この後ね」

 ファラクは、自分に身体の魔紋を見た。


「凄いなあ」

 砂水晶の展示に入った。

 三十センチくらいの砂水晶で、船が浮く。


 

「い・き・ま・しょ・う」

 ファラクは、イオリを、水晶船の展示から引っぺがすのに大変苦労した。


 博物館を登り切った。

 コアクリスタルの上部が見える。


 展望台になっていた。


 眼下には、複雑な城塞都市の街並み。

 

 茶色い砂漠。


 透明な“紅の砂漠”。


 微かに洞穴も見える。


 イオリとファラクは、並んで見渡した。


 指を絡めて手を繋ぐ。


「あっ」


「あっ」


 ふと、横を見ると同じように手を繋いだ、アル評価官とマリア女史がいた。


「け、研究のために来ているのだ」

 マリアが、大慌てで手を離しながら言った。

 二人とも顔が真っ赤だった。

 



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