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飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
砂漠の調査

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第六十五話、サイクツ

 アマテラスは、艦体を地底湖の岸につけた。


「サンプルを集めるよ」

 色々な大きさの水晶を、アマテラスに乗せる。

 乗せきれないものは、記録水晶にホログラフとして写していく。

 飛行艇の格納庫が一杯になった。


「こんなに沢山の水晶は、初めて見ます」

 サーラが驚いていた。


「一旦帰ろうか」

 エルザードが、アマテラスに浮上の指示を出す。


 シュパアアア


 垂直方向の噴射に、地底湖の水面が波打つ。

 なるべく、ドラゴンの邪魔をしないようにゆっくりと上昇した。

 飛行艇二機もついてくる。


 地上で、ローズヒップと合流した。


「こりゃあ、たくさん取ってきたねえ」

「こちらに移しておくかい」

 水晶は、キャラバン船に移された。


 王都“エンドラ”に報告しに帰った。



 王都に到着した。


『これはすごいですよっ』

 担当官が興奮気味に大声を出した。


『まず、この国全体で取れる砂水晶の、約半年分あります』

 キャラバン船の倉庫に積まれている水晶を、指さした。

 

『大きさもさることながら、傷がほとんどないですね』

 別の担当官が、水晶を手に取った。

 砂の中を流れてくるから、傷はどうしてもつくのだ。


『どうやって掘り出したのですか?』


『ひろった』

 エルザードが気まずそうに言った。


『えっ』

 周りの担当官が振り向く。


『おいっ、このホログラフを見てみろっ』

 悲鳴が上がっていた。


『えーと』

 ホログラフを見せていたマリアが、担当官に詰め寄られている


『こ、これっ、5メトラルくらいあるっ』


「5 メトル?」

 

『しかも、この透明度っ』


「???」


『砂上都市の“コアクリスタル”に使えるっ』


 ちなみに現在、砂上都市は王都も含めて、五都市。

 前回見つかったのは、ほぼ百年前である。


 キャアアアア


 絶叫だ。

 

 次のホログラフに、同じくらいのものが、三つ写っていたのだ。


『ア〜ルク殿下〜』

 王室に報告が入る。

 

 国をあげての大騒動になった。



「あ〜、いや、それはちょっと」

 アル評価官は、困っていた。


「売って、ください、アマテラスを」

 王国の重鎮が、頭を下げる。

 丁寧に新アルヴ語だ。


 現在、水晶を取りに行けるのは、アマテラスだけである。


「キャプテン〜」

 資金や資材の管理は、主計課のアルの担当だ。

 余りにひつこいので、エルザードが丸投げしてきたようだ。

 エルザードと目が合う。


 プッとエルザードが吹き出した。


「う、売っちゃいますよっ、アマテラスッ」


「冗談だよ、冗談っ」

 エルザードが大笑いした。


 結局、調査のたびに水晶を持ち帰ることと、資金も含めて、全面的な協力を取りつけた。


 最終的には、レンマ王国から飛行船を買うことになるのだが、それは別の話だ。



『こちらアマテラス、出港許可を』


『こちら、タルフィーヤ、出港どうぞ』

『気を付けて行ってきて下さい』


 砂上都市“タルフィーヤ”は、“紅の砂漠”のすぐ近くまで移動していた。

 協力の一つとして、砂上都市“タルフィーヤ”を専門に派遣してくれたのだ。

 取れる水晶の利益は、計り知れないのだが。


「まず最初は、コアクリスタルを回収だな」

 地底湖の安全を、確認しながらの作業だ。


「エンシェントドラゴンの住処なら、エサになる巨大生物がいるからな」

 とりあえず、地底湖の岸にはいないようだ。


 何度か往復し、コアクリスタルになれそうな水晶は、五つになった。

 

 王国に記念日が作られた。


 ”五都市追加記念日“である。



「う、うわあ」

 ローズヒップは思わず声を出した。


 バシバシ


 パリパリ


 船の外からすごい音がする。

 キャラバン船は、竪穴に降りたアマテラスを待っていた。


 ”紅の砂漠“に”砂嵐“が来ている。


「お、恐ろしいい」

「絶対に窓やシャッターを開けるんじゃないよっ」

 凄い勢いで、水晶のカケラが宙を舞っている。


 砂嵐が去った。


「この切り口っ」

 まるで鋭い刃物で切られたようだ。

 仕舞い損ねた木のテーブルが、バラバラにされていた。

 

 このことは、全隊員にホログラフ付きで、周知された。




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