第六十四話、チテイコ
ゴ○ラの背びれを、思い浮かべていただけると。
オアシス都市を後にして、 二隻は東へ進む。
遠くの方に、竜の台地の崖が見える。
『もう少しで“紅の砂漠“です』
少しずつ砂に水晶の欠片が混ざり、キラキラと輝いている。
「全員なるべく船の外に出ないように」
しばらく前進すると、
シャラララ
と水晶のかけらが擦れる音がしだした。
透明な水晶のかけらで船底が透けて見える。
「全船停止」
「風が収まっているうちに、飛行艇を偵察に出す」
エルザードが指示した。
キャラバン船から二機の飛行艇が発進する。
最初に見つけたのは、フィッダの”イザナギの目“だった。
「あそこに大きな穴が見える」
「行ってみよう」
クルックがそちらに飛ばす。
”アマテラス“が、余裕で入れるくらいの竪穴が空いている。
そこの方は暗くて見えない。
クルックはアマテラスに報告した。
「一旦帰ろう」
二機の飛行艇は帰投した。
◆
「ふむ、降りてみるか」
アマテラスのブリッジだ。
「そうねえ、行ってみますか」
マリア女史が答える。
イザナミやイザナギを改造したのと同じように、アマテラスも改造されていた。
姿勢制御用のジェットが、全て”風水晶“に交換されている。
「並の飛行船と、飛行能力は変わらないからねえ」
「アマテラス、アマノトリフネモード」
「ランダ、ワルダ、舞ってくれ」
前後左右の艦体につけられた、水晶フィンが開く。
小さな補助翼を開いて、アマテラスはふわりと空に浮かんだ。
◆
「可動式の投光器をつけよう」
キャラバン船に帰投した、イオリが言った。
「そういや、つけれたわねえ」
ファラクだ。
夜間に活動するように角度が変えられるライトがつけれる。
『結構深そうな穴だったからな」
イザナミとイザナギの可変翼の前の左右根元にライトがつけられた。
キャラバン船は、竪穴の淵で留守番である。
アマテラスが、ゆっくりと竪穴の上に移動する。
その左右を、二機の飛行艇が並んで降りていった。
ピイイイイン
ピイイイイン
アマテラスの三次元ソナーの音が響く。
飛行艇とアマテラスの投光器でも、底は暗く光は届かない。
慎重に降下した。
「ソナーに感、地下に巨大な空間の反応」
ホログラフに映し出された。
「地底湖よっ」
フィッダが、言った。
投光器の光が、水面を照らす。
地底湖は、底が見えないほど深い。
「これは」
地底湖の岸には、大小様々な水晶が積もっていた。
光を反射しキラキラと輝く。
「すごい」
「着水させる」
アマテラスと二機の飛行艇は、地底湖に着水した。
アマテラスの甲板に人が出てくる。
イオリたちもキャノピーを開けた。
「この水が、砂漠のオアシスに流れてるんだと思う」
水晶も一緒に流れるのだろう。
「湖で、水晶?」
マリア女史が考え込んだ。
ファラクが、イザナミの翼の上から湖を覗き込んでいた。
「?」
底で何かがキラリと光る。
「うわっ」
ファラクは、驚きの声を上げた。
湖の底から三体のエンシェントドラゴンが、浮かび上がってきた。
「水晶竜だ」
細長い水色の身体。
小さな翼。
水晶で出来た背びれ。
背びれの水晶の一部が剥がれ落ちた。
アマテラスと同じくらいの大きさのドラゴンが、周りを囲む。
首を水面から出して物珍しげに見てくる。
「し、刺激するなー」
エルザードが拳を握りしめた。
ブリッジのガラス越しに巨大な顔が近づく。
基本的に竜は人に友好的である。
しばらく見た後、静かに去って行った。




