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飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
第二章、砂漠を越えて

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第五十七話、パトロール

「発見された」

「監視を強化しているな」


 前方には、二隻の水晶艦がいる。

 潜砂艦“アマテラス”の三分の一くらいの大きさだ。

 

『私が呼び掛けてみよう』

 イグラットは元将軍である。

 すんなり通してくれるといいのだが。


『こちら、タルフィーヤ前太守、イグラットだ』

『外国の特使を、王の元へ案内している』

 イグラットが、水晶通信機に言う。


『こちら、パトロール艦だ』

『竜腹門の臨検をうけず、侵入した不審な船がいると聞いた』

『臨検及び、武装解除を命令する』


『これは、ガート宰相の厳命だ』

 

『そうか』

『……すまない、交渉は決裂した』

 イグラットが、エルザードに振り向いた。


『こちら、アールヴ首長国連邦、 特使、 エルザードだ』

『臨検 と 武装解除は 受け入れられない』

 当然である。

 相手に通信する。


『実力で 通らせて もらう』


「全艦戦闘準備っ」

「飛行艇、飛ばせっ」

 ブリッジが、赤色灯で赤く染まった。



 シュパアアア


 飛行艇”イザナミ”とイザナギが、スクランブル発進。


 イオリとファラクが乗る”イザナミ”が、丸く砂煙をあげながら、低空を飛行する。


 その後ろを、クルックとフィッダの乗る、”イザナギ”が少し高度を上げてついていく。


「一旦、上空をフライパスする」

 イオリだ。


「了解、フォローする」

 クルックが答える。


 ”イザナミ”が可変翼を閉じながら加速。

 二艦の上空を飛びこえようとし。


 バウウウウウウウ


 二艦から、オレンジ色のミシン目の様な、”火炎弾”が連射された。


 

 水晶艦の前部甲板に、機関砲が設置されている。


『と、飛んでるっ』

『近づいてくるぞっ』


『落ち着けっ、”連射式火炎弾機関砲”用意っ』

 細長い銃身が空を向く。


『火炎弾符、装填』

 機関銃に横についた、箱型のマガジンに、短冊の束を入れる。


『早いですっ』


『発射っ』


 短冊が横に送られ、スタンプで起動の紋章が入れられる。

 水晶の前の送られ、”火炎弾”が砲身から飛び出した。


 バウウウウウウウ


 短冊は灰となって、反対側に舞った。

  

「イオリッ、距離を取れっ」

 クルックが叫ぶ。


「分かった」

 さらに加速して直進。


 ”イザナギ”は高度を取る。


「測距、頼む」


「んっ、出来た」


 クルックが”アマテラス”に伝える。


「測距、きました」


「威嚇射撃だ、二艦の真ん中に落とせっ」


 キイイイイイン

 ズドオオオン


 二艦の真ん中に、赤い炎の柱が立った。


 水晶艦は、ホバークラフトである。

 二艦は、爆風に吹き飛ばされ、横転し砂に埋まった。


『”王の元に必ず行く”と宰相に伝えろ』

 イグラットが、二艦に言った。


 ”アマテラス”は、横転した二艦の間を通り過ぎた。


 

 王都に近づくにつれ、警戒は厳しくなった。

 昼の内は潜航してその場にとどまり、夜間に移動する。

 昼間だ。

 艦橋深度で停泊している。


 隊員たちが、格納庫に白いマットをひいて、格闘訓練中である。

 ”アマテラス”の乗組員は、海兵隊所属である。

 カーゴパンツにタンクトップの海兵隊員が十人くらいいた。


『私も、参加していいかい?』

 戦巫女である、カーリーだ。


『おお、 いいぜ』

 180センチ近い大柄な隊員が、古代アルヴ語でたどたどしく言う。

 エルウッド隊長だ。


『使っていいかい?』

 円月輪の根元から外した、紅い紐を取り出した。

 小さな丸い分銅がついている。

 当たってもケガをしないようになっていた。


 カーリーと、エルウッドが白いマットに上がった。

 ”組み手”だ。

 お互い礼をする。


 エルウッドが拳を構える。


 ビュウウウン


 カーリーの分銅が弧をかいて飛んだ。 


 エルウッドが、前にかがんで避けながら前進する。


『いい踏み込みだっ』

 カーリーが紐をたゆませ、エルウッドの腕に絡みつかせた。

 

 エルウッドが、逆に紐を掴み、カーリーを引き寄せる。


「はっ」

 気合の声と共に、カーリーの腕をつかみ、投げた。 


 カーリーがクルリと回りながら立った。


 ビュン

 

 手元に分銅を戻す。


「やるねえ」


『やるじゃないか』


 ふっ


 二人は、身体の力を抜いて、握手した。


 オオオオオ


 周りの人が、盛り上がった。


『王宮で、王の謁見の間に行くまでに、ガートの私兵と戦闘になるだろう』


 イグラットは、カーリーに海兵隊との連携訓練を指示していた。


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