第五十二話、デザートワーム
『 』内は、古代アルヴ語です。
「前方の双胴船、デザートワームに襲われています」
船の後ろに、デザートワームの群れが見える。
「イザナミ、イザナギ、スクランブル発進」
「全速前進、助けるぞ」
エルザードが叫んだ。
「アイアイ、キャプテン」
潜砂艦“アマテラス”は、主砲を展開しながら前進した。
◆
双胴船の後部は、オープンデッキになっている。
『何故、こんなところにデザートワームの群れが』(『』は、古代アルヴ語です)
黒髪を、ロングのポニーテールにした女性だ。
褐色の肌に、青い目、175センチくらいの身長。
肌に銀色の魔紋が輝く。
『切り裂け、円月輪』
赤い組紐のついた、巨大なチャクラムを投げた。
大人の胴体くらいの太さの、デザートワームの首が落ちる。
『行けっ、神鳴る力、”招雷”』
黒髪を、肩まで伸ばした女性だ。
褐色の肌に、青い目、160センチくらいの身長。
ゆったりとした着物をまとっている。
下半身は洋袴だ。
手には複雑な魔紋が描かれた短冊。
片方の手には、小さな墨壺がついた小筆。
小筆で一文字、書き足した後、短冊をデザートワームに投げる。
ドドオオオン
短冊に雷が落ちて、デザートワームが二匹倒れた。
『ティオナ様、数が多すぎますっ』
円月輪を、赤い紐で戻しながら言う。
『くっ、踏ん張りなさい、カーリー』
新たな短冊を取りだした。
『ひ、姫様~』
船の操縦席から、女性が声を出す。
『何ですか、サーラ』
チラリと前を見る。
『えっ』
巨大な船が見えた。
空には、鳥の様なものが二つ飛んでいた。
キシャアア
バキイ
『あっ、推進フィンがっ』
デザートワームに、船のフィンが壊され、砂水晶がむき出しになる。
30センチくらいの、砂水晶の周りには、金色の魔紋が回っていた。
◆
「こちら、イザナミ、デッキに二人の女性を発見」
イオリが報告する。
一人が、赤い紐のついたラウンドシールドの様なものを投げる。
デザートワームの首が落ちた。
「あれは、戦巫女っ」
ファラクが驚いた声を上げた。
ドドオオン
「うわっ、雷?」
イザナギに乗った、クルックが言った。
「短冊に、魔文字を書いた……」
イザナギの”目”で見た、フィッダが答えた。
一体のデザートワームが船に体当たりをした。
「攻撃する」
「クルックは、測距を頼む」
飛行艇“イザナミ”と“イザナギ”は、”魔術式機関砲ホウセンカ”と、”ニードルスプレッド機関銃”を一門ずつ装備している。
イオリは、セレクターを”ニードルスプレッド機関銃”に合わせ安全装置を解除。
急降下して、デザートワームに機銃掃射した。
パパパパパシュ
デザートワームの群れに砂の柱が立った。
ギャアアアア
弾が当たったデザートワームが叫び声を上げる。
「群れの中心を教えてくれ」
クルックが、“イザナギ”を操りながら、聞いた。
「ん、方位〇□、距離×△」
“イザナギ”の目の魔紋が一瞬、銀色に輝いた。
“アマテラス”に報告する。
「こちら、“アマテラス”、焼夷榴弾がいくぞ」
飛行艇二機が、その場から退避した。
キイイイイイン
ドコオオオン
デザートワームの群れの真ん中に、火柱が立った。
◆
『な、何っ』
カーリーが驚きの声を上げる。
空から、何かがおりてきた。
ズドドドドドン
目の前に、砂の柱が沢山立った。
さらさらと砂が降りかかる。
ギャアアアア
『デザートワームの苦悶の声?』
次の瞬間、
キイイイイイン
ドコオオオン
『キャア』
目の前が炎で真っ赤に染まった。
何体かの、デザートワームが、空中に放り出される。
カーリーが後ろに倒れた。
『カカ、カーリー』
しゃがんだティオナが、カーリーに抱き着いた。
『何が起こってるんだああ』
カーリーが叫んだ。
白に近い茶色に塗られた、巨大な船が近づいて来た。
「だ~~=~ぶ、で=か?」
巨大な船のクルーから、声を掛けられるが言葉がわからない。
『ティオナ様、後ろに』
カーリーがティオナをかばう。
『アルヴ語?でもわからない』
ティオナが声を出した。
『古代アルヴ語、ですね』
白衣を着た女性が声をかけてきた。
『その言葉なら、分かります』
ティオナが伝えた。
◆
「古代アルヴ語が通じます」
マリア女史が、周りに言った。
日本語で言うと、古文の様なものだ。
何とか会話は出来るだろう。
「とりあえず、安全な艦内に来てもらおう」
エルザードが言った。
三人の、女性を艦内に招待した。




