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飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
モント沖海戦

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第四十一話、ラッカ

「そこまで、レンマ王は、奴隷売買をおにくみか?」

 トライヴ提督は、近づいてくる巨大な飛行艦を見ながら言った。


 船巫女を乗せた、砂上用飛行艇の開発。

 カティサーク工廠を通して、アールヴへ潜砂艦や、新造戦艦の技術供与。

 遂に直接、新造の飛行艇空母まで派遣してきた。


「ひいいいい」

「なんだあれは」

「巨大な船が空をっ」


 『ヤタノカガミ』に負けず劣らずの巨艦が、空からゆっくりと近づいて来る。


 砂嵐がある為、砂漠の民は、空を飛ぶものになじみがない。

 飛竜ですら、見たことがないものもいる。

 天が落ちてきた様な光景に、パニックを起こす兵が出てきた。


「まずいっ」


「ヒッコウテイが沢山来ました」

「燃やされてますっ」

 ドウケンクラスの艦隊のからの無線だ。、

 黒い煙が大量に上がっている。


「ドウケンクラス、一時撤退しろっ」

 トライヴが、命令を出す。


「ええいっ、うろたえるなっ」

「全砲門、一斉射撃っ」

 重戦艦、五艦に命令を出した。


 ドドドドドドオン

 ドドオオン


 ラムアタックで突っ込んだ防壁に、至近距離で大砲を浴びせる。

 第一防壁の半分が粉砕された。


 オオオオオオ

 ヤッタ、ヤッタ


 うろたえていた兵が、湧き上がった。



 飛行艇空母”キサラギ“は、二枚目の防壁の上空まで前進していた。


 ドドドドドドオン

 ドドオオン


「第一防壁が~」

 メルル―テ大佐が、艦長席に座っている。


「どうします」

 ”キサラギ“に大砲などは、装備されていない。


「ん~」

「こちら艦長~、これからかなり無茶なことをする~」

「全艦、対ショック姿勢、吹き飛びそうなものは固定~」


「艦を180度回頭~」

「装甲板下げ~」

 艦体の横につけられた、可動式の装甲板が下がる。

 艦体を守るようになった。


「サイドスラスター吹かせ~」

 地上の重戦艦の上空に横を向いたまま移動。

 十字に重なった。 

 メルル―テがおもむろに手を上げた。



「バリスタ、打てっ」

 トライヴが大声を出す。

 何を考えている?

 横を向いて近寄ってくる艦を見た。

 上空で重なった。


「!!」

「まさかっっ、全艦後退っ、急げええ」


 ヒュウウウウウ


 巨大な飛行艦がそのまま落ちてきた。



「前後、気嚢(風船)から、ヘリウムガス強制排出~」

「ローター反転~」

 メルル―テが腕を下ろす。


「“キサラギ”、緊急降下~」

「体当たり~」


 メルル―テは、巨大な飛行艦を、地面にたたき落とした。


 ズドオオオオン


 落ちた場所に、巨大な砂の柱ができた。


 ムツキ級飛竜空母の血を引く、空母”キサラギ“の防御力は、極めて高い。

 レンマ王国、国立工廠伝統の、シタデル構造は極めて堅牢だ。


「被害報告急げ~」 

「気嚢のヘリウムガス充填~」

「“キサラギ”上昇~」

 メルル―テが命令を出した。

 

「各部、被害なしっ」

 砂地がクッションになったとはいえ、防御力の高さが際立った結果となった。


「え~と」

「メルル―テ大佐ってどういう人?」

 イオリが、後席のファラクに聞く。

 飛行艇”イザナミ“で偵察中だ。

 

 目の前で、巨大な飛行艦が、敵艦の上に、()()()。 


 ファラクは、メルル―テと面識がある。

「う~ん、シルルート空軍の開設に携わった、教導部隊隊長だったはず」

「結婚して、レンマ王国に来るまでは、近衛隊でウルトラエースだったらしいわ」

「シルルートの、クーデターの解決にも貢献したらしいし」

 ファラクが言う。


「…………」

 イオリは、とりあえず、すごい人ということが分かった。



 ゲホゲホ


 ”ヤタノカガミ“のブリッジだ。

 巨大な飛行艦が落ちてきた、衝撃にクルーたちは床に倒れている。


「アイーシャ、無事か?」

 トライヴが周りを見渡す。


「大丈夫~」

 アイーシャが、立ち上がってトライブの方に来た。


「被害報告っ」

 伝声管に言った。


 ブリッジの中の照明が落ちて暗い。

 前部が砂にのめり込んでいた。

 ブリッジの窓ガラスに、砂の中が見える。


「艦体は無事です」


「大砲、バリスタの被害甚大」


「一番マスト、折られました」

 ”ヤタノカガミ“は特に、太いマストを使っている。

 その太いマストが折られた。


 ブリッジの照明が戻る。


「電源、回復しました」


「くっ、全艦隊に告げる」

「補給所まで、撤退」

 トライヴが、無線で命令した。


 モンジョの艦隊が、バリスタを搭載してから、初めて戦線が後退した。



 モンジョ側の被害

 ジンギクラス ”ヤタノカガミ“ 中破

 ドウホコクラス  重戦艦   中破、二


 ドウケンクラス   戦艦   大破、一

                中破、二


 

 アールヴ側の被害

 アマツカミ級   巡洋艦   大破、一

                中破、二


 第一防壁、          大破

 


 となった。


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