表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
モント沖海戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/70

第四十話、サンセン

 巨大な飛行艦が、“マギノ”川を越える。

 この川は、レンマ王国とヘタリナ王国の国境になっていた。


 飛行艇空母“キサラギ”は、全速航行中である。

 

「アールヴの国境の都市“モント”を守らないと~」

「北の砂漠に出る航路が、モンジョの支配地になるわね~」 

 メルル―テが、艦長席に座って言った。


「うん、今やっと南の国で、奴隷売買を根絶できそうなのに」

「モンジョに取られたら、また復活しそうだよ」

 イナバだ。


 実際、そのためにカスマールがモンジョに行っている。

 “エンバー家”を筆頭に、まだまだ奴隷売買に手を出そうという貴族はいた。 


「レンマ王も、それを止めるために、空母“キサラギを派遣したんだよね」

 メルル―テ達は、王の勅命を受けていた。


「“砂嵐”にだけは気を付けていこう~」

 メルル―テが、艦長帽を被りなおした。



「ドワイト整備長、これは何ですか」

 ”キサラギ“の飛行艇格納庫だ。

 飛行艇部隊の飛行隊長である、ヒイラギ中尉が聞いた。

小柄で、元気一杯な女性だ。


 目の前に、二メトルくらいの筒状のものが、床に置かれていた。

 

「これはな、新型の焼夷爆弾じゃ」

「中には、点火剤と油が詰まっておる」 

 ドワーフの男性が答える。


「へええ」


「ま、落ちたところは火の海じゃの」


「砂漠の船は、マストと帆で動くんでしょう?」

 ヒイラギだ。


「帆は、よく燃えそうじゃなあ」

「がはははは」

 ドワイトが大声で笑った。 

 

 その後、飛行艇空母”キサラギ“は、ヘタリナ王国とアールヴの国境近くまで到着した。


 砂漠地帯に入る。


「艦長、前方に砂嵐です」


「機関停止~」

「着陸して、錨を下ろせ〜」

「砂嵐が収まるまで待機~」


 飛行艇空母、”キサラギ“は、都市”モント“の目と鼻の先まで来ていた。



 砂嵐が晴れた。

 抜けるような快晴だ。


「しまったっ」

 サザル防衛司令官は、大声を出した。

 双眼鏡には、第一防壁の壁際まで移動した、モンジの“重戦艦”四艦が見える。


「砂嵐の中を移動して?」

 参謀が呆然とした声を出した。


「ドウケンクラス戦艦、六艦が右から防壁を回って来てますっ」

 今半円状に、モンジョ側の防壁しか浮上させていない。


「全艦、防壁を回り込んでくる戦艦に対応っ」

「出来る限り時間を稼いでくれ」

 

 くっ、その間に第一防壁が破られるか

 

 サザルが指示を出した。  



「ドウケンクラス戦艦、は回り込め」

 トライブ提督だ。

 ”ヤタノカガミ“のブリッジにいる。


「アイーシャ、舞ってくれ」

 トライヴが立ち上がった。


「うふふふ」

 

 チュッ 

 

 アイーシャが、人差し指と中指を唇に当て、トライブに向かって差し出す。

 ブリッジの中央にある、円形の踊り場の中央に立った。


 シャラララララン


 肉感的は踊り子の衣装をまとったアイーシャが舞い始める。


 オオオオオオ


 ブリッジのクルーから歓声が上がった。

 誰からと言わず歌いだす。



 砂の色した~♪


 シャラン


 大海ワダツミを~♪


 シャララン


 帆立てて進む益荒男マスラオは~♪


 シャラン


 イニシエの時を踏み越えて~♪


 シャラララララン


 我ら、モンジョは栄えたり~♪




「”ヤタノカガミ“、送風、躁砂、軽量の魔紋の励起率、120パーセントッ」


「はははははあ」


「二、三、四番艦は我に続けええ、吶喊とっかんっっ」

 トライヴは腕を前に振り下ろした。


 ”ヤタノカガミ“を先頭に、モンジョの重戦艦四艦は、第一防壁にラムアタック。


 バキバキバキイ


 巨大な戦艦が、防壁に突き刺さった。



「どうしても止めろお」

 回り込んでくる敵艦隊を指差して、サザル司令が叫ぶ。

 回り込まれて、港を破壊されれば、それでおしまいである。


「敵、ドウケンクラス、一艦、沈黙」

「味方、アマツカミ級、一番艦、中破」


「すぐ、中破した艦をすぐ下がらせろ」


 ドドオン

 ドドドオオオン


 敵味方の艦が目で見える距離での、泥臭い殴り合いが始まった。


「アマツカミ級、三番艦、ラムアタックを受け大破っ」


「くっ」

 ただでさえある戦力差が、さらに開いた。

 まずいっ

 サザル司令官がこぶしを握り締めた。


 その時、


 頭上を、五個の黒い影が通りすぎた。


「こちら、レンマ空軍飛行艇空母”キサラギ“所属」

「飛行艇、”ネコジャラシ“及び、”ゲッカビジン“四機」

「参戦しますっっ」


 隊長機である”ネコジャラシ“に乗った、ヒイラギ中尉が元気一杯に言った。 


「焼夷爆弾、投下っっ」

 五機の飛行艇から、十発の焼夷爆弾が敵艦隊の頭上に落とされる。


 敵艦隊は炎に包まれた。


 都市に影を落としながら、飛行艇空母”キサラギ“が、壊されようとしている第一防壁へ近づいていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ