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飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
アマテラス

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第二十二話、ダイブ

ランダ:意味、アラブ語で”銀梅花”

ワルダ:意味、アラブ語で”薔薇”

 月夜の砂漠に、巨大な船のシルエットが、二つ浮かび上がっている。


 今、飛行艇空母“キサラギ”から、潜砂艦せんさかん”アマテラス“に、飛行艇”イザナミ“と修理用の部品が受け渡されていた。

 潜砂艦“アマテラス”の後部には、’イザナミ“用の飛行甲板があり、そこから搬入している。

 

「たしかに、受領しました」

 眼鏡をかけた20代前半の男が、書類にサインをする。


「もらってくぜえ」

 横に並んだ艦長帽を被った大柄な男が答えた。

 砂漠の民なのだろう、褐色に黒髪、青い目をしている。

 歳は20代前半のように見える。


「なぜ、夜に受け渡すんだろう?」

 イオリがけげんな表情ををする。


「あ~、うん、すぐにわかると思うよ」

 ファラクがあいまいな表情で笑った。


 受け渡しが終わった。


「じゃあ、元気にするのよ~」

 メルル―テがファラクを軽く抱きしめた。


「しっかりな」

 イナバが、イオリの肩を軽くたたく。


 その後、”キサラギ“のクルーの手の空いているものは、イオリとファラクに手を振りながら、”キサラギ‘が浮上、月夜の空にゆっくりと離れて行った。



「潜砂艦”アマテラス“へようこそ」

 艦長帽を被った男が言った。

「とりあえず、中に入ろうか、すぐに移動するから」


 中に入り分厚い扉を閉める。


 ブリッジに移動した。


「はじめまして、艦長の、エルザード・シャラーム・アールヴ中佐だ」

「一応、王族だ。 上から七番目だけどな」

 父親は一緒だが、子供が多すぎてファラクとは面識がない。


「飛行艇“イザナミ”の操縦者兼、船主のイオリ・ミナト少尉です」

 ブリッジの後ろの壁にかかげてある旗を見た。

「うっ」


「飛行艇、“イザナミ”の船巫女、ファラク・シャリー・アールヴ中尉です」

「お初にお目にかかります」

 頭を下げた。


「ん、とりあえずアジトに向かう、こまかいことはその後だ」

「野郎どもっ、潜航だっ」

 伝声管に向かって大声で叫ぶ。


「アイアイ、キャプテンッ」

 野太い声が帰って来た。

 エルザードがいつの間にか、片目に白色で骸骨の描かれた、黒い眼帯を着けている。


 イオリには、どう見てもかかげててある旗が、“海賊旗”にしか見えなかった。

ーーもしかして、私諒船なのか?


 二人は、自分たちの居室に案内された。


「しばらく、()()からよ、部屋の戸を閉めといてくれよな」

 どう来ても海賊の手下にしか見えない男が、鋼鉄製の扉を指差した。


「えっ」

「やはり、も、潜るんですか?」

 イオリが、青い顔をして聞いた。

 やっと、砂の中を潜って移動するということが、実感できたようだ。


「そ、潜るんです」

 厳つい男がにこやかに答えた。


 ガコン


 扉の隔壁が閉じられた。



 ブリッジだ。

 大きな転輪が中央に備えられている。

 その前には、大きなコンパスと、付近の地図がはられた台座。

 地図の上には小さな、“アマテラス”のミニチュアが置かれている。


 転輪を、エルザードが掴んだ。

 伝声管にむかって叫ぶ。


「隔壁閉鎖」


「隔壁閉鎖~」


「潜航用意っ」


「ランダ、ワルダ、舞ってくれっ」


「「いいよう~、旦那様~」」

 二人の少女の声が、伝声管から聞こえてくる。

 双子だろうか、ほぼ同じ声をしていた。


魔紋励起率まもんれいきりつ、120パーセント」

 ブリッジにある機関席に座った機関士が言った。

「機関正常」

「空気発生機、異常なし」


「操砂の魔紋、発動」

「ヘリウムガス、潜航レベルまで、排出っ」

 艦上部の排出口からヘリウムガスの白い煙が出た。

 艦の自重で砂にもぐり始める。


 ザザザザザザ


「ダイブ、ダイブ、ダイブ」


 艦の周りに、円形の波紋を描きながら、潜砂艦“アマテラス”が、砂の中に姿を消した。


「キャプテン、航行深度だ~」


「潜航停止」

 ヘリウムガスを必要な分、気嚢(風船)の中に発生させる。

 飛行船の技術の応用だ。

暗車スクリューに動力伝え」


 ザンザンザン


 後ろから、暗射スクリューの回る振動が伝わってくる。


「速力、10にて、前進」


「進路を、アジトへ」 


 エルザードが、転輪を軽く回す。

 地図の上の“アマテラス”のミニチュアが、艦の方向に対応して向きを変えた。


「各部異常なし」

 

 『アマテラス』が砂の中を移動し始めた。

 


 ザザザザザ


 イオリは、かすかに聞こえてくる音とともに、艦が下にしずんでいくのを感じた。

「ひうっ」

――いやいや、無理い

 部屋の布団に震えながら頭を突っ込んだ。


「と、止まった?」


 ザンザンザン


 今度は、斜めに傾いて、移動し始める。

「ひい」

 ――す、すすす砂の中を進むなんて信じないぞ~

 震えながら、布団の中で丸くなった。

 

 その頃、隣の部屋のファラクは、


 ザザザザザ


「あらあら~潜るのね~」


 ザンザンザン


「進みだしたわ~」

――想像以上にゆれないわね~

 しばらくした後、眠くなって布団に入って寝た。

 よく眠れたそうだ。

  

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