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飛行艇を愛でていたら、砂漠の踊り子さんに愛でられることになったのです。熱砂の潜砂艦物語  作者: トウフキヌゴシ
第一章、イザナミ

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第十二話、コクハク

 次の日、”シラフル湖”に向けて二機の”ネコジャラシ”が飛び立った。

 帰りはイオリ機に、ファラクが乗っている。

 やはり行きと同じように、”ミナヅキ”が先に飛行して、後ろを”キサラギ”がついて来た。

 イオリの飛行は丁寧で穏やかだ。

 渓谷の景色を楽しみながら、ゆっくり飛行している。

「気分が悪くなったらすぐ言ってくれ」

 イオリが、後席のファラクに振り向いてにこりと笑う。


「つっ。 ありがとう」

 ファラクの顔が赤い。

 しばらく飛んだ。

「……あのさ」

「もう少しで、”イザナミ”の操縦者を選ぶじゃない?」


「ああ、そうだな」

 多分この遠征で、”ネコジャラシ”の機種変換訓練は終了する。

 ”ネコジャラシ”は”イザナミ”の試作機だ。


「もし、私がイオリを選んだら……」

イザナミと一緒に砂漠に来てくれる……?」


「ああ、いいぞ。 砂漠の西方の”アールヴ”だったな、確か」


 ファラクの出身国である、”アールヴ首長国連邦”は、砂漠の西方に点在するオアシス都市が集まって出来た国である。


 ヘタリナ王国と砂漠を分ける、”アイール山脈”は、西方までは完全に続いていない。

 西でヘタリナ王国と平地で繋がっていた。

 昔から、ヘタリナ王国やレンマ王国との交流は盛んである。


 約10年前に、”アールヴ”のハーレム出身の”踊り子”が、”魔紋”について”ハナゾノ帝国”の”魔術学園”に留学したことがある。

 これを切っ掛けに、ファラクが”魔術学園”に行くことと、”イザナミ”の開発に繋がった。


 ”アールヴ”の東方には、”モンジョ古王国”があるのだが、これから追々(おいおい)出てくることだろう。



「……ありがとっ」

 ファラクは肩の力を抜いた。

 イオリは、船巫女が船主(”イザナミ”の場合は、操縦者)を選ぶ真の意味を知らなかった。



 クルックは、一人だ。

 好き勝手に飛んでいる。

 狭い渓谷内を自由自在に飛んだ。

――ああ、いいぜ

――飛んでる時は、全てのものから自由だ

 イオリ機を置き去りにして飛び去った。

「おっと、先行していた空母”ミナヅキ”に追いついちまったぜ」

「んんっ」


 三千メトルを超える山々が連なる、白眉はくび山脈の山頂部には万年雪がかかった部分もある。

 そこには、アイスドラゴンたちの巣があった。

 このルートはたまに、飛行艦に興味を持ったドラゴンが見にくることがあった。

 前方に、空母”ミナヅキ”より少し大きなエルダードラゴンが、”ミナヅキ”と並んで飛んでいた。

 時々”ミナヅキ”の窓を覗きこむようにしている。

「ははは、おもしれえっ」

 ”ネコジャラシ”を加速。

 巨大な白いドラゴンに急接近した。



 ”シラフル湖”に帰ってきた。


「これで、”ネコジャラシ”の機種変換訓練は終了する~』 

「引き続き”イザナミ”の操縦者選考に入る~」


「イオリか、クルックか、どちらか一人だ~」


「「了解」」




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