男の変化
第2話です。第1話から読んでいただくとより楽しめると思います。
何とか体の方は作り終えた男は、この体を動かす頭脳を作り始めた。男にとっては、自分の孤独を紛らわせる事が出来れば十分なので、そこまで複雑な思考を出来る様に作るつもりは無かったが、今後、自分が老い、介護が必要になった時、単純な命令しか聞けないアンドロイドは恐らく使えないと考えた男はより複雑な「感情」を理解出来る様にした。
実際、男にも「感情」とは他者とのコミュニケーションを円滑に行う為の手段、程度にしか考えていなかった。
アンドロイドを作っている最中、男は驚愕した。ここ最近の自分の心境の変化の目まぐるしさに。
研究室に籠り始めてすぐは己の研究に没頭する事が出来、他者からの一切の接触の無い事に歓喜していたのに、今ではあれ程に鬱陶しく思っていた「他者」を自ら作ろうとする程に求めている。
男は戸惑った。何故ここまで自分は変わったのか。変わった原因は何なのか。答えは1つだった。「女性」だ。
いつも笑顔を見せもしなければ、返答もしない自分に屈託のない笑顔を見せながら今日の出来事、面白かった事を話す女性に男は惹かれていた。
男は自分のこの感情の名前を知らなかった。だが、
その答えを持つであろう女性はもう、研究室に来なくなって久しい。男はこう考えた。
「人は自分の持っていない物を持っている人に惹かれる」と。
この名称不明の感情は、研究を辞め、生きる目的を失いかけていた男に「孤独への恐怖」と恐怖から逃れる為に「アンドロイドを作る」という新たな生きる目的を男に与えた。
男は自分にこの名称不明の感情をくれた女性に感謝しながらアンドロイドの思考パターンの基礎を作っていく。
彼女が自分にくれた物がある様に、自分もこのアンドロイドに自分の持つ全てを上げようと考えながら。
男は既に最初に与える物を決めていた。
名前だ。
どうでしたか?
駄文ではありますが、これからもゆっくり投稿していこうと思います。
よろしければご指摘をお願いします