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⑼『生と死に関する記録』
⑼『生と死に関する記録』
㈠
とめどない雨によって、空位から落下する現象の水滴は、やがて海に帰るのである。海の何と広大なことか、と思う反面、海によって、大陸が満たされ、やがて大陸が消失する時、我々は海の何たるかを知るだろう。人間に必要不可欠なものが、人間を脅かす、それは、矛盾と言う言葉を想起させる。
㈡
美しい旋律は、生の衝動を生き生きと表現している。誰にも奪われない、一個人の一生というものは、どれだけ言葉を付加しても足りないくらい、荘厳であるし、自分で自分の一生を閉じることすら出来るという、贅沢なものである。まさに、それは死を意味している。
㈢
海と大陸が、生と死を表すかは、疑問である。ただ、大陸上で、人間が、戦争や病魔によって、死に絶えていく時、死を逆照射する形で、生が浮かび上がる訳であって、それらを包み込むのが、海という存在ならば、海にも生と死、大陸にも生と死が、根差しているという、一つの記録が創造できるだろう。




