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始業式
充希と奈央と三人で教室にいた。
昨日のテレビが面白かったとか、今日の数学が面倒だとか、そういう他愛もない話をしていた。
チャイムが鳴って、二人ともそれぞれの教室へと、戻っていった。
気付けばそこはベッドの上だった。
「夢かよ」
夢の続きを見ようと二度寝を試みるも、寝ようと思うと、眠れないものだった。
そういえばもうすぐ、奈央が来る。支度をせねば。
身支度を整えて、床に置いてあった黒ずんだオレンジを、ゴミ箱へ入れる。
「おはよう!不登校」
「もう不登校じゃありませんー」
太陽が眩しい。入学式のことが頭を掠める。充希はもうどこにもいない。
こうやってふと、充希を思い出す時がある。そんなときは、自分の内に充希がいると感じる。そして懐かしく、どこか切ない。
二学期が始まる。
終