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おはよう、不登校  作者: ひめりか
8/9

 手紙を持ったまま、逆の手で、テーブルに置かれたCDを、手に取る。充希が死んだのが、もう遠い昔のことのようだ。

 この手紙を書いている充希の姿が、目に浮かぶようだった。凄く嬉しかった。

 充希のこと、決して忘れない。忘れられる筈がない。

「俺も……」

「憲!」

 ハッとして見ると、奈央がいた。少し忘れていた。

「あのさ、デート、しない?」

「どうした急に、告白?」

「そう、付き合ってほしいところがあるの、因みに拒否権はないから」

「はー。今日は俺、モテるなー」

「調子に乗るな」

「いてっ」

 叩かれた。


 後日、二人で近くにある海に来た。前に三人で来たところだ。

 泳いでいる人が沢山いた。

 海辺から少し離れたところの砂浜を、歩いた。

「懐かしいな」

「そうね、思い出すな、充希と三人で来た時のこと」

「あの時は大変だったな」

「そうそう、充希が溺れちゃってね」

「また来たかったな、次来たときは、楽しませようと思っていたのに」  

 海が太陽の光を乱反射して、キラキラしていた。


 海が夕日に照らされて、オレンジ色に輝く。

 海を満喫したであろう人々が、各々に帰り支度をしている。

「憲」

「なに」

 二人で海を眺めながら話す。

「学校に来て」

「なんで」

「……寂しいから」

「……少し考えさせてくれ」

「分かった」

 三か月も学校を休んでいたのだ。簡単に決められるものではなかった。

 日の入りチャイムの曲が流れる。

 ふと時計を見ると、六時半だった。

 隣を見ても充希はいなかった。代わりに奈央と目があった。その瞳は揺れていた。それに映った俺は、どうだったのだろう。

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