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おはよう、不登校  作者: ひめりか
7/9

CD

 夏休みになった。

 憲はあれから結局、一度も学校に行かなかった。

 退屈で憂鬱な日々を過ごした。塞ぎがちになって、暗くなった。死んだら楽になれるかと、考えたこともあった。


 充希が死んでから、三か月が経とうとしていた。

 百か日法要に呼ばれた。

 大人は結構楽しそうに、食事をしていた。

 その場には奈央もいた。

 帰り際、奈央に「話がある」と言われて、二人でファミレスへと立ち寄った。

「はいこれ」

 手紙とCDだった。

「これは?」

「充希から憲にって、渡されてたもの。CDは良く分からないけど。ごめんね、遅くなって。機会がなくて……。ってあんたが学校来ない所為じゃない、全く」

「あはは……悪いな。このCDはコンサートに行ったときに、充希に貸してたやつだ。返そうとしてくれてたんだな」

「何それ初耳。私も行きたかった」

「二枚しかチケットがなかったんだよ」

「あっそ」

 手紙の入った封筒の裏に、日付が書いてあった。充希が亡くなる二日前だ。

 中の手紙を取り出す。

 それは震えた字で書かれていた。



 拝啓   進藤 憲様


 私はもうすぐ死んでしまうと思うので、手紙を書こうと思います。人生初の遺書になるなー。ちょっと楽しい。

 学校にはちゃんと行ってる?

 ご飯は三食しっかり食べてる?

 憲は私が死んだら、いつまで経っても下を向いていそうなので、この手紙を書きました。

 憲とは幼稚園の頃からの付き合いだね。

 二人で行ったコンサートはとっても楽しかったね!

 憲が歌ったチャイムの曲は、幸せな気持ちになった。

 私が沖に流されたときは、憲が助けてくれて、本当に嬉しかった。あの時の憲は、とってもかっこ良かった!あれは惚れちゃったよ。

 小さい頃から泣き虫で、迷惑かけてごめんね。

 病気になって、冷たく当たっちゃって、ごめんね。

 いっぱい、いっぱい、ごめんね。

 もっといっぱい話したかったな、一緒に居たかった。

 私のこと忘れないでね。

 絶対だよ!

 憲と出会えて本当に良かった。


 ありがとう。

                                 岡本 充希



 小学校を卒業した春休み、憲は好きな歌手のコンサートのチケットが、二枚当たったので、充希を誘った。

 コンサートは盛り上がった。

 充希も楽しんでいるようだった。

「なかなか面白かったね」

「あ、そう!じゃあ今度おすすめのCD、貸してあげるよ」

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