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第64話 練習

「それでは、練習を始めましょうか」

「はい。お願いしますね、努君」


 僕と葵さんは現在、書庫から移動して誰もいない訓練場に来ている。

 なぜかというと、葵さんが決めたやりたいことというのが魔力操作の練習だったからだ。

 一人で練習しても中々上手くいかないので、直接教えて欲しいとのことだった。


 練習なんかでいいのだろうかとも思ったが、本人がやりたいと言ったことだ。

 口出しするのは野暮というものだろう。


「まずは魔力の確認から始めましょう。自分の中に流れている魔力を認識することは出来ますか?」

「それは問題なく出来ます」

「では、その魔力を操ることは?」

「……出来ないです。私、自分の体の外に魔力を出すことがどうしても出来なくて」


 ふむ、魔力を自分の体の外に出せない、か。

 どうすれば解決できるだろうか。

 

 ……魔力を外に出す、というイメージ自体があまりよくないのかもしれない。

 もっと具体的なイメージを持って魔力を操ろうとすれば、なんとかなるのではないだろうか。


「そうですね。まず、以前渡したリビングナイフを出してもらえますか?」

「はい」

「そうしたら、そのリビングナイフに魔力を流し込んでみてください」

「これに、ですか?」

「ええ、そうです。魔力を外に出すのではなく、魔力をリビングナイフという入れ物に流し込む、というようにイメージしてみてください」

「分かりました、やってみます。……出来た。努君、出来ました……!」


 よかった。

 どうやら仮説は正しかったようだ。

 より具体的な魔力の移動先をイメージすることによって、魔力を操るコツを掴める。

 無属性の僕にとってはその性質上、対象に魔力を流し込むというのは基本的なイメージだが、他の属性にとってはそうではないようだ。


「上手くいってよかったです。でも、魔力操作はこれで終わりじゃないですよ。続いて魔力の活性化もやってみましょう。筋肉を力ませるのと同じように、魔力を力ませてください」


 葵さんが僕の話を聞いてコクリと頷き、集中を始める。


 このアドバイスは受け売りだが、魔力の活性化に関してはこのイメージが一番しっくりくる。

 これで上手くいくといいが。


 そうして、葵さんの様子を見守っていると、突然リビングナイフと葵さんが強い光を一瞬放った。

 あまりの眩しさに目を閉じる。

 光が消え、目を開けると……葵さんが倒れていた。


「葵さん!」


 慌てて葵さんに近づき、喉に指を軽く当て、脈を確認する。

 脈拍はある。

 どうやら、魔力を全て活性化させて使い切ってしまい、気絶してしまったようだ。


 今は後悔をしていても仕方ない。

 取り敢えず、葵さんを安静に出来る場所に連れて行かなければ。


 僕は葵さんを背中に担ぐと、城の医務室へと向かった。

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