第45話 魔物?
ということで、早速黒剣を鑑定してみたのだが、その結果がこれになる。
名称:魔鉄の双剣
説明:魔鉄を材料に鍛えられた、二本で一組の剣。並みの剣より鋭い切れ味と、魔力を斬ることが出来る性質を持っている。多少の刃こぼれあり。
ふむ、魔力を斬ることが出来るのか。
ここで気を付けたいのは、あくまで斬れるのは魔力だということだ。
発動済みの魔法は、既に魔力が魔法という現象に変化したものなので、斬ることは出来ないだろう。
さて、情報が表示されたのはいいのだが、これだと材料の魔鉄の性質がまったく分からない。
そこで、スキルの詳細を確認するときのように、魔鉄の表記に意識を集中させてみる。
すると、魔鉄の情報も確認することが出来た。
名称:魔鉄
説明:鉄と魔石の合金。鉄よりも硬く、魔力を帯びている。
鉄と魔石の合金、か。
どうにかしてこれでナイフを作れないだろうか。
リビングナイフを強化したい。
材料はある。
鉄は鉄製の装備を再利用すればいいし、魔石に関しても在庫がある。
王都で情報収集をしているときに耳に入ったのだが、魔法士がよく持っている杖の先端に付いていた紫色の宝石、あれが魔石らしいのだ。
あとはどう加工するかだが……魔物の力を借りるしかないだろう。
鍛冶が出来る魔物なんているのか疑問ではあったが、探してみると見つけることが出来た。
これを魔物と言っていいのか、怪しいところではあるが。
この魔物もグリフォン同様少々スペースを使いそうだったので、管理室から広間とは別方向に道を作り、部屋を作ってそこに召喚していく。
そうして出てきたのは、魔物というよりかは施設、鍛冶炉だった。
名前をヘルファーネスといい、その大きさは高さ二メートル横三メートル奥行き三メートルほど。
赤黒いレンガで構成されたその鍛冶炉に開いた穴からは、炎が燃え上がっているのが見える。
一見少し大きいだけの普通の鍛冶炉に見えるが、当然実際はそんなことはない。
この魔物は、召喚した目的である鍛冶をこなすことが出来るのだ。
まずは作ってもらいたいものの見本として、元々はリビングナイフだった鉄ナイフを炉の前に持って行った。
ヘルファーネスに目がついているわけではないが、他の無機物系の魔物たち同様周りの様子は見えているんじゃないかな、多分。
次に、材料として杖から取り外した魔石と、鉄鎧などの鉄製の品々を大量に炉の中に放り込んでいく。
もちろん合金にして欲しいという指示を忘れずに。
僕のすることはこれだけだ。
見本を見せて、材料を入れる。
本当にこれだけ。
あとは待っていれば炉の穴から完成品を吐き出してくれるらしい。
すごい手軽さである。
ただし、その分やはり値段は高い。
ヘルファーネスを召喚するのに使ったポイントは4000ポイント、地形改造分も含めると4010ポイントになる。
まぁ、時間はかかるものの、リビングナイフ全員の強化に繋がるのだから、これぐらいの出費は安いものだ。
こうして、ヘルファーネス関連の作業をしているうちに、どうやらクレイゴーレムたちの作業が終わったようだ。
早速現場に向かって確認すると、前まで土に埋もれていた新しい出入口からしっかり外の景色が見えるようになっていた。
こちらの出入口は冒険者に利用されるわけにはいかないので、幻影を常時発生させるトラップを使って丘の斜面の幻影を発生させ、一見出入口など存在しないかのように見せかける。
丘に突っ込むような人がいない限りは、これで大丈夫だろう。
これでようやく準備が整った。
手間をかけた分、役に立ってくれるといいが……ここまで来た以上考えていても仕方ない。
いよいよグリフォンを召喚していこう。




