第4話 ダンジョン改造計画
戦闘を終えて、休憩したいところだがそうも言ってられない。
何せ、このダンジョンはまだただの横穴なのだ。
侵入者を撃退出来るようにしなければならない。
ということで、ダンジョンの改造に着手していこうと思う。
『ダンジョンの改造の方法を教えましょうか?』
「是非お願いします」
そう言って、俺は気を利かせてくれた頭の中の声に手早く返事をする。
『では、最初にダンジョンのステータス画面を開いてください』
俺は前にやったのと同じようにして、ダンジョンのステータス画面を開く。
『この画面を開いたまま、ダンジョンコアに触れて作りたいダンジョンの形をイメージをすれば、それに見合った量のソウルポイントを消費して現実に反映します。ただし、この方法は地形作りにしか使えません』
ふむふむ、意外と地形は簡単に変えられるんだな。
試しに通路の壁に分かれ道を、十メートルほどの長さで作ってみる。
すると、ソウルポイントが1減った。
どうやら燃費もいいようだ。
『では次にステータス画面でカスタマイズと言ってみてください』
「カスタマイズ」
そうすると、ダンジョンに設置出来るトラップや魔物などの、改造リストが表示された。
消費するソウルポイントも一緒に載っている。
例えば[階層拡張:1000ポイント]といった具合だ。
リストを一通り眺めた後、俺はダンジョン一階層目の構想を固めたので、ステータス画面に戻って早速地形を作り変え始めた。
まず、俺はダンジョンの範囲内を全て迷宮に作り変える。
階層の範囲は、大体一平方キロメートルぐらいらしい。
明かりも必要かと思ったが、ダンジョンの壁は弱く発光しているらしく、視界の確保は問題なかった。
ダンジョンコアがある部屋は移動させることが出来たので、位置を迷宮の最奥地に変更。
ここまでで、412ソウルポイントの消費である。
続いて魔物を配置する。
今回配置するのは、一体20ポイントのウォールゴーレムだ。
戦闘能力は一切無いが、様々な壁に擬態する事が出来る。
こいつを五体配置して、迷宮の構造を変化させてもらう予定だ。
最後に設置するのはトラップだ。
トラップは主、にウォールゴーレム君を守るために使おうと考えている。
いくら壁に擬態出来ても、壁が消えたり現れたりしたら怪しさ満点だろう。
そこで、ウォールゴーレム君を観察させないために、毒霧トラップをウォールゴーレム君の配置場所の手前に設置するのだ。
ウォールゴーレム君は無機物系の魔物だから、恐らく毒は効かないだろう。
毒霧からの逃走経路を予想して、剣山付きの落とし穴やギロチンも設置しておく。
トラップの発動条件は任意と自動があったが、任意に設定する。
出来るだけ侵入者を引きつけてから発動させたい。
仕上げに入り口に侵入者を知らせるセンサーを設置して、反応したら脳内に直接連絡が来るようにしておいた。
便利なトラップもあるものだ。
ここまでで残りは178ポイント、だいぶ使ってしまった。
ウォールゴーレム君に配置場所の指示がしっかり伝わるか心配だったが、問題は無いようだ。
声を出さずとも、思考で指示を出せば伝わるようである。
声で言っても伝わるのだが。
ついでに、付与魔法をウォールゴーレム君に試してみた。
直接手で触れて、自分の魔力を流し込み、活性化させる。
相手の体の中で身体強化を使うイメージだ。
……見た目はあんまり変わらないが堅そうになった気がする、多分。
試してみて分かった事だが、付与魔法は永続ではないらしい。
永続強化だったらかなり使える魔法だったんだが、ちょっと残念だ。
さて、最後の問題は俺の武装である。
戦闘用の魔物が居ないため、俺が戦わなければならない場面が多くあるだろう。
そこで丸腰というのは心もとない。
そんな理由でリストを眺めていると、使えそうな魔物を見つけた。
リビングソードという魔物だ。
魔物だけどソードだし、剣だし、使えるよね?
と、思って召喚してみた。
ちなみに150ポイントである。
出てきたのは、刃渡り六十センチメートルほどの両刃の普通の鉄剣だ……浮いている事を除けば。
浮いているだけかと思ったら、今度はふよふよと移動し始める。
「君を装備してもいいかい?」
そう言うと、リビングソードは刃の方からこちらに向かってきた。
それに反応して、僕は思わず身体強化を使ってしまう。
リビングソードは俺に突き刺さる前に静止すると、申し訳なさそうにふよふよと柄を差し出してきた。
どうやら悪気は無かったようだ。
何はともあれ、ダンジョンの改造はひとまず終了である。
住処の安全を確保したところで、飯をどうしようかなどと考えていると、侵入者を知らせる連絡が入った。
俺は侵入者を始末するため、躊躇わないようにするため、スイッチを切り替えた。