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第33話 状況整理

「さて、では改めてお互いの状況を整理しましょうか。僕も君たちに何があったのか知りませんから」

「は、はい。じゃあ召喚されたときのことから話しましょうか」


 彼女が落ち着いてきたところで、クラスメイトの方に何があったのか聞く。

 僕がダンジョンマスターになったことも異常事態だろうが、クラスメイトが全員勇者になっていたことも十分異常事態だろう。

 一体何があったやら。


「――ということがあって、今に至ります」

「どうせ神がいるならもうちょっと人間に優しくあって欲しかったですね」

「全くです」


 二人そろって目が遠くなる。

 王道ファンタジーのような人間思いで平和を愛する光の女神等はいないのだろうか。

 現実は非情だ。

 僕が言えたことじゃないかもしれないけど。


「しかし厄介な事になりましたね。まさか勇者は勇者でも違うスキルを持っているとは。皆が皆、君レベルのスキルを持っていない事を祈りますよ」

「種類が違うので比較はできませんけど、私と同じくらい厄介なスキルを持ってる人はいますよ」

「……それは、できれば聞きたくなかったですね」


 どうやら[鑑定]というスキルがあるらしく、それでクラスメイトもとい勇者組は持っているスキルを調べてもらったらしい。

 それで、勇者組は全員スキル[勇者]と[言語理解]を持っていたようなのだが、その情報がこれだ。


 勇者LVMAX:全身の体力を大幅に向上させます。魔力の基礎量を大幅に上昇させます(常時発動)

 言語理解LVMAX:人間が使っているあらゆる言語を理解出来るようになります(常時発動)

 

  さっき召喚されたときの話を聞いて、どうして言葉が通じるか疑問に思っていたのだが、どうやらこのスキル、[言語理解]のおかげのようだ。

 便利なものである。


 次にスキル[勇者]についてだが、魔力の基礎量が増えるというのはどういうことかと言うと、まず、魔法をたくさん使えるようになる。

 魔法を使うと、それに応じた量の魔力が疲労して、回復するまで待たなければ再度使えなくなるのだが……魔力量が増えれば、全ての魔力が疲労しきるまでに使える魔力が増えるわけだ。


 そして、大規模な魔法を放てるようになる。

 僕は無属性なので分からないが、一般に魔法というのは、体の外に魔力を出して、操作し、活性化させることによって、火だの水だの光だのを出すらしい。

 だから魔力量が増えれば、体の外に出せる魔力量も増えて、大規模な魔法が撃てるというわけだ。

 しっかり操作しきれるかどうかはともかく。


 結論としては、スキル[勇者]に関してはさほど問題ないと思われる。

 具体的にどの程度の上昇なのかは気になるが、僕も身体の方の基礎ステータスは中々に強い。

 魔法とスキルを使っている前提だけど。

 だから、これだけじゃ多分負けない。

 そう、これだけなら。


 勇者組はなんと人によって別々の強力なスキルを得ているというのだ。

 スキル[勇者]と[言語理解]は、召喚されたという共通の経験によって得たものだと考えれば辻褄が合うが、これは一体どういうことだろうか。

 取り敢えず例として、彼女のスキル、[未来視(みらいし)]を見ていこう。


 未来視LVMAX:数秒先までの物体の動きの軌道が見える(任意発動)


 任意発動スキル=カタカナという推測が間違っていたのはさておき、このスキルの効果を確認していく。

 具体的にこのスキルがどういう働きをするかというと、例えば僕が剣を振ったとする。

 すると、その剣がどこを通るのか事前に完全に把握することが出来るらしいのだ。

 物理的な動きの完全予測……はっきり言って、相当強い。


 このレベルのスキルを持っている奴がいると考えると、一対一でも無策で勇者を倒すのは厳しそうだ。

 まぁ、無策ではそもそも一対一にすら持ち込めないだろうが。

 と、いうことで――


「状況を整理したところで今後の動きを決めましょうか。覚悟はしていましたが一筋縄ではいかなさそうです」


 念入りに準備をしていこう。

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