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第28話 王都にて

 ロルムの街と同じように、冒険者バッチを見せることで検問を抜け、僕は城壁の中に入ることができた。


 今は昼頃なのだが、流石は王都と言うべきか、人が多く、馬車も多く、賑わいもすごい。

 心なしか、街並みも鮮やかに見える。

 おかげさまで、盗み聞きによる情報収集も順調だ。


 今回、僕が王都で得たい情報は二つある。

 一つ目は、僕のダンジョン関連の情報だ。

 

 もう一般の冒険者が来るようなことは滅多にないとは思うが、あの街の様子を見るに、僕のダンジョンは存在するだけで脅威になってしまっている。

 そうなると、今までは冒険者パーティーなどの小グループに散発的に攻められていただけだったのが、騎士団などの大グループに組織的に攻められてしまうかもしれない。

 

 そういった場合、対冒険者を想定している僕のダンジョンはちょっと厳しい。

 なので、攻められる前にその兆候があれば事前に察知しておきたいのだ。

 安全第一である。


 二つ目は、勇者関連の情報……それも、より詳しいものだ。

 とにかくあらゆる関連情報が欲しい。

 人数、魔力属性、スキル、容姿、性格、どの情報があっても困らない。

 容姿が分かれば見分けがつくようになり、性格を理解すれば相手を騙しやすくなる。

 人数、魔力属性、スキルに関しては説明するまでもないだろう。


 多分、僕は結構強くなっているとは思う。

 思考を全力で回転させて、無属性魔法のポテンシャルを限界まで引き出し。

 数十人の冒険者のスキルを食って取り込み、自分のものにしている。

 百本のナイフを操り、圧倒的な手数で攻撃できる。

 だが、明確に勇者以上の強さを持っているという相手と戦ったことがない以上、油断も慢心も出来ないのだ。


 取り敢えず、僕は王都をぶらぶら歩いて、立ち話レベルの情報を集めていく。

 ついでに、腹ごしらえもしてしまおうか。

 節食LV4が健在なので、そこまで腹が減っているわけでもないのだが、食事は食べられる時に食べておいたほうがいいだろう。

 

 ということで、食事処に行き、銅貨四枚でパンと野菜スープを頼んで食べた。

 味は……まぁ、現代日本と比べるのは酷というものだ。

 過去の勇者諸君には、戦争と魔王退治だけでなく、生活の改革もやって欲しかったところである。


 さて、食事を終えたところで立ち話から得られた情報をまとめていこう。

 まずは、僕のダンジョンに関してだ。

 

 しっかりと話題にはあがっていて、「ほっといていいのか?」と危惧する声もあるようだが、特に組織的にダンジョンの制圧に乗り出すという話は出てきていないらしい。

 恐らく王国内の組織は帝国との戦争の準備で、街に対して実質的な被害を出していないダンジョンに構う余裕なんてないんだろう。

 一安心といったところか。


 次は勇者に関して。

 どうやら勇者たちは召喚されてから城で暮らしているようで、城下町の方にはやってきていないようだ。

 実際のところは、こっそり来ていそうなものだが。

 僕が勇者なら、しばらくの間ずっと城の中に缶詰めになるなんてごめんである。


 ちなみに、この世界の住民の髪色は結構カラフルなのだが、特に黒髪が目立つといったことはない。

 カラフルの中に黒色も含まれているからだ。

 だから日本人でも、普通の恰好なら外出してもバレることはないと思う。


 ともかく、勇者に関してはあまり情報の集まりが芳しくない。

 ……荒業を使うしかないかな。

 正攻法では厳しいと判断した僕は、王城に向けて歩みを進めることにした。

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