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第27話 移動

 今回の外出は長くなる予定なので、前回より念入りに準備をする。

 幸い、戦利品の中に必要な物は一通り揃っていたので、背嚢を引っ張り出してきて、その中に必要なものを詰め込んでいった。

 外套が破れていて使えないので、リビングナイフたちにも一旦背嚢に入っていてもらう事にする。

 

 他の内容物はロープ、ランプ、空の袋、傷薬、お金、手拭い等々だ。

 背嚢を背負って、最後にアクアマリンスライムが入ったポーチを装着すれば準備完了である。

 今日は寝て、明日に出発することにしよう。


 翌朝、僕は街へ向かった。

 街を歩いていると、住民たちが頻繁に僕のダンジョンの話をしているのを耳にする。

 どうやら、僕のダンジョンは住民の話題もとい不安の種になっているようだ。

 

 大丈夫ですよ皆さん。

 今、僕には街を攻める余裕はありませんから。


 この街に長居する理由もないので、さっさと用事を済ませてしまおう。

 まず、僕は服屋で破れてしまったものと大体同じ黒いフード付きの外套を買った。

 そして、人目のない路地裏で、リビングナイフを外套の裏に移しておく。

 背嚢がガチャガチャうるさかったので助かった。

 

 次に、水の入った革袋と堅焼きパン、干し肉等の保存の利く食料を購入した。

 実はこれから王都に向かう予定なのだが、馬車でおよそ二日かかるらしい。

 まさか道中で一緒に馬車に揺られている人を殺してスキルを食べるわけにはいかないので、しっかり普通の食べ物も準備しなければならない。

 王都の方に、この街のスラムみたいな都合のいい場所があるとも限らないしね。


 この街での用事はこんなものだ。

 冒険者として馬車の護衛依頼を受けて、王都に向かおうかとも考えたが、ダンジョン探索の依頼を受けて放置したままの件で色々言われそうなので、金に余裕もあるし、普通に客として馬車に乗せてもらうことにした。

 ちなみに、残金は金貨換算で十五枚ぐらいだ。


 昼頃、乗合馬車が出発する時間になり、僕と同乗者たちは街を出た。

 道中何もトラブルが起きないといいなぁ。


 王都につながる道なので、比較的しっかり整備はされているのだろうが、それでも乗り心地は最悪だ。

 ガタガタ揺れて尻にダメージを与えてくる。

 すごく身体強化を使いたくなった……が、耐える。

 いざという時に魔力を消耗していては、笑いごとでは済まされない。

 

 移動中は暇なので、皆雑談をして時間を潰しているようだ。

 かくいう僕は、【俺】の方を出して対応させている。

 同じ相手とずっと話しているからか、話題に関して詳しいことまで喋っているため、聞いたことのない情報もあって助かる。

 

 中でも耳よりな情報は、王国も帝国に対抗するために勇者を召喚したというものだ。

 それも、一回の召喚で複数人召喚したらしい。

 

 伝わっている伝説と同じように、戦争をしてもらうんだろうが……伝説には帝国側にも勇者がいるなんて書かれていなかった。

 今までの勇者伝説とは、ちょっと状況が違うのかもしれない。

 僕としては、どうやって全員殺すか考えるだけだが。


 そうして情報を整理して時間を潰していると、日が暮れてきて馬車が止まった。

 どうやら道端で野営をするようだ。

 護衛の人たちが見張りをしてくれるようなので、僕は買った保存食を食べると、外套にくるまって眠りについた。


++++++


 ……朝日が見える。

 どうやら無事に朝を迎える事ができたようだ。

 

 移動を再開した僕たちは、その後も特にトラブルに遭うこともなく、王都のすぐ近くまで進んだ。

 高台に建てられた立派な石造りの城と、城下町を囲う城壁が目に入ってくる。

 馬車での旅はここまでだ。

 僕は更なる情報を得るため、王都の入り口へと向かった。

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