第25話 ひと段落
「は~疲れた」
僕は大きく息を吐く。
大きなイレギュラーが起きなかったからこそ良かったものの、今回の防衛戦は全く余裕のない戦いだった。
最初の奇襲で二人以上殺せていなかったら。
あのAランク冒険者の包囲に成功していなかったら。
僕が矢を回避した時、奴が追撃してこなかったら――
ともかく、こんなに不安点の多い戦いはもうしたくないものだ。
一番大きなイレギュラーとしては、射手を奇襲で仕留められなかったことだろうか。
魔物を感知出来るスキルを持っていたらしく、視界を封じられた状態でもシャドーの攻撃を回避出来たようだ。
まぁ、彼の攻撃によってあのAランク冒険者に隙ができたので、結果オーライとしよう。
肉体面でも相当消耗した。
いくら常人より思考速度が数倍早いとは言っても、最初の奇襲の時点で全身身体強化の行使、複数のトラップの制御、魔物への指示、そして自身の戦闘を同時に行ったのだ。
脳の疲労が凄まじい。
その後、格上相手と直接剣を交えたので、体の方も悲鳴を上げている。
……回復魔法が使える魔物がいたら、召喚してもいいかもしれない。
さて、では恒例のリザルトといこう。
今回あの四人から得られたソウルポイントは、合計5630ポイントだ。
どんと数字が跳ね上がっている。
感覚的なことなので具体的な数字は言えないのだが、殺した時の感触で言うと他のBランクたちの三倍ぐらい、あのAランクさんの魂には重みがあった。
強さも魂も格が違うというわけだ。
かなりハイリスクな戦闘だったのだから、報酬もハイリターンでなくては割に合わない。
次に今回食べられたスキルの確認だ。
敵が強かった分、こちらも期待したいところ。
ついでに、今までの冒険者狩りの成果もお披露目していくとしよう。
二度手間になるので、効果も一緒に表示してしまおうと思う。
スラッシュLV4:斬撃の威力を大幅に上昇させます(任意発動)
ストライクLV4:突きの威力を大幅に上昇させます(任意発動)
パワーショットLV2:矢の威力を上昇させます(任意発動)
パワーガードLV2:盾の守りを堅くします(任意発動)
エンチャントソードLV2:使用者の魔力を2属性まで剣に付与します(任意発動)
エンチャントアローLV3:使用者の魔力を3属性まで矢に付与します(任意発動)
エンチャントボディーLV2:使用者の魔力を2属性まで自身に付与します(任意発動)
気配察知LV3:接近してくる生命体、物体を察知します(常時発動)
魔力操作LV3:魔力を扱いやすくします(常時発動)
剣撃LV3:剣による攻撃の威力を上昇させます(常時発動)
弓撃LV2:矢の軌道が少し安定します(常時発動)
ダンジョンに籠り始めてから成長したり、新たに手に入れたスキルはこんな感じだ。
特筆すべきスキルは、恐らくあのAランク冒険者からから手に入ったであろうエンチャントボディーLV2だろう。
属性を自身に付与とあるが、無属性には既に身体強化がある。
一体どうなるかと思ったのだが、試してみた結果、身体強化とエンチャントボディーは重複して効果を発揮できることが判明した。
つまり、二重で基礎能力にバフをかけられるのだ。
シンプルだが、それ故に強い。
おかげさまで身体能力がいよいよ人間離れしてきた。
試しに、二重強化状態でガントレットを装着して鉄鎧を殴ってみたのだが、ガキンッと派手な音を立てて見事に鉄プレートが凹んだ。
ついさっきまで、今の自分と同じ身体能力を持ってる奴と戦ってたかと思うと、身震いがする。
現在、戦利品に関しては使う物だけ整理をしている。
余って使わないであろう物は、整理が面倒なので管理室の隅で積み上げるだけにしてしまった。
装備は僕一人にしかいらないし、街に売りに行く余裕もないので、余り装備は増える一方だ。
四人の装備を物色していると、リビングソードがふよふよと移動して、あのAランクさんが使っていた黒い刀身を持つ剣に乗り移った。
どうやら気に入ったようである。
せっかく二本あるので、僕はもう一体リビングソードを召喚して、もう片方の黒剣に乗り移らせた。
決して長くはない戦闘時間だったが、あのAランクさんの動きを真似れば、双剣もそれなりには扱えるだろう。
その後も物色を続けたが、お金以外には特に目ぼしいものはなかった。
ちなみに全侵入者からこつこつとお金を漁り続けているので、現在お金は結構集まっていたりする。
今回のリザルトはここまでだ。
Aランク冒険者を返り討ちにした事で、このダンジョンを攻略しようという輩はほとんどいなくなるだろう。
そうなれば、僕がまたダンジョンを留守にして自由に動けるようになる。
そろそろ勇者狩りに向けて、準備を進めよう。




