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第179話 陥落

「葵さん、そちらの進捗はどうですか?」

「ちょうど橋の封鎖作業が終わったところです。努君の方はどうです?」

「こちらも同様の進捗です。それでは、お互い次の目的地へと向かいましょうか」


 そう葵さんと確認をして、僕は黒曜の通信球による会話を終える。

 次の目的地とは、城塞の施設の一つである兵舎のことだ。


 衛兵たちが寝泊まりする兵舎の周辺には、訓練場や装備の保管庫などの設備が存在している。

 そこをまとめて制圧すれば、城塞内の戦力の殲滅という目的が果たせるはずだ。

 

 僕たちは打ち合わせ通り、城塞内の複雑な通路を集団で移動して兵舎の目の前にたどり着き、葵さんの方の集団と合流した。


「僕の方は兵舎の制圧を行います。葵さんの方は、訓練場と装備の保管庫の制圧を行ってください」


 辺りに緊急事態を知らせる鐘の音が鳴り響く中、僕はそう指示を出し、葵さんたちは頷いて返事をする。

 それから、僕たちは同じ構成で再び二手に分かれた。

 僕の方の集団は、すぐに目の前の兵舎へと突入する。


 バタンッと大きな音をたてて、先頭の僕は兵舎の扉を蹴破った。


「っ! 向こうの方からお出ましだぞ! 全員迎え撃て!」


 僕たちの姿を見た兵舎の中で最も階級が高いと思われる壮年の男は、そう言って周囲の兵士たちに指示を出す。

 それに従って慌ただしく動く彼らに、僕たちは襲い掛かった。


「ふぅ、威勢だけならいいんですがね」


 ぼそりとそんな事を呟きながらも、僕は最前線に立って兵士たちを切り殺していく。

 何か、最後の切り札のようなものがあるかもしれないと警戒していたが、どうやらそれも杞憂だったようだ。

 しばらくすれば、兵士たちはどうしようもない数の暴力によって蹂躙された。


 帝国はまだ王国との戦争中だ。

 前線から遠く離れたこの場所に、余分な兵を配置する余裕などなかったのだろう。


 黒曜の通信球で聞いてみれば、葵さんの方も順当に制圧を終わらせたらしい。

 となれば、次の段階に進むべきだ。


 まだ暖かい死体に満ちたおぞましい場所に変貌した兵舎にて、僕は引き続き通信球に話しかける。 


「次は予定通り、貴族と皇族の確保に移りましょう。魔物たちには、手分けして城塞内の貴族らしき人間の確保を行ってもらいます。使用人などの人間は確保する必要性もないので、見かけ次第殺してもらいましょうかね」

「了解です。私たちはどう動きますか?」

「皇帝の執務室に向かいます。皇族は隠し通路から既に逃げ出したかもしれませんが、運が良ければ追いかけて捕まえられるでしょう」

「確実に捕まえるつもりはないんですね」

「まぁ、別に必ず捕まえないといけないわけでもないですから」


 僕たちの目的は、あくまで帝国の勇者の情報だ。

 それを手に入れるのに、皇族が必ず必要というわけでもない。

 手元に居たら便利だろうが、所詮はその程度のものだ。


 その後、僕は魔物たちに脳内で指示を飛ばした後、適当な場所で葵さんと合流し、城塞の最奥にある皇帝の執務室へと向かう。

 そうして、到着した執務室の前で待ち受けていたのは、十数名の近衛兵たちだった。


「止まれ! これ以上この場に近づくのは許さんぞ!」

「‥‥‥近衛兵ですか。ただの衛兵はほとんど殲滅しましたが、そういえば彼らが残っていましたね」


 近衛兵たちが警告するのをよそに、僕は隣の葵さんには聞こえる声量でそう呟いた。


 魔物たちを連れていないため、現在僕たちは二人だけだ。

 戦うのなら少しばかり手間を取られるかもしれない。

 とはいえ――


「余裕で勝てる相手です。殲滅しましょう」

「はい、いつも通りに」


 そう言って僕は双剣を構え、葵さんは弓を取り出す。

 では、城塞内では恐らく最後となる戦いを始めるとしよう。

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