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第178話 出撃

「レギナ、指示した蜘蛛たちの準備は出来ていますね?」

「はい。言われた通り、動かせる蜘蛛ちゃんたちは全員連れてきましたよ。大体百五十匹ぐらいですかね? 子蜘蛛ちゃんとそのお世話係がそれなりにいるので、動けるのはこれぐらいですね」

「十分です。レークスの方は‥‥‥確認するまでも無さそうですね」


 ダンジョンの制圧を行った翌日の夕方。

 そう言って、ダンジョンの一階層目を見渡す僕の視界に映るのは、レギナの背後に集まる蜘蛛たちと大広間を埋め尽くすほどのゾンビの大群だ。


「同じく、動かせるゾンビ共は全員この大広間に集合させた。およそ千二百体程度になるな。我が主の要望にも、十分に応えられる数だろう」

「ええ。そして、本日の作戦が成功すればその数はさらに増える事になる。結構なことです」


 レークスの言葉に、僕はそう返事をする。


 これまで僕たちは、数で圧倒的な不利な戦いを戦術と各人の実力で勝利してきたわけだが、それももうここで終わりだ。

 もはや僕たちは誰もが手に負えないほどに成長し、数で、戦術で、実力で、既存の勢力を凌駕するようになった。

 

「では、確認も終わりましたので作戦行動を開始します。まずは城塞の出入口、つまりは二か所ある橋の封鎖から行いますが‥‥‥最後に何か質問は?」


 そう話す僕に、質問の声を挙げる者はいない。

 つまり、準備は万端だという事だ。


 それが確認できたところで、僕はダンジョンのステータス画面を開いて地形の改造を行い、城塞の地下牢とダンジョンを繋ぐ通路を限界まで拡張する。

 これによって、僕が生み出した岩石によって塞がれていた隠し通路は通行可能となった。


 その通路から、例のゾンビと蜘蛛の集団が次々に地下牢へと出撃していく。

 先ほども話した通り、目指すは城塞の出入口となる二か所の橋だ。

 ゆえに、ここからこの魔物たちは二つの集団に分かれ、それぞれ僕と葵さんが先導して目的地を目指すことになる。


 通路の先の地下牢には、発生した異変を確認するためか衛兵が何人かいたのだが、彼らは僕が手を下すまでもなくゾンビの波に飲み込まれていってしまった。

 まさかこんな事が起こるとは夢にも思わなかったのだろうが、実にあっけない最期である。


 それから、地下牢を出て要塞の通路に出たところで、僕は隣を走っていた葵さんに声をかけた。


「ここで別れます。何か連絡がある際には、黒曜の通信球で連絡をして下さい」

「はい。努君も、助けが必要なら言ってくださいね」


 そうして、僕たちは予定通り二手に分かれる。

 上位魔物たちはというと、レギナは僕側に、レークスは葵さん側について行く手筈だ。


 二手に分かれたとはいえ、僕の後ろからついてくる魔物たちの数はまだまだ多い。

 この数の暴力を前に、要塞内の文官たちは逃げ惑うばかりだ。

 衛兵たちですら、流石に立ち向かえないと判断して向かってこない。


 かくして、僕たちは何の妨害も受けずに城塞の出入口となる橋へと辿り着いた。

 ここからは当初の目的通り、橋の封鎖を行っていく。

 

 この橋が木製だったのならば、破壊してしまうのが手っ取り早いのだが、生憎とこの橋は頑丈な石レンガ製だ。

 よって、今回はシンプルに障害物を用いた封鎖を行う。

 具体的には、僕の地魔法によって生み出した岩石と、蜘蛛たちの糸による物理的な封鎖だ。


 ゾンビの大群によって邪魔が入らない内に、僕は岩石の生成を、蜘蛛たちは糸の設置を行う。

 今頃、僕がいない葵さんの方の集団では、岩の代わりにゾンビを用いた肉壁が使われているはずだ。

 レークスをあちらに配置した理由は、主にこれのためである。


 しばらくして、特に邪魔が入る事もなく橋の封鎖作業は完了した。

 続いては、作戦通り城塞内の戦力の殲滅を行うとしよう。

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