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第172話 見通し

 あの後、葵さんと魔物たちと共に最初のダンジョンに帰還した僕は、毎度恒例の戦果の確認を行っていた。


 見てみたところ、現在残っているソウルポイントは322560ポイント。

 元々残っていたのが40060ポイントだったので、増加したソウルポイントは282500ポイントだ。

 精鋭の穴埋め部隊に、勇者の清水さんやダンジョンマスターのバルトロを殺したからか、人数の割にはかなり多めのソウルポイントが手に入った。


 ちなみに、大量のゾンビたちを収容するために三階層目を増設して大広間を設置したため、正確には既にソウルポイントを1500ポイントほど消費していたりする。

 だがまぁ、今やこの程度の消費は誤差の範囲内だろう。


 一方で、スキルに関して言えばバルトロのスキル[箝口令]が手に入ったぐらいだ。

 保険としてはいいスキルだが、必ず役に立つかといえば何とも言えないスキルなので、喜ぶには少し物足りない。


 しかし実のところ、僕はこれ以上新たなスキルがなくてもなんとかなるだろうと考えている。

 というのも、この魂狩りの仕事を終えるまでの見通しがようやく立ったからだ。


 戦果の確認を終えた僕は、ダンジョンの管理室に葵さんと上位魔物たちを集めて、今後についての話を始めた。


「この後の予定についてですが、僕は葵さんとバルトロのダンジョンに向かおうと考えています。帝都の城塞に存在するらしいそのダンジョンを乗っ取った後は、君たちも呼んで帝都を制圧するつもりです」

「また、いっぱいご飯が食べられそうですかね?」

「えぇ。帝国の首都ですから、ロルムの街よりも多くの人間がいるでしょう。レークスと取り合いになる事すら考えなくていいと思います」

「それはありがたい。こいつは想像以上の食いしん坊だからな」


 レークスのそんな言葉に、レギナは不満気な顔をして口を開こうとする。

 ところが、葵さんがぎょろりと視線をレギナに向けると、レギナは小さくヒィッと悲鳴を上げて口をつぐんだ。

 どうやら、過去のトラウマが刺激されたようだ。


「詳細についてはまた後日話すので、レギナとレークスはしばらくの間自由にしていてください。ただし、このダンジョンからあまり離れすぎないように。僕は葵さんと帝都に潜入するまでの段取りを相談しています」

「りょ、了解です主様」

「了解した、我らが主よ」


 こうして、レギナとレークスがその場を去った後に、僕は葵さんとの話を始めた。


「さて、帝都潜入の話をする前に、葵さんには一つ説明する事があります。魂狩りの進捗についての話です。現在僕たちが回収すべき魂は、王城で引き籠っている三人の勇者と、帝国で召喚された勇者のみとなりました。つまり、今回帝都を制圧して帝国の勇者の情報を入手すれば――」

「私たちの仕事の終わりが見える、という事ですか?」


 葵さんの言葉に、僕は深く頷いた。

 

 帝国の勇者は、王国の勇者と大して実力が変わらない事はもう分かっている。

 となれば、帝国の勇者も居場所と固有の能力さえ分かれば殺せるだろう。

 力をつけた今の僕たちなら、前よりも容易く始末出来るはずだ。


「なんだか、いざ終わるとなると実感がありませんね」

「ですが事実です。まだ少し気が早いですが、終わりが近づきつつある事は知っておいてください。‥‥‥本題に戻りましょう。まず、帝都への侵入についてですが――」


 そう言って、僕は葵さんに帝都潜入についての話を続けて行う。

 

 終わりまでの道は見えたのだ。

 後は、そこにある障害物をじっくりと越えていくだけだ。

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