第18話 裏作業
まずはソウルポイントの方から確認していく。
今回獲得したソウルポイントは死体を還元した分も含めて1010ポイントで、合計は1058ポイント。
Dランクとはいえ、命を懸けて金を稼ぐ冒険者は中々魂の質が高いらしい。
平均で一般人の二倍以上のポイントとは中々だ。
これは上位ランクの冒険者の魂を狩るのが楽しみである。
次にスキルの確認をする。
戦闘の専門家である冒険者を狩ったのだから、スキルの方にも期待したいところだ。
スキル:スラッシュLV2、ストライクLV1、エンチャントアローLV1、気配察知LV1、節食LV4、剣撃LV1、魔力操作LV1
ステータス画面から、スキル欄を抜き出すとこのような感じになった。
今までは、名前さえ見れば大体分かるようなスキルばかりだったのだが……剣撃とは何だろうか。
全てのスキルを知っているわけではないので確実とはいえないが、今のところ普通のスキルはカタカナで、パッシブスキルは漢字で表記されている。
つまり、剣撃も恐らくはパッシブスキルなのだろうが、どう効果を確かめたものか。
うんうんと唸りながらスキル表記を睨んでいると、いきなり新しい表記が出てきた。
剣撃LV1:剣による攻撃の威力をわずかに上昇させます(常時発動)
「……」
僕は絶句した。
いやまぁ、普段から喋ってないけど、それほど衝撃を受けたということだ。
確かに、今までスキルの名前からなんとなくで効果を察していたので、じっとスキル表記に意識を集中させたことはなかったが……チュートリアルの意味を問いただしたいところだ。
不親切な邪神である。
せっかくなので、全スキルの効果を確認していこうと思う。
気をとりなおして、ね。
スラッシュLV2:斬撃の威力を上昇させます(任意発動)
ストライクLV1:突きの威力を少し上昇させます(任意発動)
エンチャントアローLV1:使用者の魔力を矢に付与します(任意発動)
気配察知LV1:接近してくる生命体を察知します(常時発動)
節食LV4:食事の必要量が大きく減少します(常時発動)
魔力操作LV1:魔力がわずかに扱いやすくなります(常時発動)
と、いったところだ。
効果から察するにスラッシュとストライクは戦士から、エンチャントアローは射手から、魔力操作は魔法士からだろう。
神官さんのスキルは食べ損ねたみたいだ。
残念。
最後は戦利品の確認だ。
量が量なので、さっさと済ませてしまおうと思う。
片手剣が一本。
胴と腕を覆う鉄鎧一着。
弓と矢筒と矢が一セット。
僕のより丈夫そうな素材の皮鎧。
これはカワキリムシ君に頼んで、僕にサイズを合わせてもらおう。
錫杖が一本。
正八面体の紫色の宝石が先っぽについている杖が一本。
ダンジョンコアに似ているが、それと比べると若干色が薄い宝石だ。
神官の白いローブと魔法士の赤いローブが一着ずつ。
魔力属性と同じ色をしているけど何か意味でもあるのかな?
衣服が四着。
と、装備品はこんなものだろうか。
正直使い道に困るが、置いてある分には困ることはないのでとりあえず整理はしておく。
小物の類で使えそうなものは、試験管の中に入っていた傷薬とこのダンジョンのマップ(不完全)だろうか。
傷薬は普通に使える場面があるだろうし、ダンジョンのマップはギルドに売りつければいい。
ん、迷宮のルートを知られてもいいのかだって?
別に地形は割と簡単に変えられるし、マップ通りのルートを進むとゴールから遠ざかるような構造に変えてしまえば、金も手に入って防衛もしやすくなって一石二鳥だ。
リザルトの確認はこんなものか。
次は、お待ちかねの改造タイムといこう。
ポイントがポイントなので大したことはしないが。
まずは前述したように、マップ通りのルートを進むとゴールから遠ざかるように迷宮の地形を作り変える。
次に、迷宮の床を通路に沿って緩やかな斜面にする。
入口が一番高く、そこから末端に行くにつれ低くなっていく感じだ。
そして、要所要所に通路より一回り小さい程度の巨大な鉄球を射出するトラップを設置する。
もし迷宮内で休憩している侵入者がいたら、鉄球に追いかけられてもらおうという算段だ。
少々規模が大きいトラップだからか、お値段も高めだったため600ポイントほど使ってしまった。
ということで、他のやりたい事は一旦お預けにしたいと思う。
ダンジョン内で今やるべきことは粗方終わった。
が、今度はギルドでやらなければならないことがある。
次はそちらの準備を始めよう。




