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第163話 住人の残滓

 あれから、僕は何事もなく説明を終え、現在は予定通り街にトラップを設置する作業に移っていた。

 もっとも、先ほどまで話していたようにトラップとは言ってもあくまで手作りなため、その内容は単純なものばかりだ。


 舗装された道の一部を物理的に破壊して、歩きづらいようにしてやったり。

 ちょうど足を引っかけそうな位置に、ロープを張って対象を転ばせるようにしてから、転びそうな方向に蜘蛛の糸を敷き詰めてもらったり。

 見通しの悪い曲がり角の先の足元に、街にあった刃物を利用した即席の剣山を設置したりと。

 

 とにかく、嫌がらせから殺傷力のあるものまで、単純かつ悪辣なトラップをこれでもかと設置してやる。

 

 なお、トラップの設置場所は主に大通り付近だ。

 ターゲットとなる兵士たちが集団で街に入るなら、恐らくは大通りを通るから、というのが主な理由である。


 命令された通り、井戸水を運んで血痕の掃除をするゾンビたちや、いそいそと死体を運んでいく蜘蛛たちを視界に収めながら、僕と葵さんはトラップを設置していった。


「そういえば努君。今回、私たちはこの街の人間を殺し尽くした訳じゃないですか」

「ええ、そうですね」

「ソウルポイントが稼げたのは言うまでもないと思いますけど、もしかしたら何か新しいスキルも手に入ったんじゃないですか?」


 ちょうど、トラップの設置作業を粗方終えたところで、葵さんは僕にそう言った。


 確かに、街で殺した人間たちは強者ではなかったものの、有用なスキルを持っている可能性は十分にある。

 言われた通り、ここで一度自分のステータスを確認しておくべきだろう。


 そうして、いつものように自分のステータス画面を開いてみると、思ったよりも沢山のスキルが僕に身についていた。

 だが、その多くはすぐには立たないものばかりだ。


「料理術に掃除術、調合法に鍛造法‥‥‥ですか。他にも色々とスキルが手に入っていますが、戦闘には使えないものばかりですね。どうやら、新たなスキルは生活に使う便利スキルがほとんどみたいです」

「そうでしたか‥‥‥まぁ、殺した人たちの大半は非戦闘員でしたし、仕方ありませんね」


 自分の提案が実を結ばなかった事を知って、葵さんはあからさまに肩を落とす。

 しかし、改めて新しいスキルをじっくりと調べてみると、一つだけ役に立ちそうなものがあった。


看破LVMAX:スキルや魔法によって隠されている物品、或いは情報を明らかにする(任意発動)


 このスキルがあれば、ひょっとすると以前は分からなかったバルトロと清水さんのステータスを見抜けるかもしれない。

 あの時、[鑑定]が意味不明な情報を示していた原因がスキルや魔法だとは限らないが、試してみる価値は十分にある。


 その事を伝えると、葵さんは多少気を持ち直した。


 さてと、次はせっかくだし、一旦ダンジョンに戻って得られたソウルポイントの確認と、ソウルポイントを使った待ち伏せの準備を済ませるとしよう。

 こういう僕にしか出来ない仕事は、早めに終わらせておくに越したことはない。


 そう考えた僕は、葵さんに改めて周辺の偵察を頼んでから、一旦ダンジョンへと帰還した。

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