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第162話 第三段階

 翌日。

 朝になって目を覚ましてみれば、一緒の部屋で寝ていたはずの葵さんが既にいなくなっていた。

 そこで、黒曜の通信球を使って連絡をしてみたところ、葵さんは現在レギナとレークスと共に、街の中央広場にいるらしい。


 それ聞いた僕は、通信球を通してそちらに向かう旨を葵さんに伝えると、手早く身支度をして街の中央広場へと出発した。


 目的地へと向かうかたわら、目に入る周囲の景色は、昨日までのそれとはすっかり異なっている。

 人がいないのは当然の事として、道や壁にはちらほら血が付いているし。

 建物の窓からは、ちょくちょく人間の死体が覗き見える有り様だ。


 このままでは帝国軍を誘い込むどころか、彼らの警戒が強まるのは間違いないだろう。

 そうならないためにも、これから僕たちは第三段階に入るのだが。


 そうして、色々と考え事をしながら歩いて街の中央広場に到着すると、そこには連絡通りの顔ぶれがいた。

 

 何故か死んだ魚のような目をしているレギナに、同じく何故か満足気な表情をしている葵さん。

 それから、骸骨頭なので相変わらず表情の分からないレークスだ。


「努君、先に抜け出してしまってすみません。どうしても、ちょっと片づけないといけない問題があったので。それで、確か今日からは第三段階に入るんですよね? 役割分担はどうしますか?」

「‥‥‥僕と葵さんはトラップの作成と設置を。レギナとレークスには、街中の血と死体の片付けをしてもらいます」


 僕はどんな問題があったのか葵さんに聞くべきかと、少しの間逡巡したものの、すぐに考えをまとめてそう返事をした。

 取り敢えず、既に解決したらしい問題の詳細を問いただすよりかは、先に第三段階を進めておいた方がいいだろうという判断だ。


 その後、僕はレギナとレークスに、これからの行動内容についてより具体的な指示を出した後、続けて葵さんとの打ち合わせを始めた。


「さて、大前提として確認しておきますが、今回僕たちが最も警戒すべきなのは例の帝国騎士団団長、バルトロ・クルーガーと清水さんです。この点については、特に異論はないと思います」

「はい。今まで戦ってきた中でも、彼らが一番強かったですからね」

「しかし、待ち伏せとは言ったものの、あの二人に僕たちでも作れるような初歩的なトラップが通用するとは思えません。そこで、今回トラップはあくまでも対兵士を想定して配置します」


 葵さんの反応を確認しつつ、僕はそんな風に説明を続ける。

 すると、ここで難しい顔をした葵さんの方から疑問の声が上がった。


「‥‥‥なるほど。でも、そうなると肝心のあの二人はどうやって仕留めるんです? 待ち伏せで殺すって言ってましたから、てっきりトラップを活用して殺すものだと思ってたんですけど」

「確かに、そういうやり方もあります。ですが、待ち伏せの一番の利点は奇襲が可能な事です。バルトロと違って、清水さんはまだ戦場に立つ人間としては甘いところがあります。その甘さを、奇襲で一気に突き崩し、殺す‥‥‥そういう作戦です。詳しい話は、また後でしましょう」


 そう言うと、僕は逸れていた話題を引き戻し、改めてトラップの設置場所について話し始めた。

 

 直接役に立つわけではないが、トラップも第四段階に向けた重要な布石だ。

 手を抜く理由はどこにもない。

 ただ、これが本命ではないというだけだ。

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