第17話 振り返り
今回は大筋、作戦通りに事を運ぶことが出来た。
まずは第一階層で、撤退とまではいかない程度に消耗をさせる。
次に第二階層で、不意打ちやトラップによって頭数を減らし、余裕が出来たら戦士君と剣の練習でもしよう、というのが今回の大雑把な作戦である。
全身身体強化による単純な性能差でカバー出来ているが、まだまだ僕は剣の初心者。
練習もしたくなるというものだ。
あの神官の光魔法が二階層目と相性最悪ではあったが、最初に不意打ちというアドバンテージを使ってなんとかカバーをすることが出来た。
明かりに障壁と、光魔法は随分便利なようだ。
トラップまで使って仕留めきれたが、もしダンジョンの外で不意打ちを仕掛けていたら失敗していた。
この世界の勇者君が、勇者らしく光属性を持っているなら厄介そうだ。
次に、僕は火球を出したリーダーには構わずに射手を仕留めにかかった。
光球と違って火球は広間全体を照らしつくせていなかったため、シャドーが動いて妨害していたのだが、あの射手は風魔法を上手く使ってトラップを避ける。
仕方ないので、軽くリーダーの攻撃をいなして僕が直々に仕留めた。
ここでリビングナイフ君の首張りつきが成功するとは正直思わなかったが、よくよく考えたら明らかに自分に当たらないであろうナイフの行方など気にしないだろう。
リビング系の武器しか使ってないせいで、自分の常識が"武器はひとりでに動くもの"に書き換えられていたのかもしれない。
ともかく、リビングナイフ君は明かりの確保グッジョブである。
その後は、怒り心頭の戦士君と剣の練習をした。
彼は無茶な体力の使い方をしていたものの、剣の方は適当な振り方をしていなかったし、スキルもしっかり使っていたようなので、中々いい練習ができた。
全身身体強化のアドバンテージと、スキルのスラッシュがなければ負けていたと思う。
まぁ、それがあった僕と打ち合っている内に、彼はすっかり勢いを失ってしまったが。
練習にならなくなった時点で、さっさと殺すことにした。
最後、リーダーの質問に答えたのはただの興味本位である。
死ぬ前にどんな質問をするか、ちょっと気になったのだ。
彼も「最後に」って言ってたし。
思ったよりもありきたりな質問で、ちょっとがっかりしたが。
さて、ここからは反省点を整理していきたいと思う。
一つ目は、第一階層の第二階層へ続く階段の前でがっつり休憩されたことだ。
まずダンジョンの仕様として、侵入者に探索された場所の地形やトラップをいじることはできない。
そのため、階段の前に限らず一度探索された場所は安全地帯になってしまう。
休憩をさせないために、何か追い立てるようなトラップや魔物の導入を考えたいところだ。
二つ目は、魔力の消耗についてだ。
今のままでは体力は消耗させることはできても、魔力を消耗させることはできない。
体力同様魔力も無限ではないので、なんとか消耗させる手段を講じたいところだ。
それに伴い、二階層目の弱点として発覚した光魔法をなんとかしたいところだが……光を出すだけの魔法を妨害しろというのも、少し無茶だろう。
諦めも肝心だ。
反省点はこんなものか。
今回の防衛戦、もとい誘導作戦の振り返りでは、反省点だけでなくやりたい事も見つかった。
次はそれをするために、得られた物を確認していこう。




