表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

162/198

第150話 鑑定

 あの後、僕たちは助けた帝国兵に先導してもらって、帝国の本陣と化していた砦へなんとか入り込む事に成功した。

 脳内の地図で確認してみるに、場所は埋魂の荒野の東端といったところか。

 小規模ではあるが、内部から見てもちゃんとした石造りの砦だ。

 帝国兵の仲間としてきていなかったら、怪しまれずに侵入するのは難しかっただろう。


 しかし、今は【俺】がきちんと役目を果たして、本陣の帝国人とも打ち解けてくれたので、僕と葵さんに対する周囲の警戒度はゼロだ。

 

 その為、現在僕は城壁に囲まれた砦の中央にある広場にて、適当に盗み聞きをしたり辺りを観察したりしている。

 苦労して侵入した敵の本陣だ。

 流石に、勇者の一人や二人はいて欲しいところなのだが。


「努君。あそこの城壁の上に、やけに目立つ鎧を着た人がいますよ。顔立ち的にも、あれが勇者っぽくないですか?」


 葵さんは西側の城壁を見上げながら、僕に対しそう言葉を伝える。

 それで、僕も葵さんが見ている方向を確認してみれば、確かに典型的な日本人らしい顔立ちをした、若い男が城壁の上で突っ立っていた。

 装備も他の帝国兵とは違って高価な板金鎧だし、はっきり言ってかなり怪しい。


 [鑑定]を使って、正体を確かめてみる価値はあるだろう。


名前:木戸(きど)浩二(こうじ)

種族:人間

性別:男性

年齢:二十一

職業:勇者

魔力属性:火

スキル:勇者LVMAX、言語理解LVMAX、磁化LVMAX、スラッシュLV2、剣撃LV2

 

磁化(じか)LVMAX:付近にある鉄製の道具を、一定時間磁石に変化させます(任意発動)


「どうです? やっぱり、あの人は勇者でしたか?」

「ええ、大当たりです。おかげ様で、帝国では一人目の勇者の情報が手に入りましたよ。まだ確実ではありませんが、この様子だと帝国も王国も、勇者の基本的な能力は同じみたいですね」


 無論、固有スキルには引き続き警戒しなければならないだろうが、これで懸念事項が一つ減ってひとまずは安心だ。

 帝国の勇者にだけ、変なスキルがついていたらどうしようかと思っていたが、これならば作戦通りにやっていける。


 そう、思っていたのだが――


「努君」

「はい、今度は何です?」

「あれ、私の幻覚じゃないですよね」


 そう言って、葵さんは険しい顔をしながら今いる広場の出入り口を指さす。

 指の先を見れば、そこには黒い板金鎧を着た謎の男と‥‥‥レイヴ洞窟で取り逃がして、行方不明になっていた清水結希乃がいた。

 残念ながら、これは幻覚ではなく現実の光景らしい。


 しかも最悪な事に、二人とも既にこちらの方を見ている。

 敵陣のど真ん中で、よく分からないが明らかに敵側の人間に見つかったわけだ。

 くそっ、こんな状況にならないように情報を集めに来たのに、これでは本末転倒じゃないか。


「それじゃあ、これからどうします?」

「急いでこの砦から撤退します。レギナたちがいる南森林までです。こんな敵地で戦闘だなんて、相手が誰だろうがやってられないですよ」


 どうしてここに清水さんがいるのかは知らないが、とにかく今は逃げるしかない。

 だが、せめて当初の目的である情報収集はやり遂げようと思い、謎の男と清水さんに[鑑定]を使ってみると――


名前:豎昴↓謌代′譎コ繧定ュ倥k雉��シ縺ェ縺�

種族:縺縺ァ縺茨ス難ス〒茨ス

性別:難ス

年齢:縺吶ス具

職業:縺ス励@呻暦ゅ℃縺托

魔力属性:∞縺撰≧縺

スキル:縺∞縺撰ス≧縺ス呻ス茨スゑス具ス≧縺


 謎の男の[鑑定]結果がこれで、

 

名前:しぃくれっと

種族:内緒

性別:機密

年齢:密事

職業:禁秘

魔力属性:秘事

スキル:秘密


 清水さんの[鑑定]結果がこれと、全くもって意味不明な有り様だ。

 まさか、今まで頼りきりだった[鑑定]が一切通用しないとは。


 はてさて、あいつらの正体は一体何なんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読み頂き、本当にありがとうございます!
楽しんでいただけましたら

↑の☆☆☆☆☆評価欄にて

★★★★★で応援してくださると嬉しいです!
― 新着の感想 ―
[一言] 追いついた、、 めちゃくちゃ面白いです とても続きが気になりますね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ