第134話 獲得
さてと、意識を取り戻してから僕はこれまで、現在の状況について色々と確認してきたわけだが、ここからはいよいよ、勇者たちを殺した事による戦果の確認だ。
取り敢えず、まずはソウルポイントの量から確かめていく。
いつものようにダンジョンのステータス画面を開いてみたところ、現在のソウルポイントの残量は297400ポイントと、今まで見たことがない桁外れの数値になっていた。
勇者をまとめて二十七名も殺したのだから当然の結果ではあるのだが、今後使い切れるのか心配になるほどの量だ。
かといって変に無駄遣いすると、意外とすぐに無くなってしまいそうではあるが。
無理に使うものでもないし、ソウルポイントはこれまでと同様に、必要な時に必要な分だけ使うとしよう。
続いては、今回の戦闘で僕が得られたスキルの確認だ。
機械的な声が話したあの件のせいで、やはり勇者からは何もスキルを得られていなかったが、殺したウォルス団長や神官たちからはしっかりスキルを獲得できている。
決して数は多くないが、新たに手に入れたり成長したりしたスキルを見ていこう。
頑健LVMAX:全身の体力を向上させます(常時発動)
加護LV3:自身の光魔法による生成物の強度が向上します(常時発動)
魔力操作LVMAX:魔力を大幅に扱いやすくします(常時発動)
不屈LVMAX:瀕死状態に陥った場合のみ発動可能。自身の意識を一定時間強制的に覚醒させます(任意発動)
頑健はウォルス団長から、加護と魔力操作は神官たちから得られたスキルだと分かるのだが‥‥‥この不屈というスキルには見覚えがない。
効果から推測するに、恐らく僕は[瀕死状態になるまで戦う]という経験をした事によって、自力でこのスキルを獲得したのだろう。
もう瀕死状態になるのはごめんだが、あっても損はないスキルだ。
何はともあれ、ウォルス団長からスキル[頑健]を得られて本当によかった。
この手の基礎能力を強化するスキルは、いくらあっても困らない。
これで幾分かは、今後の戦闘が楽になるだろう。
最後に確認するのは、ダンジョン内で殺した人間たちから剥ぎ取った戦利品だ。
こちらは既に、葵さんが隠し部屋に集めておいてくれたので、僕は隠し部屋に戻って戦利品の山の中から何か目ぼしい物がないか探していく。
すると、ある神官と大司教の服のポケットの中から、謎の幾何学模様が刻み込まれた黒曜石の球がひょっこり出てきた。
もしやと思い、僕はそれに[鑑定]を使ってみる。
名称:黒曜の通信球
説明:黒曜石を基に作成された、二つで一組の魔道具。微量の魔力を流し込むことによって、対応する黒曜の通信球に使用者の声を届ける事ができる。
予想通り、この黒曜石の球が大司教が言っていたあの通信魔道具だ。
これを使えば、魔物ではない葵さんにも遠距離から直接指示を伝えられるようになる。
あの時はこれのせいでひどい目に遭ったが、奪ってしまえばこっちのものだ。
大事に保管しておくとしよう。
その後は、大司教の杖にはまっていた大きい魔石が目についたぐらいで、残念ながら特に目ぼしい戦利品はなかった。
勇者の装備は王国からの支給品なので、仕方ないといえば仕方ない。
そうして、一通り戦果の確認を終えた僕は、続いて次の作業に移行する。
あと少しで、この大きな戦いの後始末も終了だ。




