表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/198

第131話 報酬

 目を覚ますと、僕はレイヴ洞窟のダンジョンコアがある隠し部屋に寝かされていた。

 葵さんが手に入れてきたのだろうか、毛布にくるまれているおかげで暖かいのはいいのだが、少し手足が動きづらい。

 それでもなんとか体を動かして毛布から這い出てみれば、周囲にあった色々な物が目に入った。

 

 大司教にやられたリビングナイフの残骸や、殺した勇者、神官、騎士たちの装備。

 それから、血まみれになっている僕の着ていた装備など。


 今の自分の姿を確認してみれば、僕は適当な男物の衣服に着替えさせられていた。

 いくら何でも、血まみれのまま寝かせるのは忍びなかったらしい。


『ようやく起きられましたか、マスター。今度ばかりはこれで終わりかと心配していましたが、今回もマスターはしぶとく生き残りましたね』

「ええ、そうですね。おかげ様でひどい目には遭いましたが、なんとか生き残ってますよ」


 相変わらずの調子で話しかけてきた例の機械的な声に、僕はぶっきらぼうな口調でそう返す。

 以前は突然話しかけられてよく驚いたものだが、こうも付き合いが長いと流石に慣れた。


「それで、今回の魂狩りの報酬は何です? 結構な数の勇者の魂を取り戻したので、何かしらの報酬はあると思うのですが」

『もちろんです。今回も報酬として、ダンジョンの機能を二点アップグレードさせて頂きます』


 機械的な声は僕の質問にそう答えると、追加されるダンジョンの機能について詳細な説明を始める。

 最初に説明されたのは、テレポート機能のアップグレードについてだ。

 

 何でも、くぐれば指定した自分のダンジョンに瞬間移動するテレポートゲートなるものが、各ダンジョンに設置できるようになったらしい。

 既存のダンジョンコアに触れて使用するタイプのテレポート機能は、僕と僕が身に着けている物しか瞬間移動させられなかった訳だが、このテレポートゲートはくぐりさえすれば何でも瞬間移動させられるようだ。

 

 今後、配下の魔物たちを他のダンジョンに移動させたくなった時には、この機能を間違いなく使うことになるだろう。

 

 それから、次に説明されたのはスキルの譲渡機能についてだ。

 

 これは、ソウルポイントを消費することによって魂に干渉し、ダンジョン内にいる任意の生物に、僕の持っているスキルを譲り渡せるという機能らしい。

 ただし、葵さんの[未来視]やレギナの[蜘蛛達の魔宴]のような特殊なスキルは、例え僕が持っていたとしても渡せないそうだ。


 パッと思いつく使い道としては、僕が使わない弓系のスキルを葵さんに渡して、スキルのレベルを上昇させる事ぐらいだろうか。

 便利そうに見えて、意外と今は使わない機能かもしれない。


「これで、話はもう終わりですか?」

『いえ、マスター。あともう一つ、報酬とは別に話があります。勇者たちの魂と、以前マスターがこの場で受けた精神干渉についての話です』

「ここでダンジョンコアを砕こうとして、何故かダンジョンコアを触ってしまった時の話ですか」

『はい。取り戻していただいた勇者の魂を解析した結果、今まで分からなかった事が色々と分かってきましたので』

 

 そう言って、機械的な声は引き続き話し続ける。

 勇者の魂から分かった事を、相変わらず淡々と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読み頂き、本当にありがとうございます!
楽しんでいただけましたら

↑の☆☆☆☆☆評価欄にて

★★★★★で応援してくださると嬉しいです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ