キュゥゥン、クゥゥンとは鳴かない
その日も一枚のガラスを挟んで人が僕を見ていた
じっと見てくる奴、バンバンとガラスを叩いてくる奴、僕に話しかけてくる奴
君は僕を見て話しかけてきたね
君の両側には優しそうな男女がいたね
ああ、もう一度あの瞬間を体験したい。
もうあの日から随分と時間が流れたね
君が僕を呼ぶ声は随分と低くなって、
君の元へ走る僕はもういない、
ヨタヨタ歩きの僕の元へ君が来てくれる。
痛いなぁ
また刺された
この頃回数が増えたなぁ
でもでもでも我慢しなきゃ、
最近君はよく僕に会いに来てくれるね
少し前まで年に一回、暑い日、僕がだれている時に限って来てたのに、
あれ?なんで僕を見て悲しそうな顔をするの、
そうだ君が悲しくて泣いていた時、顔と顔を擦ったら
君は笑ったよね。
え…あれ…おかしい、身体が動かない、なんで?
瞼が重い
あれ?君はどこへ行ったの?
ああ、これは夢だったね、
よし、次はどんな夢を見ようかな
出来れば君と会いたいな。