表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/43

14.お茶会と尋問の時間

昨晩、誤って数話先のお話を投稿してしまっていました。

話がいきなり飛んでしまって驚かれたと思います。申し訳ありません!!

 はい、皆さまこんにちは。フェリシエンヌ・リー・グラッツェルと申します。突然ですが、わたくしは今、何処にいるでしょう?





 ―――――正解は、お兄さまのお膝の上です!いや、なんでやねん。

 それではこんな状態になった経緯を振り返ってみましょう。

 まず、お父さまたちに報告する、とエル先生が言って部屋を出た数分後、何故だか半泣き状態のお兄さまがわたくしの元に突撃かまして来たのです。エル先生、何言いやがったんですか。


 その後、どういう訳だかお茶会と言う名の尋問が始まりかけたんですよ。お父さまに抱っこされてサロンに連こ…ゲフンゲフン。連れてきてもらった時は目が点になったよね。だって、サロンは既に準備万端。既に着席してるお母さまも準備万端。その横ではヴィクターを撫で回してるエル先生の姿。……いや、なんでいやがる。


 正直、突発的なお茶会自体は我が家では珍しくない。

 お母さまが家族を大事にする人だから、家族団欒の時間を作ろう、とこんな感じでお茶会を開くことは良くあるのだ。……ただし、エル先生。お前は別だ。何、しれっといるんだ。


 脳内のみで散々ツッコミを入れていると、お父さまはわたくしをお兄さまの膝の上に降ろした。そしてそのまま予定通りとでも言うように背中から抱き着くお兄さま。ちょっと苦しいです、お兄さま。



「さて、フェリシエンヌ。少し質問に答えてもらおうか」

「それは構いませんが……お父さま、お顔が怖いことになっております」



 お父さまが席に着くなり始まった尋問会…違った、お茶会。……お父さまの凍てつくような目が無ければきっとほのぼのとしてたんだろうなぁ。そしてわたくしは一体、何の容疑をかけられているんだろうか。



「あぁ、それはすまないね。

 さて、フェリシエンヌ。単刀直入に問おう。お前は先程屋敷内を歩いていたそうだね。一体、どうやったんだ?」

「はい?」



 底冷えのする瞳を細めてにっこりと笑みを浮かべたお父さま。そして、その口から出てきた問いにわたくしは呆然とする。

 え?そのため?そのためだけに、お父さまはそんな……殺気にも似た威圧感を出してるの?もったいないと思うのですが。もっと相応しい場面があるでしょうに……。



「ストッパード医師曰く、お前の足はもう神経が完全にやられてしまっているらしい。歩き回ることなんて不可能だと。

 けれどシャロンがお前が歩いているのを見たと言うのだよ。……ヴィクターもね。」

「えぇ。だってわたくし、お兄さまにヴィクターの部屋に行くことを告げて、その足でヴィクターの所へ向かったんですもの」



 口元だけ、優しげに緩めた表情のお父さまに未だ呆然としつつ、まるで罪状を読み上げるかのような言葉にゆっくり頷く。お父さまの目が嘘を吐いたら許さない、と語ってるけど、嘘吐くようなこと何にもないのだけれど。

 目だけで話の続きを促してくるお父さまの威圧に負けて、戸惑いながらも口を開く。



「ええっと……結論から言いますと、魔法を使いましたの」

「魔法を?動かなくなった身体を動かす魔法、なんて聞いたことがないな……」

「私も、聞いたことがありませんわね……。知っていたらすぐにでもフェリちゃんにかけてあげますもの」

「俺もないです」



 わたくしの説明不足が悪いんだろうけど……首を捻るお父さま。それに続くはお母さまとお兄さま。がっつりホールドされて身動きの取れないわたくしは紅茶に手を伸ばすこともできずに曖昧に笑っておいた。


 そんな微妙な空気を読めないのか、読まないのか。ヴィクターがトコトコこっちに来たかと思うと、わたくしに両手を伸ばして抱っこしてポーズをして来た。ごめんヴィクター。わたくし今、お兄さまに拘束されてて動けないの。



「にーさまばっかり、ずるい。…ねーさま、ぼくも」

「ええ、そう…ね…?えっと、お兄さま。降ろしてくださらない?」

「ダメ」

「いえ、別に逃げ出したりはできませんし……」

「ダーメーでーすー。さっきも安静にっていう父様の言いつけ破ったんだから」



 ぎゅぅぅぅとお腹に回された手に力が込められる。やめて、お兄さま。それ以上力を入れられるとさっき食べたポリッジ、げろげろしちゃうから。わたくし、カエルになる気はありませんのよ?

 なんて令嬢らしからぬことを考えているうちに、お兄さまとヴィクターの間で話が進んでいたらしい。いつの間にやら、ヴィクターがわたくしの膝の上で満足そうに笑っていた。


 10歳にしては高身長であるけれど、どこかひょろひょろとしたお兄さまの膝に、わたくしとヴィクター、二人分の体重が乗ってると思うと心配になる。……お兄さま、無理して骨折とかはやめてくださいね。


 お兄さまとわたくし、そしてヴィクターの兄弟トーテムポール…いや、兄弟マトリョーシカか?を見て、お母さまは感極まってしまったらしい。涙を一筋のみこぼし、目眩でもしたのかくらりと身体を傾かせた。


 ………このまま、どさくさで終わらないかなぁ。このお茶会。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ