運命?の出会い
「ふぅ〜」
俺は今、森から出て、街道を歩いている。
マップで、街?みたいなのを発見して、そこに向かっている途中だ。
え?ドラゴンはって?
忘れることにしたよ。もう関係がないから。
一応、あの後、ドラゴンを見た俺は、恐怖によってその場から動けず震えていた。
ドラゴンが俺に気付いたのか、目をこっちに向けた時は、本当に死ぬと思ったよ。
結局、ドラゴンは、俺のことを無視して、ゆっくりと、離れていった。
はぁ〜好奇心は猫を殺す。 そのとおりになるところだった。
でも、そのおかげ?で新たなスキルが手に入った。
それが、恐怖耐性だ。
このスキルが、役立ってくれることに期待しよう。
街道を歩いて、数時間、
ようやく、街を囲んでいる大きな壁が見えてきた。
俺は、早く街に入りたくて、歩くスピードを速めた。
街の出入り口となっている門のところに2、3人が一列になって、並んでいたので、とりあえず、その後ろに並んで順番を待った。
数分して、俺の番がやってきた。
「通行証をお持ちでしょうか?」
門番の人が真面目な対応で、俺に聞いてきた。
「いいえ、持っていません!」
怪しまれたら、まずいと思って堂々と答えた。
「それでは、代わりに身分証のようなものを見せてください。」
「すみません、それも持っていません!」
今度も、堂々と答えると門番の人は、少し呆れていた。
「え、え〜と、それじゃあ、規則に則って、ステータスを見せてください。それと、この街に来た目的を教えてください。」
「ステータスですか?え、えっと…ステータスオープン!」
俺はステータスの見せ方が分からず、適当に言ったが当たっていたようで、目の前にステータスが現れた。
名前 タツヤ
種族 人間
Lv.1
HP 100
MP 100
筋力 50
頑丈 50
魔力 50
速さ 50
スキル
鑑定
最初に見た時と中身が変わっているって?
実は、迷宮化のスキルを得た時に、もう一つ、ステータス偽装のスキルも獲得していたのを、ダンジョンを出た後、知って、試しに使ってみたんだ。
俺自身が、鑑定を持っていたから、他の誰かが、俺のステータスをいきなり見る可能性があると、気付いて、見られてもいいように偽装した。
種族をダンジョンマスター→人間に、
スキルは、アリスの加護と迷宮化、恐怖耐性とステータス偽装を消した。
その結果が、今のステータスだ。
おかげで、特に怪しまれてはいないようだ。
…たぶん?
「それで、目的は…冒険者になりたくて!」
ここで、俺自身の願望がでた。
だって、異世界に行ったら、冒険者になって、活躍してみたいって思ってたんだから。
「冒険者…か」
門番の人はそう言うと、少し黙って、俺を見ていた。
〜門番視点〜
(冒険者になりたいっか)
私は、目の前に立つタツヤと言うのも少年を見て、少し迷っていた。
冒険者は、強くて、カッコいい、すごい活躍ができる等、良いイメージを持たれているが、実際には、最初の成り立ての頃が、一番危険で厳しいことを知っているからだ。
特に、私は門番をしているから、朝、街から出る若い冒険者がそのまま帰って来なかったことが、何度もあった。
この少年には、冒険者は、危ないからやめるように言うか、
そう迷っていたから、
「冒険者はけっこう危険で、死ぬ可能性が高い職業だよ?」
少年に忠告するように言った。
でも、
「死ぬ可能性があることはここに来る間に実感しました…けど、それでもなってみたいんです。」
期待に満ちた目を見た私は、説得することをやめた。
だから、
「そうか。それじゃあ頑張りなさい。これは、仮身分証明書だよ。そのまま持っていて、ギルドカードを貰ったら、ここに返しに来るように。それと、冒険者ギルドは、大通りを真っ直ぐ行って、2本の剣が交差している看板が目印の建物だよ。」
(これぐらいでいいか)
少年を街の中へと通す。
「いろいろと教えてくれて、ありがとうございました。」
そう言って、少年は歩いて行った。
(まぁ、またすぐに会えるか)
そう思い、少年を見送った。
親切?な門番の人から、仮身分証明書を貰った俺は、街の中に入っていった。
初めて訪れた異世界の街に、俺は興奮していた。
建物、店、屋台、人、あらゆるものに目がいってしまい、前方をあまり見ていなかった。
その結果、
ダッ!
「きゃ!」「うわっ!」
前方にいた誰かと軽くぶつかってしまった。
幸い?どちらも倒れてはいないが、明らかに俺が悪いので、急いで前の人に謝った。
「ご、ごめん、大丈夫?」
キッ!
カチャ、スゥ
「え?」
確かに俺の方が悪かった。だから、先に謝った。
でも、どうして、なんで、
目の前の少女いや、美少女から剣が向けられているんだ?
……あれ?どうして俺は、冷静に考え事ができるんだ?
普通、剣を向けられたら恐怖を…恐怖耐性か!
あれのおか
「死ね!」
少女が向けていた剣を動かした。
俺は、目でしっかりと見ることで狙いが頭…
「うわっ!」バッ
!
ドカッ
とっさに体、特に頭を動かし、剣は避けられたがバランスを崩して地面に倒れた。
顔を少女の方に向けると、少女は俺のことを睨んでいて、更に剣も構え直していた。
「変態、死ね!」
あっ、これは避けられない。ここで死ぬのか。
そう思った時、
「お嬢様!」
ピタッ
叫び声とともに少女の動きも止まった。
もちろん剣も止まっている、俺の目の前数ミリのところで…
俺達?の方へ1人の女性が近づいてきた。
なお、このとき、俺達?の騒ぎ?で、周りにギャラリーが少しいた。
「スー?遅い」
「お嬢様!いったいこの騒ぎはなんですか!」
「騒ぎ?」
少女は辺りを見回した後、俺の方を再び見て、
「変態をこれから始末するところ。」
「変態?」
女性が俺のことをじ〜と見た。
「ち、違う。俺は変態じゃない!」
「と、彼は言っていますけど?」
「変態確定。私の体に触った。」
ピキッ
女性だけでなく、周りの空気まで冷たくなったように感じた。
俺は大慌て立ち上がり、誤解を解こうとした。
「違う!俺が前を見てなくて、ぶつかってしまっただけだ。触ってない!絶対に!」
こう言いながら、どうして、俺だけが悪く思われているのか、少しイラッとして、続けて俺も思ったことを言った。
「だいたい、俺が謝ろうとしたら、そっちがいきなり剣を向けてきただろうが!」
ピクッ!
女性の方が、今の俺の言葉に何か反応したようだ。
「お嬢様?彼が言ったことは事実ですか?」
「ち、違う。」
少女は、顔を横に向けながら、否定した。
「お嬢様、私の顔を見てはっきりと言ってください。」
「……」
少女はそのまま黙ってしまった。
「はぁ〜。どうやらこちらの勘違いのようですね。申し訳ありません。」
女性が俺に向かって、頭を下げ謝ると、
「何だよ、勘違いかよ!」
そう言い残して、周りにいたギャラリーは散っていった。
「頭を上げてください。今回は、俺の前方不注意が原因だったんだから。」
「ありがとうございます。お嬢様も。」
「…私は悪くない。」
「お嬢様!…はぁ」
「あはは…まぁ、もうお互い今回の事は、水に流すということで。」
「はい、こちらとしても、そうしていただけると嬉しいです。」
俺とスーと呼ばれた女性がお互いに納得したら、
「スー、何をしているの!早く行くよ!」
少女が先にどこかに歩き始めた。
「お嬢様!待ってください。では、ごきげんよう。」
女性も少女のところに向かっていった。
「あ、嵐が通ったみたいな感じだなぁ。」
俺は思った感想を、呟いて、目的地の冒険者ギルドの方に歩き出した。
しっかりと前を見ながら。