第4話:旅立ち
1年間の訓練編に突入しません。
訓練の様子は超適当にお送りします。
祝福の儀から今日で1年が過ぎた。
――――――
この1年間は神様に言われた通り、修行に徹した。
まずは神様の説明で、わからなかったことをヘルプ?という機能で探してみた。
【<レア度>とは、<カード>のガチャからの出やすさのこと。C→UC→R→UR……と出にくくなっている。もしかしたらまだ上があるかも?】
【<レベルアップ>とは、<レベル>が上がること。<レベル>が高いほど武器の切れ味、頑丈さが上がる。例えばLv1の<レア度Rのスチールソード>とLv10の<ブロンズソード>がかち合え続ければ、先にLv1のスチールソードが折れる。】
【神が最後に言った武器を装備すればある程度扱えるというのは、<装備補正>のこと。最初は見習いくらいの補正しかつかないが、武器を使用していくとどんどん上昇していく。これらは<種別>ごとに積み立てられていく。<装備補正>は、ガチャ産の武器を使用しなくてもよい。】
以上が、ヘルプで分かったことだった。
とりあえず、わからなかったことはなんとなくわかった。
町の道場に入り、剣と弓の稽古をつけて貰った。
槍は、町の衛兵さんに教えてもらった。
棍棒術は、さすがに扱える人がいなかった。
また、刀とかいう不思議な武器はどうやって練習すればいいかわからなかった。
これらをしていたら、半年はあっという間に過ぎた。
家の庭で武器をどれだけ召喚できるかやってみた。
ブロンズソードとブロンズシールドの組み合わせ、20コストまでは召喚できた。
まだ、コスト30のスチールソードだけは召喚できなかった。
ということは、まだ僕の魔力は30もないらしい。
町の外で、ゴブリンと戦ってみた。
出した武器はブロンズソードとブロンズシールド。
ゴブリンだと思って甘く見ていた。
以外にも早い動き、地味に力強い棍棒の振り下ろし。
何とか勝ったが、森の中を戦いながら歩き回ったせいで体中細かい傷だらけになった。
この日から、もっと訓練を積もうと決意した。
前の戦いから訓練の時間を増やし、一日一回は最低でも魔物と戦った。
そんなことをしていたら半年がたちたっていた。
――――――
「ミレ、気を付けてね。何かあったらすぐに戻ってくるんだよ。」
そういってくれたのは、僕の祖母であるレイラおばあちゃんである。
「うん、大丈夫。無事に戻ってくるから。行ってきます。」
僕はそういうと、扉を開ける。
その扉の先には、エミリアが立っていた。
エミリアは、突然扉があいたことにキャッと驚き、文句を言ってくる。
「もう!当然扉を開けないでよ!!危うくお弁当を落としそうになったじゃない!!」
「ごめんごめん、でもいつから扉の前で立ってたの?」
それを聞いたらエミリアは目を白黒と泳がせ、そ、そんなことよりと口を紡いだ。
「はい、お弁当。私も一緒に行けられたらよかったんだけど、祝福がね……。」
「はは、何度も聞いたよ。祝福は≪料理の名人≫でしょ?でもそのおかげで特訓中はおいしいご飯が食べられたし……。」
僕がそういうとエミリアはええ、とため息交じりに言ってくる。
「両親を説得してみたのだけど結局ダメだったわ。『戦闘の祝福を持ってない人がダンジョンに入るのは自殺行為だ』って……。まぁわかってはいたんだけども……。」
そういうと、またため息をついて黙ってしまった。
僕は、そんなエミリアに口を紡いだ。
「ま、まぁ、実家の食堂継いでがんばってよ!僕もたまにはこの町には戻ってくるし、手紙も出すからさ!」
そういうと、僕は笑顔を作った。
僕がそういうと、エミリアは少し口を動かす。
「……絶対よ?絶対戻ってきなさいよ……?」
そういうと、またエミリアは黙ってしまった。
僕は、その言葉に返事をした。
「うん。絶対に戻ってくる。約束するよ。」
そういう言った直後、奥にいる今日ダンジョン都市まで送ってくれるおじさんから声がかかった。
「おぉい。そろそろ馬車を出したいのだがいいかね?」
「はい!すぐに行きます。」
僕はそういうと、荷物を持って駈け出そうとした。
そうしようとした瞬間、後ろからエミリアに手を捕まれる。
あわてて後ろを振り向いたら、そこにエミリアの顔はなくて……。
「チュ」
すぐ横に移動していたエミリアが、ほっぺにキスをしていた。
僕は顔を真っ赤にしながらどうすればいいかあたふたしていると、同じく顔が真っ赤になったエミリアが、笑顔で声を掛けてくる。
「いってらっしゃい。ミレ。」
そういわれて僕もあわててエミリアに返事をした。
「い、行ってきます。エミリア。」
そういったらエミリアは自分の家の方に走って戻って行ってしまった。
僕はエミリアの走って行った方をしばらく眺めていたが、あまり馬車を待たせては悪いと思い、おじさんのいる方に再び荷物を持って行った。
「この荷物、お願いします。」
そういうとおうよ、と言いながら荷物を預かってくれる。
荷物を詰め終わると、おじさんは従者の席に乗り、僕に隣の座席に座るよう言ってくる。
そして座席に座ると、おじさんは話しかけてきた。
「さて、出発するが忘れ物はないか?」
そのおじさんの言葉に自分の荷物の中身を頭の中で一巡させ、答えを言う。
「はい、大丈夫です。」
その回答におじさんは馬に鞭を打ち答える。
僕の冒険は、ここから始まった。