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黄金少女と主人公の少女と

「……やっとで眠ったか」



 目の前で安らかな寝息を立てる少女に視線を落とし、ユウトは胸を撫で下ろした。


 目が覚めた後は、大変なことの方が多かった。

 今までの経緯と彼女に置かれた現状、それらを説明し終えた次は、人間誰しも訪れる生理現象を訴えられたのだ。

 もちろんユウトが連れていき四肢が満足に動かない彼女の服を脱がし、あれやこれやとするわけにもいかない。なので、丁度暇をしておりカノンと同性のキャシーに手伝わせたのだ。


 突然呼び出されたと思ったら生理現象の解消を手伝わされたのだ。それは大層お怒りの様子だったので、金の古代語で記された魔法教書をチラつかせると簡単に大人しくなった。

 その後も事ある毎に呼びつける彼女の要求を、苦手な笑みを浮かべながら聞くのは非常に疲れる作業だった。その疲れが残っているのか、肩を回すと心地良い音が鳴るのだ。


「……………」


 それでも良かったと思っている。しかも、大変なのはこれからの方だ。

 彼女を助ける際に色々と無茶をした。全てが初めてのことだったので、それがどのような結果を招くかまでは考えていなかったのだ。それ程までに彼女を救いたかったなどと、ユウト自身今だ知る余地もない。


 肩で切り揃えられた繊細な茶髪に指を絡ませながらこれからの事を考えていた。

 記憶がない彼女を、彼女の親友達に会わせて良いものだろうか。

 いや、彼女達と話した内容的にはそれが良いし今のユウトにできることを挙げたところで付焼きに石で何一つ変わりやしない。


 だが、必ずしも解決策がないわけではない。

 考えながら、根本的な解決策として考えられる中でも最も有力性のあるものを思い描いた。



 ーー失った記憶の復元である。



 これはどちらかと言うと簡単な方だ。しかし考えてみるだけで、実行に移そうとは思えない。


 それは彼女のプライバシーに干渉することと同意義だ。それ以前に、大切な友人の頭をこねくり回してしまうなんて、考えただけで吐き気がする。

 それが実際に触れず行われる行為だとしても、彼女を汚すことに変わりない。



 髪を遊んでいた手を少女の頬を移動させる。

 冷たく柔らかい肌。

 こんな状態になるまで彼女を一人の女の子ではなく、猿を見るような目で見ていた。いや、融通の利かないところは、まだ躾けられる猿よりもタチが悪い。



 それが、今はどうだろうか。

 静かに寝息を立てる渇いた唇は、痩せた頬は、白が混じり出した髪は、動かない腕や足は。

 見てこようとしなかっただけで、全部、全部彼女だ。カノンだ。


 今のこの状態だけがカノンじゃない。以前の煩くて事ある毎に突っかかってくる、鬱陶しい彼女もまたカノンだ。決して猿なんかではない。



 女の子を守るのが男の役目だ。

 なんて馬鹿なことは言わないし考えない。面倒なだけだしそれができる器とも思えない。そんなことは漫画の主人公がやることだ。


 これまでの考えや行動を改めようと決意し、ユウトは手を離した。

 熱くなるのは自分らしくない。そう決めていたはずなのに、カノンに関してはどうしてか止まらなくなっていたことにユウトは疑問を覚えた。だがそれも勘違いだろうと捨てられる。

 頭を掻き、小さな息を漏らすと、廊下へと繋がる扉へ目を向ける。




 そこには金が立っていた。


 いや、目を疑うような光景だが、それは人の形をしていた。

 その姿は小柄で、年齢にしてみれば16歳ほどの少女に見える。気の強そうな性格を思わせる瞳と眉は細く吊りあがり、すべてを見通すような鋭さを窺わせる。小さくも高く整った鼻は美しく、威厳に満ちた雪山を思わせた。不機嫌そうに引き締められた薄く桃色の唇は、瑞々しい果実のようで見入るものがある。その端正な顔立ちは遠目で見ても分かるほどきめ細やかで、北の雪よりも白く、水のように清らかで透き通るようだ。だがそこに色香や妖艶な雰囲気はなく、何者にも穢されていない真っ白で儚げで清楚な、聖女という言葉がそのまま人の形をとったような顔立ち。



 しかしそれすら劣ってしまうかのように、靡く金の髪は美しい。



 技術族と名高いリアン族ですら作り出せない金は、指の間からサラサラと溢れ逃げてしまう。その芸術品が月の明かりを受け何重にも輝き、風に撫でられては先と違った透明な輝きを露わにする。それが背の方で無造作に流れ、その長さは悠に膝を越えようとしている。そして金の間からは、鋭く長い特徴的な耳が顔を覗かせていた。


 その姿はまるで妖精、または天使。


 だがユウトにその姿は映っていないのか、カノンに向けたものより平坦で何も抱いていない様子だ。


「……エアリエルか、どうした?」


 エアリエルと呼ばれた少女は、軽く溜息を吐きユウトがしたように頭を掻き毟る。その度に美しい金が揺れ上がり、決して纏まらずそれぞれが元の位置に戻っていった。

 エアリエルは腕を組み、壁へ強めに背を預ける。その拍子に大きな音が鳴ったが、カノンが目覚める程でもなかったのか、心地良い寝息は続いたままだ。


「ユウト。貴方これからどうするの?」


 小さな口から発せられたのは金楽器のように華やかで高く、湧き水のごとく静寂で澄んだ、驚くほど透明で美しい声だ。

 そのような声を聞いても、ユウトの気分は晴れない。それどころかもっと深くなるばかりだ。


「どんな状態であろうとその子をあの子達の下へ送り返すのが、貴方のやるべきことでなくて?」

「………わかってる」


 気の抜けた返事にエアリエルは再び溜息をついた。

 カノンが目覚めてすでに二日は経つが、それまでの間ずっとこの調子だったのだ。少なくとも十年以上、ユウトという人間をそばで見てきたが、カノンという少女に特別な感情を抱いている様子は先日までなかった。それなのに、最近の彼はずっと落ち着きがなくソワソワし、少女がより良く居られるよう尽力を尽くしているのだ。


 らしくない、とは言わない。いやユウトらしいと言えばらしいのだ。

 本人には決して言わないが、彼は面倒事を嫌い厄介ごとは避け、平凡に平和な生活を享受したいと願っているそうだ。しかし現実は理想と程遠く、道端に落ちる面倒事を拾い上げ厄介ごとに首を突っ込み、自ら好きで平凡な生活を捨てに行く。自覚していないだけで、彼は彼が最も嫌うお人好しの偽善者なのだ。



 そんな彼が一人の少女を助けるためにあれこれと奔走するのは当たり前の事であり、何も今に始まったことでもない。


 しかし、それでも異常だった。

 それはユウトが、ではなく人として、度が過ぎている。睡眠時間を犠牲にし、飯はカノンが食べる物と一緒、排泄以外の目的では殆んど部屋から出ようともしない。


 別に変わったことは一つもない。

 行き過ぎているとも思わない。


 世界規模で見ればよく見る変わった人種だ。自分のことを粗末にし出来た時間を他人の為に捧ぐのだ。時間を捧げられる人の気持ちも知らず、ただ自己を満たすため行われる愚行の行為。

 エアリエルから見たそれは、まさに自己犠牲、自己満足、偽善。そんな言葉が適任だと確信していた。それほどエアリエルには到底理解できない行動理念だから。



 しかしそれ等には案外、行動に見合うだけの理由というのが存在する。

 性的発露であったり、歪んだ性的嗜好、または恋仲や親族といった人生に於いて重要な人物を心配しやることだと記憶していた。


 その中で当てはめてみると、意外にもユウトは全部当てはまりそうだと気付き、エアリエルは密かに表情を苦くした。


 再び溜息を吐きそうになり手でそれを遮る。自然と行おうとしたユウト特有の行動が自分にも写っていることに、多少有意義な気分になったがそれを悟られるは癪だと顰めっ面を浮かべた。



 気を逸らそうとエアリエルは手を伸ばす。その細く長い指先から暖かな風が流れると、部屋一帯を包み込んだ。夜風に冷えていた部屋の中が心地良い空気へと循環する。しかしそれは、部屋を暖める為の物ではない。


 静かに目を瞑ると、眼で見るよりもクリアな視界が生まれる。それに形はない、確固たる形をもたない彼女に、目という機能は元々必要ないのだ。

 その見えない瞳が少女へと向けられる。それは少女の外を見るためではない。体の中隅々まで診る為の物だ。やがてエアリエルは長い睫毛を持ち上げた。


「その子、翌朝には以前のまま身体が動くようになるわ」

「本当か!」



 途端パッと明るくなるユウトの様子に、エアリエルはどうしてか苛立ちが芽生え始めていた。


 エアリエルからユウトを困らせることはあっても、ユウトがエアリエルを困らせたことなどないのだ。その分、エアリエル自身もなぜ苛立つのか理解しきれていない。


 それでもエアリエルが剣を抜くことはなかった。

 意外に思われるかもしれないが、その細腕からは想像だにできないほど彼女の剣捌きは美しく鋭いのだ。その恐ろしい速度と重みに、ユウトは未だ擦り傷一つ付けられたことがない。

 その剣をもって力ずくにでも少女から引き離させることも出来ないことではない。


 ただそれは、ユウトの為にも自身の為にも成らないのだと理解しているのか、細い指先で鞘を鳴らすだけに終わった。

 その代わりにと軽く鼻を鳴らすと、力強い足取りでユウトに詰めかける。動きに対応できなかったのかユウトが少し仰け反るが構わず近付き、目と鼻の先、唇と唇とか触れ合うような距離にまで接近していた。

 普段共に行動し慣れているとはいえ、絵画から出てきたようでそこらの美術品すら霞んでしまう美しい少女を、意識せずにいられるだろうか。



「それで。その子が動けるようになったら、貴方の役目は終わったも同然なのよ。これ以上なにをしようっての」


 吐息が唇に当たり、控えめの柔らかな脂肪が胸板に押し付けられてくる。突然の事態に戸惑いを隠せていないのか、ユウトは目を見開き話を聞いている。しかし見開いた目も、今まで感じられなかった妖艶な瞳に捕らえられている。



「貴方は死んでいたその子に第二の生を与え、切断された四肢を繋げてあげた。……まあ、後遺症として記憶喪失なんて面倒なものがぶら下がってはいるけれど、私達とは関係ないわ。それはあの子達が為すべきこと、貴方が後生大事に抱えるバトンを、あの子達へ渡すべきなのよ。いえ、そのバトンは元を辿ればあの子達の物よ」



 奏でられる言葉は美しい旋律となり心地良く脳に染み渡る。それは聞く者が聞けば、まるで洗脳のような音色だ。

 これには緊張していたユウトも顰めっ面になる。それは声に当てられたものでなく、彼女の言うことが正しかったからだ。


 本来ユウトが交流を楽しんでいたのは、カノンの親友達であり冒険者仲間の二人組、ツグモとアディルトの方だ。彼女達は初めての冒険者ギルドで何をすれば良いのか分からなかったユウトに手を差し伸べ、共に依頼を受けてくれた掛け替えのない恩人なのだ。


 カノンとも共に依頼を受けた事はあったが、やはり巧が合わなかった。

 そう考えてみると確かにカノンに固執する理由はなく、下手をすれば「顔が良いから手元に残しておきたい」と下衆な考えを持つ最低野郎に見られても仕方ない。



「それともなに? 今更惚れたの? 確かに顔は良い方よ。いえ、格別に良いわね。そこらの村娘や貴族の鼻垂れ娘達とは大違いに整って綺麗だものね」



 言いながら初めて視線を横に向ける。ユウトもそれを追うと、ベッドで眠るカノンがいた。

 線の細い顔が月夜に照らされ神秘的な美しさを醸し出している。以前見ていた時とは違う別人のようだ。あの猿のような娘に、これほどの美しさが秘められていようとは全くもって信じられない。

 だがユウトはそんな事に目もくれず、心底どうでもいい物を見るような眼をしていた。



「……そんなことないさ。たとえ綺麗だろうが何だろうが、カノンはカノンだ。俺には興味ない」



 その言葉には一切の嘘が無く、今のが彼の心からの言葉だとわかる。ただし、心を見せる以上付け込める隙は幾らでもあり。


「そう、そうよね。だってユウトにはこの子よりも綺麗で可愛い子がいるものね」


 クスッと笑うエアリエルの言葉に思わず吹き出すユウトは脂汗を流していた。



「ち、違う! シェルフィとは何にもない! 今のあいつとは雇われの関係だけで、別に何かあったわけでは……」

「へぇーほおー。私はなにも白銀乙女の話なんてしてないわよ。……さては、あの子と何かあったのかしら? もしかして、もうベッドでプロレスごっこでもしちゃった?」

「おっさんかよ!」


「んぅ……」



 思ったよりも大きな声を張り上げていたのか、カノンは気怠そうな声を上げると、ユウトの方へ寝返りを打つ。しまった。そう思った時にはすでに瞼が開き、眼の端を小さな手で擦り付けていた。

 小さく可愛らしい欠伸を一つ上げると、ユウトの方を見たまま唖然としたような表情に変えていた。


「……やあカノン。ごめんな、少しエアリエルと戯れていたらちょっと大きな声を出してしまって、折角寝ていた君を起こすような事になってしまった」

「……い、いえ。少し眠りも浅かったので大した支障はありませんが」

「そうか、そりゃ良かった」


 明らかに焦った様子のユウトをカノンは呆然と眺めていた。

 それもその筈、今ユウトの姿は、はたから見れば若い男女がお互い押し倒そうとしキス一歩手前の状況なのだ。誰がどう弁解しようが、どこからか爆殺ナイフが飛んで来てもおかしくない。

 奇妙な光景ではあったがカノンは目を二、三度目を閉じると、一つの単語を言った。




「………アジェンタ」




 それはかき消えるかのように小さく震えるような声だった。それでもユウトとエアリエルの耳には届いたようで、二人はお互いに顔を合わせて首を傾げた。


「なにか思い出したのか?」

「きっと、この子の名前でしょうね。そうでしょう?」


 二人の言葉にカノンはおずおずと頷く。

 まさか自分達の痴話喧嘩中にこんな重大なことが分かるとは知らなかった二人は、気恥ずかしさからお互い距離を離した。エアリエルは扉の前まで戻り、先程のように腕組みをし背を扉に預けた。ユウトはベッドの横に置いてあった木椅子に腰を下ろす。

 そして苦手な笑顔を作るとカノンの顔を覗くように見つめた。



「一体なにを思い出したんだ。ゆっくりで良いから、俺に話してくれないか?」言いながら諭すようにカノンの頭に手を置き、ゆっくりと撫で始める。

 彼の躊躇ない行動にカノンは安心しきった顔を作り、エアリエルは表情を怒りで露わにしていた。正反対の視線を受け、目に見えて口角がヒクついたがそれでも手を休めることはない。

 ユウトにとって地獄のような時間が過ぎて行き、ややあってカノンはポツリポツリと漏らし始めた。



「……ユウト、さんが私の名前を呼んだ時、少しだけ引っかかったんです。それで、なんでかなって思ってたんですけど、さっきユウトさんと……エ、エアリエル。さん、が話してたのを聞いて、思い出したんです」

「ほう」



 まさか自分達の会話から記憶が甦ろうとは、誇らしいような悲しいような、そんな気分ではあった。だがそれもカノンの話を聞くため傍へと退かす。



「それで、この子のはカノンなのかしら、それともアジェンタなのかしら」

「いやどうだろうな、カノンってのは前から名乗ってたしわざわざ偽名を使う意味もないし……」

「あ、いえ、違います。カノンが偽物というわけではなく……カノン・アジェンタ。それが私の名前、みたいです」

「わかった。それで他には?」



 しかしカノンは悲しそうに首を振り「これ以上は…」と沈黙してしまった。

 ふーむと唸りながらユウトは腕を組んで考えた。

 名前だけとはいえ記憶が戻ったことは喜ばしいことだ。しかし、なぜこのタイミングなのかそれがわからない。それさえ分かってしまえば同様の状況を作り出し、記憶が戻り続けるまで繰り返し続ければ良いだけだ。

 まあ、それができないのでは元も子もない、気長に待とう。考えてから、憤怒の姿をしたエアリエルに視線を移し--困惑の表情を浮かべる姿が映った。


「ど、どうしたんだ?」


 ユウトの咽喉元から呻くような声が漏れていた。

 震える声に驚きの表情に変え、ユウトが心配そうな顔をしているのを見て安心させるように笑みを浮かべた。


「大丈夫よ。貴方が心配することじゃないわ」

「……そうか、それならよかった」


 しかし笑みは苦々しいものでどうしても要らぬことを考えてしまう。だがエアリエルが言うなら彼女に任せよう、と長年の信頼関係からユウトはゆっくりと頷いた。

 それを確認してエアリエルは再び思考に耽っていた。




(………これはどういうこと?)


 さきにカノンを診る時に放った物が掻き消えていたのだ。

 あれはこの世すべてを創りし神から世界すべての物に授けたもうた万物の力、『魔素マナ』あるいは『魔力』と呼ばれる物だ。


 マナは世界を創りし神々の一人、創造を司る至高の神クレアストゥールによって齎されたすべての基礎。それはこの世すべての生けるものは勿論、意思持たぬ石や草ですらこれらマナを保有し、これによって形ある物として存在し続けることが出来るのだ。


 エアリエルは自らが放った魔力がカノンを中心に忽然と消えていることに違和感を覚えていた。そして、もう一度彼女見てみようと魔力を伸ばし、心臓付近に近付いたところで


(……っ、まただ!)


 二人に気付かれない程度に舌打ちする。

 カノンの心臓近くに行くと、必ず魔力が吸収されてしまう。人は心臓に魔力が溜まりやすいと言われるが、それに引き攣られた。というわけではない。もっと別の抗えぬ力であった。エアリエルは通常の人間よりも多くの魔力を保有し、それらすべて自在に操れるのだ。魔力同士の引き合いなどになればエアリエルに勝てる生き物などいる筈がないのだ。



 しかしそんなエアリエルにも勝てないものがいくつかある。だがそれは神にも近しい六ふりの武器と、神自身が作り上げた最凶の神災だけだ。こんな冒険者娘に持てる筈がない。持つことができても溢れ出る魔力に彼女という存在そのものが消滅してもおかしくない。そしてこの感覚に最も近しいのは……。


 エアリエルは静かに首を振った。


 知ったところでどうすることもできないだろう。優しい彼が彼女の胸を割き、魔力を喰らう魔物を取り出すことを了承するはずがない。

 逃げるようにマントを翻すと、消えるように部屋を後にした。

 ユウトから返事は聞けなかったが、あの子達に会う機会は設けてやろう。考えながら、彼女の姿が闇に消えた。

無理矢理な形でプロローグ終わらせました


どうでもいいですけど、これ『猫撫ディストーション』のOP見て思いついただけなので本当にそこまで設定深くないです

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