緑に飲み込まれた街
どうも、お久しぶり(?)です。
駄菓子です。
ちょっと研修やらモンハンやらで遅れました、ええ。
とりあえず短いですが本文、どうぞ。
ーーふ~んふふふ~んふんーー
数日続いた嵐も通り過ぎ、台風一過なんて言葉を思い出すくらいには、よく晴れたある日。
ボクは今、珍しく鼻歌なんて歌いながら歩いている。
そしてボクの頭の上には、そのらしくもない鼻歌を歌っている原因がのっている。
ーーにゃーにゃにゃーにゃーーー
ボクの調子外れな鼻歌に、合わすように鳴いているこの子。
そう、マヨヒガっぽい場所で特になついてくれた、黒い子猫だ。
ボクはこの子を手懐けることに成功したのだ!
この小さく可愛いボクの同行人(同行猫?)は、賢いのか全然手間がかからない。
とりあえずボクは、この子を飢えさせたりしないように、ひもじい思いをさせないように、道中の木々から少しずつ、その果実を拝借してくことを決めた。
閑話休題。
まあ、そんなボクの誓いは置いといて。
いやまあ、置いといて良いものではない気がするけど…って危ない危ない、また思考が脱線するところだった。
ボクが今歩いている道は、かつては山間部のそれなりに大きな街だったんだろう、これまたそれなりに大きな道路だ。
元々、あったのであろう街路樹と、山の方から拡がって来たんだろう木々が、既に入り交じってしまっている。
メインストリート(多分だけどね?)に面していて、賑わっていたのであろう商店街。
その店達もその表面に蔦をびっしりと生やしていたり、雑草に覆われていたり。
すごいものでは大きな樹に、そのど真ん中を貫かれる様になっている店まである。
車なんかも、所々にあって、それら全ては錆びて、雑草に囲まれて、朽ち果てている。
座席のスポンジ部分は露出していて、そこから精一杯生きている草花が、太陽に向かって伸びている。
名も知らない白い花が、木漏れ日に照らされている様はあまりにも神秘的で。
でこぼこになった道路を、水玉模様に彩る水溜まりが反射して、そのレンズそれぞれに写す様々な風景は、息をすることも憚られる様な、そんな幻想的な光景が広がっている。
その光景が、この世界が確かに終わっているということを、静かに、優しく、だけど強く示しているようで。
ボクはそんな光景に見惚れながらも、少しだけ、ほんの少しだけ胸が痛むのを感じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この通りの先は、どうやら駅に続いてるらしい。
駅に近付けば近付く程に、建物は大きくなっていて、その分倒れている建物も、多くなっている気がする。
その瓦礫が多くなってきた道の向こうに、小さめの駅が見えてきた。
地殻変動か、はたまた地盤沈下か、それとも液状化現象なのかは、そういう知識が無いボクには分からないのだけれど。
駅は少し窪んだ所にあった。
当然、下り坂になっているわけだから、雨水はその駅の方に流れていっていたようで。
その周りは、ちょっとした池のようになっていた。
流れ込んで来ていない上に、今はほぼ無風だからか、その表面は静まりかえっている。
明鏡止水、なんて言葉があるけれど。
それはきっと、この目の前の光景の様なことを言うのかな?
正に鏡の様に上下に別れている、忘れ去られた駅。
昔はその体に、人を乗せて運んでいた鉄の馬車の姿は何処にもなくて。
それがどこか寂しそうに見えて。
でも、満足そうにも見えて。
人類がいつ頃から居なくなって、なんで居なくなったのか。
ボクには分からないし、解明する気も無いのだけれど。
残された…いや、遺されたその建物は。
少なくとも、後悔はしてなさそうに見えた。
ボクはその駅の中に、入ってみることにした。
幸い、池のようと言っても雨水だから、深いところでもボクの膝下くらいのようだし。
おもむろに、靴を脱ぎズボンを捲って濡れないようにした。
澄みきった揺らぎの無い水面に、波紋を起こすのにはちょっと躊躇したけれど。
ボクは水の中に足を入れた。
ーージャブジャブと、音をたてながら進む。
頭の上で黒猫が鳴く。
周りの木々で、蝉がその生を謳歌している。
街のどこからか、小鳥達が囀ずっている。
ジャブリ、ジャブリと。
ボクは歩みを進める。
その進路を遮る様に、鮮やかな緑色をした蛙が泳いで行った。
駅は次回となります。
まあ、作者の貧相な語彙で情景を描写できるのか、という不安はありますが。
それではまた次回に。
PS:ちなみに作者はエリアル大剣やってますw