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第12話: エピローグ

それから、毎日考えた。

ずっと一緒に寛哉といたい。 だったら、結婚はありなのか? こんな私でも、寛哉を幸せに導くことができるだろうか?


考えに考えた。

答えは・・・



「どうよ、あみ」

「うん、そうね。」

すぐに、先日のことだとわかった。


また、二人の大好きなビールを傾けながら、美味しいおつまみを出すお店で、和気藹々飲んでいた。


「寛哉さ、結婚に対して、どう思ってる?」

「結婚か・・・俺は、正直、それほどの願望がなかったな。趣味を一番に考えてたしな。それほど一生一緒にいようと思った女にも出会わなかったしな。今が、一番結婚を考えてるときなのかな。」

「そっか・・・で、結婚自体についてはどう思う?」

「一生一緒に生きるってことだろ?冷めることもあるだろうし、喧嘩もするだろうし、それでも一緒にいたいやつといるってことだろ?」

「ん・・・そっか。そうかもね。」


そこで、私はそのことに触れることを止めた。

今日は、寛哉と、楽しく飲みたい。 いつものように、ばかみたいな話で、とことん楽しく飲みたかったんだ。



「じゃ、そろそろ時間も時間だし、帰っか。」

「そうだね。」


夜道を、二人歩きながら、ほろ酔いも手伝って盛り上がっていた。



「寛ちゃん」

「なんだよ」

「あたしね、寛ちゃん大好きだよ。 今まで生きてきた中で、本当にいろんなこと教えてくれた人だよ。あたしが、リスタートのラインに立てたのって、寛ちゃんのおかげだよ。」

「んだよー、気持ちわりーなー」

「はははっ」

「あほか」

呆れながらも、笑ってる寛哉がいる。

ずっと、ずっと、このままでいたいな。


「あたしね、すんごく考えたんだ。 結婚、悪くないのかな?とか、寛哉、あたしでもいいのかな?とか。」

「当たりめーだろ〜。じゃなきゃ、『結婚すっか』なんて、言わねーぞ。 ほんと、あほか。」

ちょっと照れくさそうだね。

「うん、ありがとう。 でね、すんごくすんごく考えた結果さ、やっぱり、ここで別れるよ。」

「は?何言ってんの?」

「あたしね、今、どうしても結婚できない。 結婚・・・この先もできるかわかんない。 寛ちゃんのこと、心底信頼してる。 でも、だから、怖い。 今は、無理なんだと思う。 そのまま、待ってくれるってもし言ってくれたとして、それが重荷になる。 恋愛も、正直できない。そんな男と女って、本来有り得ないような気がする。」

「俺はさ、全てわかっててお前に言ったんだよ。」

「うん、そうだって思って私も言ってる。」

ちょっと沈黙が続いた。


「今日は、このまま帰ろうな。 で、明日、ちゃんと話そう。」

「わかった」


そのまま、二人は分かれた。


ごめんね、寛哉。

ありがとね。



翌日、寛哉から電話が来た。

「どうよ。」

「うん、変わらないよ。」

「そっか・・・」

「うん、ごめん。」

「お前・・・案外頑固だもんな。 ったく、頑固もの!」

笑って言う寛哉。

もう、言葉にはならなかった。

「じゃぁさ、一言だけ言うぞ。 絶対に幸せになれよ! もう、前のお前に戻んなよ!」

ふ・・・言葉なんて、出るわけないでしょ。 涙しか出ないよ。

「寛・・・」

「じゃぁな。もし、お前がどん底になるようなことがあったら、連絡しろよ。 それ以外は、二度とすんなよ。わかったな?」

「わかった。」


さよならだ。

本当にさよならなんだ。



きっと、寛哉は、私と一緒には生きれないよ。

結婚をせずに、このままの私たちの年齢でいられたら、ずっと一緒にいられるかもしれない。でも、私たちは、悲しいかな年を重ねてしまう。

そうなったら、きっと私たちは、変わってしまうだろう。 このままではいられない。

そのときの私を想像したなら、もう、結婚という道を選ぶことはできなかった。

寛哉は、私のような女ではなく、違うタイプの、自分とは全然似ていない女性と結婚した方が幸せになるような気がした。


まだ、私が自分に自信がないのかもしれない。

逃げてるのかもしれない。

もっと、時間が経ったら、違う二人になれたのかもしれない。

でも・・・

それほどの時間は、二人にとってたっぷりあるわけじゃない。


だから、別れを選んだよ。


寛哉、この先の私の人生、終焉を迎えるまであなたの幸せを願うからね。 ずっとずっと忘れないからね。 



私も、もう二度と恋愛をする気も、結婚をする気もないけれど、もしそんなときが来たなら、思いっ切り命を全うするからね。



さようなら。

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