第1夜
ーピンポーン
深夜4時、突然インターホンが鳴り響いた。
(ああ、また彼が来たのね)
眠たい眼を擦りつつ私は玄関へ向かい鍵を開けた。ガチャリ、と私がノブを回すより早くドアが開き見知った男が姿を見せる。
「よっ」
その男は疲れた笑みを浮かべてふわりと私を抱きしめた。彼の香水とお酒の香りが鼻をくすぐる。
「またフラフラになるまで飲んだのね...ほら、早く入って」
ため息混じりでそう告げ男を中に招き入れた。適当に靴を放り部屋に入ると先程まで私が眠っていた布団に倒れ込む。
それを視界の端で捉えながらグラスに水を注ぎ、彼に差し出した。
「さんきゅ」
勢いよく飲み干しグラスを置くと、私の手を引き胸に抱き込んだ。彼の香りと熱が私の身体を包む。この瞬間が私は堪らなく好きだった。
「マコちゃーん」
名前を呼ばれ私が見上げると意地悪な笑みを浮かべた彼と目が合う。
「はい、マコちゃんからチューして」
「嫌だ」
たまにはいいでしょ、と駄々をこねる彼の腕から抜け出そうとしたその時、ぐるりと視界が反転した。
視界に映ったのは笑みを浮かべた彼の顔と真っ白な天井。あ、と思った時には唇に柔らかな感触と熱があった。
「キスの時は目を閉じるのがマナーでしょ」
クスクスと笑いながら頬に、額にキスを降らせる彼。
「顔真っ赤」
(だってしょうがないじゃない、慣れてないんだから)
でもそんな事は言わない。だって彼は遊びなのだから。貴方が初めてだなんて言ったらきっと重いでしょう?
唇は頬から首筋へと移る。
「...ん...」
ピクリと身体が反応すると同時に吐息混じりの声が出てしまう。
それに気を良くしたのか、私の着ていたパーカーの裾からするりと手が滑り込んでくる。脇腹を撫で上げ、胸の膨らみに手が伸びる。
「...しよっか」
彼の囁きに頷くのが精一杯だった。
それと同時に激しく口付けられ、そのまま快楽の中に溺れていった。
(好き、大好き)
声に出すことも叶わない想いを、ひたすら心の中で繰り返しながら...。