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夜のコンビニ

作者: オスカー伯爵

本当に短い話です。

気に入って頂ければいいのですが。

私は自分のかじかんだ手に息を当てた。

「寒いなぁ。」



ぽつっと言ってみる。

コンビニの自動ドアが開いた。温かい空気がわたしにまとわりつく。

「いらっしゃいませ。」


冷たい声も、ついでに私の体に纏わりついた。

私は入ったらすぐお菓子コーナーに向かう。


百鬼夜行チョコ。



それだけを持ってレジへ。




「148円になります。」

割高である。


「よくこんなもの毎日買いますね。」


「はまっちゃって。」


「シール集めてなにするんすか。」


「達成感を感じてハッピーになる。」



「アホっすね。」


「今はスーパーレアがなかなか出ないのが悩みです。」


「またのご来店お待ちしてます。」



ピリッ



「ぬらりひょんがでた。」





「ねぇ、スーパーレア。」


「あ、俺にいってたんすか。そりゃよかったっすね。」


一応誉めてくれた。


「嬉しいからおでん買うことにします。」


「そんなら毎回スーパーレア当ててください。」



おでんがホカホカ。2日目のたまごとちくわが好きだった。

「だいこんとたまごとちくわお願いします。」


「はい。」



匂いが食欲を誘う。

1つずつ入れられたおでん。ゆっくり食べよう。スーパーレアも当てて今日はいい日だ。


「いつまでこんなこと続けるんすか?」 「ずっと。」

「俺もうすぐここやめますよ。」

「嘘よ。私ももうすぐ集め終わるからやめる。」



さびしいね。なんだか。





「温かくなったらまた何か集め始めようかな。」

「俺はいないですけどね。」




「満足した?」

「まぁ。シール集め終わったらのつもりでしたし。」

「そう。」

「コンビニ、ちゃんと有効活用してくださいね。これからの人生長いんすから。」

「してた。夜遅くでも開いてる。」




彼は笑った。





「寒いっすね。」

「もうすぐ春よ。」



彼が最後によそってくれたおでんの暖かさを感じながら、私は自動ドアを出る。



「成仏おめでとう。」

雪が降っていた外。頬にふれた瞬間。

涙のように下におちた。



暖かさと温かさ。

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