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「お兄さん、なんて呼べばいいですか?」


ライアンに運ばれて国王の私室に向かっている茉莉は自身を抱き上げている人に尋ねる。


「なんと呼んでくれてもかまわない。降り人殿は陛下と同等の身分だからな。」


じゃあなんで私に対して敬語じゃないのか?と若干疑問に思いつつも年上に敬語で話されるのは気まずいので別にいいやというのが茉莉の見解である。


「ライアンさんって呼びますね。」

「ああ」


それよりも王様のこと陛下って呼んだ方がいいのかもしれないと茉莉は考えている。

同等ってことはワンチャン逆らったら死ぬかもしれない。茉莉はアルベーヌのプライドが山のように高くないことを願っておく。


にしても会話続かないな〜。


結構無口な人なのかもしれないと思い茉莉は口をつぐみ城の内装をじっくり観察することにした。

ところどころいろんな人と遭遇し全員が驚愕の表情を浮かべていた。特に剣を持ってる人にそれは顕著に出ていた。

騎士団長に運ばれてるから罪人に思われてるのかな

そんな茉莉の考えは結論を出すことなく一つの部屋に入った。


「この国の重要人物となるお方だ。陛下の私室の使用許可も庇護もある。来たる時まで情報を漏らすこと、詮索をすることを禁止する!丁重にもてなすように。」

「「「「「承知しました」」」」」


国の重鎮であるライアンにそう命令され国王の私室で待機していた侍女達は全員気を引き締めて返事をした。

なんだが大袈裟だなぁ〜とは茉莉の心中だ。


「私が浴室までお運びします。それ以降は侍女達にお任せください。・・・マツリ殿がご入浴を希望されている。側に付かないものは着替えを用意してこい。」


ライアンは簡潔に説明をし、侍女達を動かす。

今度は敬語だ。この人は混ぜてしゃべるんだなと茉莉が解釈している間、ライアンは大股でずんずんと部屋の奥に進んでいき、ひとつの扉を開けた。

そこには3人があしを伸ばしても十分入れる大きさの風呂があり、すでにお湯は張ってあった。中央からお湯が噴き出しておりこの国は水が豊富なのかもしれないと茉莉は思った。

ライアンは茉莉をおろし、一緒に抱えてきた毛布を茉莉の腰に巻き直す。

しゃがんでいるライアンの肩に手を乗せて茉莉は久方ぶりの床を踏みしめる。

大理石の床は少しひんやりしていて足が冷えた。足先をもぞもぞ動かしていると毛布を巻き終えたライアンが立ち上がった。それと同時に侍女が3人浴室に入ってきて、入れ替わるようにライアンが出ていった。


「私共がご入浴のお手伝いをさせていただきます。」


年長者っぽい人が代表して言葉を述べ3人が同時に頭を下げる。


「よろしくお願いします。」


パーカーだけ自分で脱ぎ、なんの抵抗もなく侍女3人に身を任せた。





頭や体を洗われてる間、茉莉はたくさん話した。

1番年上の人は侍女長らしく名前はアンナというらしい。今日の朝、王様に命令されてしばらくは茉莉の側にいるとのことだ。

他2人はルナ、ミレーネと言い2人とも結構おしゃべりだった。


「「「(マツリ様は陛下のお妃になられる方なんだわ!)」」」


とは侍女達の心の中だ。

31にもなって側室1人いないというのは臣下として不安なことなのかもしれない。

お風呂から上がると着替えが用意してありそれはドレスだった。淡いパステルカラーのピンクのドレスは茉莉の白い肌によく似合うだろうとのことで選ばれたものだ。ドレスは白いレースがところどころに入っていてシルバーの刺繍が裾に施されていた。


複数の侍女達に着替えを手伝ってもらった茉莉だが、あまりの動きづらさに顔を顰めた。

動きたくなくて寝室の手前にある控え室のソファでだらぁっとしていると20分ほど前に部屋をでた侍女長がライアンを伴って帰ってきた。

ライアンは茉莉を見た途端動きが止まったが、何事もなかったかのように茉莉を抱え、再び国王の執務室に向かった。


「私、1人で歩けます。」


茉莉はライアンにそう言うが、あまりいい顔をしない。


「申し訳ないのだが、護衛が足りない。速く移動するためにも少し我慢してはいただけないだろうか?」

「分かりました。」


実際、ライアンは茉莉を歩かせる気でいたが、この世のものとは思えない、浮世離れした姿に危険だと判断して最速で移動する手段をとった。

その結果が縦抱きだった。

縦抱きは茉莉が幼く見えることの表れでもあった。

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