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34. 屋台でしっかり食べると高い

あの後、思ったよりも家から遠いことに萎えつつ帰宅した。


そして恒例の白石と夕食。

こういう学校のある日も作ってくれるのだから頭が上がらない。


「そういえば、明日は花火大会ですね」


「そうだな」


「黒田くんは誰かと行かれるんですか?」


「あぁ、祐人に誘われたな」


オレは言いながら違和感を覚える。

花火大会なんてイベントは普通カップルで行くものではないのだろうか。


教室で浅村君が白石を誘っていたように、特別な景色を特別な人と観に行きたいという気持ちがあるのではないか。


もしかしたら蒼井が白石と一緒に行く可能性もあるしな。

聞いてみるか。


「そうですか。てっきり行きたがらないかと思ってました」

オレの答えに少し意外そうに白石は言う。


確かにオレなら断る可能性の方が高い。

なんなら1度断ってるしな。


あれは祐人の誘いが上手かっただけだ。


それに、例えば紫条や緑川会長に誘われたら断ってる。

目立つからな。


「そういうお前はどうなんだ?」


「私も蒼井さんにお誘いいただきました」


オレの疑問を解決する答えが返ってきた。

だから祐人はオレを誘ったということか。


蒼井が祐人より白石と行くことを選んだのは意外だが、そういうこともあるのだろう。


「そうか。仲良くなれたようで良かったな」


「はい、黒田くんのおかげです」


「そんなことない。あいつは好き嫌いがハッキリしてるから相当気に入らないと自分から誘うことはないくらいだ」


その性格だからこそクラスからの信頼も得られているのだろうがな。


「黒田くんがそう言うなら安心です」


「そういえば、もうすぐ夏休みも終わるが、この料理教室はどうする?」


オレは始まった当初から思っていた疑問を吐き出す。


今は夏休みで学校もなく、お互い帰宅部なためあちらから何か言われない限りは甘えさせてもらおうと何も言わなかったが、流石に学校が始まってもこの生活を続けるのは申し訳ない。


オレも成長して包丁で具材を切ったり下処理といった部分は手伝ってるが、その他の大部分は白石に任せている。

平日にそれをさせるのはいくらオレでも罪悪感を覚えるというものだ。


「どうする、といいますと?」


「流石に9月からは学校もあるし忙しいだろう?白石の都合のつく日程に変更してもいいんじゃないかと思ってな」


「そうですか…。ですが、今のところは変えるつもりはありませんよ。お気遣いありがとうございます」


「そうか。だが、しんどかったら流石に言ってくれよ。それと、これに気を遣って寄り道とかできないとかは無しな」


今日の一件もあり、蒼井とも仲良くなった白石はクラスの距離が縮まるほど誘いを受けるだろう。


そうなった時にオレに気を遣って断るというのはよろしくない。


「わかりました。ですが黒田くんも同じですからね」


「あぁ、お互いにその辺はちょうどよくしていこう。まずは明日はお休みな」


「ふふっ。ええ、そうですね。明日は外で済ませましょう」


祭りの屋台でしっかり食べようとすると高くつくが、夜も遅くに家で作るのも大変だ。

言う必要ないかもしれないが、こいつならやりかねないからな。



そうして、いつも通りゆっくり過ごしていい時間になった。


「それじゃあ、明日は(各自)楽しもうな」


「はいっ。明日は楽しみましょうね。それではおやすみなさい」


そう言って白石は自部屋に帰った。


祐人がオレを祭りに必死に誘ったこと。

蒼井と白石が祭りに行くこと。


流石に考えすぎか。

先輩のストーカーについて考えていたせいで無駄な思考までしているだけだろう。


オレはもう1杯ハーブティを飲んで心を落ち着けて明日に備えることとした。

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