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(閑話)白石美優のある夏の日

(白石美優視点)


「ごめん、待たせた?」


「いえ、私も今来たところですよ」


夏休みのある日、私白石美優はショッピング施設で待ち合わせていました。


待ち合わせの相手は蒼井瑠奈さん。

私の数少ない友人です。


今日は学校に入れないということで蒼井さんが所属している陸上部もお休みということだそうです。


「今日はありがとね、時間取ってくれて」


「いえ、暇でしたのでむしろこちらこそお誘いくださり、ありがとうございます。でも、赤城君と出かけなくて良かったのですか?」


彼女は同じくクラスメイトの赤城佑人君とお付き合いしています。

美男美女でお似合いのカップルとして学校でも最も有名なお二人です。


せっかくの休みなら一緒にデートなどに行きたくなるものではないのでしょうか。


「いいのよ。佑人とはいつでも会えるし。それにあっちも友達とプールに行ってるんだって。それよりさ、今日はせっかく女同士だし、服とか見に行こうよ」


蒼井さんがそう言うなら気にするのも失礼ですね。


「はいっ。ぜひ行きましょう」


そうして蒼井さんとアパレルや雑貨店などを巡りました。


「これ美優に似合うんじゃない?」


「ありがとうございます。こちらは蒼井さんに似合いそうですね」



「見てください、これ可愛くないですか?」


「確かに〜。部屋に置いときたいかも」




「はぁ〜っ、疲れたねー。ちょっと休憩しない?」


「そうですね。ちょうどあちらにカフェがあるので入りましょうか」


そうして各々注文を済ませ席に着きます。

私はアイスティーを、蒼井さんはフラッペのようなものにクリームが盛られている飲み物を注文しました。


すごい、ああいうのを飲んでもスタイルが維持されているのですから羨ましい限りです。


「ところでさ、体育祭についてなんだけどどうすんの?」


「どうするの?というと?」

質問の意味が分からなかった私はそのまま聞き返します。


「いや、私と佑人は普通に仲良いし練習できるけどさ、美優と黒田はどうすんのかなって」


練習。

そう言われて確かにどこかのタイミングで二人三脚の練習が必要なのを思い出しました。


誘うこと自体はいつでも会えるので簡単なのですが、蒼井さんには一応内緒なので惚ける必要がありそうですね。


「確かに私と黒田くんは接点がありませんね。そういえば蒼井さんや赤城君は黒田くんと仲がよろしいですよね」


「まぁ、ね。中学も同じだし佑人が特に仲良いからね」


「黒田くんはどのような方なんですか?」


知っていますが、付き合いの長い蒼井さんの前だとどのような感じなのか気になってそんなことを聞いてしまいます。


もちろん黒田くんとは何もないですというアピールも込みです。


「あいつはねぇ…、すっごく面倒くさがりよ。夏休みとか1歩も家を出ない勢いなんじゃない?けど…」


「けど?」


「なんだかんだ人の為には行動してくれるのよね。私も佑人も結構助けられてる」

蒼井さんは不服そうな表情で黒田くんのいい所を挙げます。


「ふふっ、そうなんですね」


私の知ってる黒田くんを共有できたような気になって何となく嬉しい気持ちが込み上げてきます。


「だから美優が頼めば動いてくれるとは思うわよ。まぁ本人は目立ちたくないから適当な理由をつけて断るかもしれないけどね」


そういうやつよ。と笑いながら蒼井さんは話しました。

やはり自分のためだと言いつつ人の為に動けるのですね。


「アドバイスありがとうございます。それを考慮して誘ってみますね」


「うん、それがいいわ。ところでさ、」


「はい?」


「どうして美優は二人三脚に立候補したの?」


蒼井さんは何食わぬ顔で聞いてきました。


「どうして、と言いますと?」


「いや、あの時別に美優が立候補しなくても黒田のペアは決まったんじゃないかなって思ってさ」


蒼井さんの鋭い指摘に言い訳を考えます。

あのクラスマッチ以降、黒田くんの女子人気は密かに上昇しています。


顔立ちも整っていて(本人は否定しますが)、他の男子と違って大人っぽい、その上でスポーツまでできるというのです。当然と言えば当然なのですが。


蒼井さんの指摘は尤もで他の女子生徒がペアに立候補した可能性は高かったでしょう。

そのような声がヒソヒソと聞こえてきたのも事実です。


「そうですね、黒田くんには申し訳ありませんが、もしあの時手を上げずにいて、男子のようにじゃんけんか何かで決めて嫌な思いをする人が出るのを危惧しました。私としては黒田くんがペアでも構いませんでしたので」


黒田くんが私に言うように、それっぽい言い訳を並べ立ててみます。


「ふぅ〜ん。てっきり黒田と仲がいいからって思ってたんだけどね」


「いえ、確かに1度関わる機会はありましたが、それ以降は特に関われていませんし」


「ふぅーん…。まぁそういうことにしとくわね」


蒼井さんは納得はいってないようですが、これ以上何か聞いてくることはありませんでした。


黒田くん、恐らく無事ごまかせましたよ。


その後は赤城君と蒼井さんがどこでどんな練習をしているかなどを聞きつつ、他愛もない話をして過ごしました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

黒田くんを誘って先日聞いた場所で二人三脚の練習をすることになりました。


案の定黒田くんは嫌がりましたが、逃げ道を塞いでしまえば大人しいものです。


軽く準備運動をしていろいろな走り方を試していくという形で練習を開始します。


しかし、ここで大変なことに気づきました。

二人三脚ですと黒田くんにくっつくのです。


こうして触れていると黒田くんも男の子なんだなぁと感じてドキドキしてしまいます。


私、汗くさくないでしょうか。


こんな汗だくの女とくっついて黒田くんは嫌な思いをしていないでしょうか。


不安になったのでそれを吹き飛ばすために必死に練習します。


そんなこと気にならないくらい疲れてしまえばこっちのものです。


そうして10数本走った後、流石に疲れ果てました。


心臓の音が鳴り止まないのは何本も走ったからでしょう。

きっとそうに違いありません。


次回をどうするか考えましたが、毎日だと身が持たないので数日置きにすることにしました。

何となく惜しい気もしますが仕方ありません。


何となく黒田くんの顔を見ることが出来ないのでマンションに着くや否や解散しました。


心臓に悪いので早く慣れる必要がありますね。


その後は適度に疲れたことでぐっすり眠ることができました。

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