入居希望の母子
7月初め。
日曜の朝方だった 早くも蝉の合唱が始まり煩いほどだ
今日もうだるような暑さの幕開けだ
前嶋 立夫は スマホが鳴るので 目をこすりながら見たら 安田からだった
安田は町内で民生委員をしているが 駅前で賃貸部屋の斡旋屋をしており、50過ぎの頭の禿げた男だ。愛想がいい
「前島さん 入居したい人がいるんですよ この前の独居老人が亡くなった部屋が空いてるでしょ?そこにお願いしたいのですが」
前嶋は文化アパートを持っている。古いが交通至便なのですぐ満室になるが 安田の言う通りで確かに一室空いているのだ
「構わないが 一人暮らしの老人は懲りごりだぜ 死なれて往生したよ あんたの世話する入居者はロクな人いねーからな」
「あはは 申し訳ないです そうおっしゃらずにお願いしますよ 今までだって アレをお世話しているじゃないですか」
安田の言うアレとは 生活保護を受ける女のことだ 困窮している足元を見て エンコウしないかと持ち掛けて 前島のような比較的裕福な男に世話しているのだ・・つまり 民生委員と言う立場を利用し 人助けを名目に女のあっせんだ
そうは言いつつ 前嶋はそんな安田から3人ほど回してもらった経緯があるから 突っぱねることはできない
安田は母子であると話した 和歌山からこちらに引っ越してきたのはいいが 生活保護を受けているので 前島の文化アパートが身相応ってわけだ
「権利金敷金なしで 1万円でお願いしますよ 」
「おいおい 冗談じゃないぜ いくらボロアパートでも2万5千は取れるんだぜ」
「そこをなんとかお願いします 保護費が支給されたらあと一万は払えますから」
前嶋のアパートはそんな暮らし向きのモノばかり入居している
「母子家庭か、しょうがねーなあ・・連れてきなよ 風呂のないことは言ってくれてるかい?」
「はい、それはもう 説明しています その母子の事ですがね・・再婚相手探してるらしいですよ・・
その辺もどうかなと思いましてね・・」
「俺にかい?」
「そうです 年は36歳で 丁度いいかと・・えへへ」
電話の向こうで下卑た含み笑いだ
前嶋は丁度50歳 3年前に妻と別れたが簡単ではなかった 立夫の浮気が原因で慰謝料などでさんざんむしり取られ資産は半分に減った
二階建ての文化アパートは手放さずに済んだ・・敷地の一画をコンビニの店舗に貸しており 子供はいなく 贅沢をしない限り 食うには困らない。 結婚なんてこりごりとは思いつつ 50ともなると一人暮らしはわびしいもんだ
安田から回してもらう売春のエンコウ女は 口を開けば無心だ、どれも年増に加え貪欲女ときたらいい加減ににうんざりしていた。
いい女がいればもう一度再婚してもと本心では思っていた
が、しかし子連れなんて論外だと思ったが 暇つぶしに会うことにした
炎天下の昼回ってまもなく安田に伴って 母子がやってきた
母親は36と訊いていたが もう少し若く見える
うしろに くっつくようにして二人の娘が見えた
(ん?連れ子は2人なのか?)
母親はブラウスにスカート 娘はTシャツにデニムの短パンだ 3人が立夫にベコンと頭を下げた
暑い日差しで汗びっしょりだ 母親のブラウスが 汗で下着まで透けて見え 豊満な胸をした女である。ムッチリ尻に立夫の視線が張り付く。 顔は可もなく不可もなくと言いたいがどちらかと言うと下めだ
それより娘に目を奪われた どちらも美少女だ 母親とは似ても似つかぬ可愛い顔しており身長もあり
母親に劣らぬ豊かな肢体だった デニムの下に伸びる太腿が眩しい・・
エロ好きの立夫の好みだ。一発で股間が反応したほどだ
文化アパートに案内したが アパートとは名だけで 昔は学生の下宿寮で風呂はなくトイレも共同だ
蒸し風呂のような暑さに安田が音を上げた
「死にそうだぜ・・こんなところとても住めないぜ」
そこを早々に出て 契約するために 一階にある立夫の自宅に招き入れた 管理人室も兼ねている部屋だ。
「あんな部屋だが 今夜からでも入居可能ですよ」 電気の通電やガスの開栓は電話一本で済むことを説明した
立夫はその親子を観察したが ニコニコしていて印象は悪くない
3人にとって不服などあろうはずもない 行くところとてなく 入居したいと即座に言った
荷物って特になく 段ボールで数個程度で明日には届くと言った 家電なんかはないと言う、身の軽さだ どうゃって生活してたのかと不思議なほどだが・・和歌山で住み込みで民宿の仲居をしていたというからなんとなく納得だ
契約の話になったが 安田は手招きして立夫を別の部屋にいれてささやいた
「前嶋さん あんた目の保養にするつもりでさ・・世話してやってくれないかね・・
それに 母子ともにいい体してるしさ・・話の持ち掛けようですよ」 と 指の間に親指を通した それはアレを意味しているのだ
3日後に生活保護費を前倒ししてもらってくるからそれまで 3人を頼むぜ
安田は逃げるようにして前島宅を出てぃった
(目の保養か・・)
立夫は自嘲しながら3人をみたら リビングのソファで着替えをしているではないか
立夫が部屋に入って来ても たじろぐこともなく自然体であり 下着一枚になり 惜しげもなく豊満な肢体を見せつけた。 安田の言う通りで3人とも確かに目の保養になる・・
(こいつは 思わぬ拾い物が飛び込んできたな)と 立夫は思った