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サラ

これまで気になっていた部分を改作します。

最後のエピソードまで行ったら、新エピソードも書いてゆきます。

どうか、暖かく見守っていてください。

私は、門を通過してくる修道女風の女性を待って、声をかけた。

「ねぇ…これ、どういうことですか?私には心当たりが無いんですけど…」

「うふふ。簡単に言うとこれはあの方のご配慮ということです。…この先にお茶とスイーツのお店がありますから、そこで一休みしながら、お話ししましょう。」


私たち3人は、店先の大きなシェードの下に陣取って、思い思いの飲み物とケーキなどを前に、そのサラという女性が説明してくれるのを待った。

「じゃぁ、私のことを説明しますね。その前に…」

フーッと息をはきながら、修道女風の女性は被っていたウィンプルのようなものを取った。艶やかな淡いオリーブ色の髪がふわりと広がる。抜けるような白い肌にアースアイが印象的で、ちょっと非現実的な雰囲気が漂っている。

「綺麗…大地聖教会の女神様にそっくり…」

あっ気にとられた感じでつぶやいたセシオラに向かって、その女性はにっこり微笑みながら自分のことを説明し始めた。

「私はサラ・セントマリアと申します。ルナさん初めまして。そちらの方は…」

「あ、セシオラです。ルナさんはこの国に着いたばかりで勝手がわからないだろうから、ついて行ってやれって、父から言われて…」

「この子は、私が今泊まってる宿屋の娘さんなのよ。今日は王都に用事があったのだけど、不案内だったから付いてきてもらったの。」

「そうだったんですね。私は一応、大地聖教会の特別枢機卿ということになっていますが、まぁ、活動するのに都合が良いからそうして貰っているので、聖職者というわけではありません。」

「え、教会にそんな人が居るんですか?」

「もちろん、教会のお仕事は時々はしますよ?」

「時々だなんて。なんだけついでに教会のお仕事をしているみたい…」

私もセシオラさんも、サラの答えを聞いてあっけにとられている。

「もちろんついでですよ。私は、あの方の要望を直接叶えるために動いているのが普通ですもの。というか、私自身があの方の一部と言った方が良いかも。」

「現に、今日ここに来た目的は、あの方がルナさんににされた約束を果たすためでした。教会から発行された身元保証書を届けるためだったこともありますけど。」

「あの方って?」

「セシオラさん、それは大地聖教会の大切な秘密なの。教えてもいいけど、もしそのことを他の人に漏らしたら…恐ろしい罰が待ってるかもしれませんよ。それでも聞きたい?」

「え…そんなに凄い秘密なんですか?ちょっと怖いけど…」

「でも、気になるでしょう?。」

「はい。私、気になりだすと夜もねむれなくなっちゃうし…」

「ふふふ…教えちゃいましょうか?」

完全に遊んでる様子のサラを見て、私は呆れていた。だいたい、あの人が誰であるのかわかったって、たいしたことはないはずだ。

「うう…。もう好きにしてください!」

「貴女が何かを見たり聞いたりして、それで貴女が勝手に思ったことを言いふらされても、罰はありませんよね。」

そんなことを言いながらサラは、自分の身元証明書をわざとらしくテーブルの上に置いて、裏面に描かれている女神の絵の上を指でトントンと叩いている。

その指の動きを見て、セシオラさんはゴクリと唾を呑み込んだ。

「ま、まさか…あの方って、女神アスタルテ様…」

暫くサラの指の動きを固まったまた見ていたセシオラさんだったけど、突然くだけた調子で声をあげた。

「ないない、アスタルテ様の要望を直接叶える人が、こんなふざけた人のはずがありません。それに、アスタルテ様の一部だなんて。そんな話、伝説としても聞いたこともないもの。いいです!私もう気にしないことにします。」

「あら、せっかく楽しめると思ったのに…残念ね」

大変な美人のくせに、思い通りにセシオラで遊べなくて頬を膨らませているサラを見て、私はちょっと可愛いと思ってしまった。

そんなことを思っていると、私の方に話が飛んできた。

「でも、ルナさんは信じてくれるんでしょう?」

「へ?貴女が女神様の要望を叶える人だってこと?そんなこと言われても…」

「昨夜、直接お話があったはずですけど?私、あの方から聞きましたわ。ルナさんのところに行ったって。」

「あ!そういえば、妙にはっきりした夢を見たわ…でも夢の内容は誰にも言ってないから、貴女がそれを知ってるってことは…あれは夢なんかじゃなくって、本当にあったってこと?」

「それ、あの方が聞いたら泣きますよ?珍しく姿を現してお話したのに、夢だと思われてただなんて。」

「だって…普通信じられないでしょ。あ!じゃぁ、私のところに誰か寄越すみたいなこと言ってたけど、貴女のことだったんだ。」

「はい。そのとおりです。これからよろしくお願いしますね。」

「ちょ、ちょっと待ってよ。貴女と一緒に暮らすとか、急にそんなこと言われても…まだお家も決めてないし。」

「だったらちょうどいいじゃないですか。二人で住めるお家を探せば。それに、教会に逆戻りなんて嫌ですよ。そんなことになったら、メチャクチャばかにされて、雑用を色々と押し付けられそうです。」

「そんなこと言われても…私にだって心の準備も要りますし…」

「私、結構役に立つんですよ。普通の人にはできないことができます。」

「例えばどんなことよ?」

「んー、例えば…地震、起こせます!でも、強弱の加減が難しくて、M8以上になっちゃいますけど…」

「何、それ…邪神じゃない!」

「他には噴火とか。ほら、あそこに見えてる山なんか、マグマの活動が活発だから、10分以内に噴火させられますよ。ちょっとやってみましょうか?」

「やらんでいい!」

うわぁー、セシオラさん顔が引きつってるっていうか、思い切り引いてます。でも本当にできそうな気がするわ。何しろこの星とも意識が繋がっているらしいから、地面の下の活動には影響を与えられるのかもしれない。

「もう…冗談ばっかり言って。何か役に立つようなこととはないの?」

私は引きつった笑顔で冗談という妥協点を提案した。

「冗談じゃないんですけど…あ、そうだ。お料理は得意。何しろ長年の知識と技術の蓄積がありますからね。」

「ほー、いいじゃない。それを最初に言いなさいよ。お掃除やお洗濯もできる?」

「はい。私のことを知らないシスターとかに散々こき使われましたので、要領は掴んでます。」

「わかったわ。家政婦にうってつけってわけね。いいでしょう。家政婦代わりに同居を認めます。」

「家政婦…ちょっと悲しいです。他にもここでは言えない特技があったのに…でもまぁ、先は長いから、私の良さを追い追いわからせて差し上げますわ。」

きしし、という声が聞こえそうなほどたちの悪そうな顔をして微笑んでいる。

「言っておくけど、いつでも解雇しますからね。」

「え…まじ?」

「今日はこの後、不動産屋さんに行って、これから住む家を探すのよ。家政婦としての意見を聞いてあげるから、貴女もいらっしゃい。」

「うー、家政婦さんになるつもりはなかったのですけど…あくまで、この先の人生を共に歩むパートナーとして来たのに…」

「そうよ。家政婦のパートナーとして共に歩んでくださいね。」

「ひどい。でも住むお家は重要ですから、しっかり意見は言わせていただきます。」

「サラさん。今のやりとりで、私、確信しました。貴女はアスタルテ様とは完全に無縁だって。」

「そんなぁ…」

ばかな話ばかりしてるからだ。まったく自業自得である。

「さぁ、そろそろ不動産屋さんに行きますよ。貴重な時間をバカなお話で潰すのは勿体無いないもの。」

「あ…はい。」

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