表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/44

夜のできごとと私について

これまで気になっていた部分を改作します。

最後のエピソードまで行ったら、新エピソードも書いてゆきます。

どうか、暖かく見守っていてください。

当面の居場所は確保できたのだけど、これはあくまで暫定的なこと。いつまでも宿屋に泊まっていることはできない。ちゃんとお仕事をするには家が必要だろうし、亡きアスターシャの要望に応えるにしても拠点が必要だ。そのため私は、王都の不動産屋を訪ねて物件をいくつか紹介してもらうことにした。良いところが見つかるといいのだけど…


さてその夜。

私は不思議な夢をみた。いえ、本当は夢じゃなかったのかもしれない。何かの気配でふと目が覚めた気がしたのだ。見ると、部屋の真ん中がほんのり光っていて、その光が徐々に強まってくる。何が起こってるの?と思いながらも、不思議と怖い感じはしなかった。すると私の頭の中に何かの声が響いた気がした。最初は何を言っているのかよくわからなかったけれど、意識を集中しているうちに意味がわかってきた。

「ルナさん、私はあなた方が地球って呼んでいるこの星そのものの意識体です。今の時代には女神アスタルテと呼ばれています。私は、貴女が、この星の環境が悪化しないように尽くしてくれてきたことは知っていました。先日貴女が、人にとっては長い5000年という任務の期間を終えられたことを知って、これまでの尽力に対して感謝の気持ちを持って労いたかったので、こうして声をかけさせていただきました。長い間本当にありがとうございました。その感謝の印に一つ贈り物を差し上げたい。

貴女の身体はまだまだ衰えることが無いのは知っています。一方で、貴女以外の人間の寿命はあまりにも短い。親しい者の老いと消滅を貴女は何度も経験されて来たし、これからもされるでしょう。やるべき任務もなくなった貴女は、そんなとき孤独を強く感じ絶望さえするかもしれません。そんな運命を持った貴女を長く支えられるように、貴女に連れ添える者を遣わしたいと思います。長いことこの星の環境悪化を防いでくれた感謝の印として。そして今後も、環境の悪化につながることを目にした時には、それを良い方に導いてくださることを期待して。

明日には、その者に貴女の下を訪ねさせます。この者はいわば私の分身で、私の意識が実体化したものですので、何らかの事故で体が消滅したとしても、いずれは再生して貴女の所に戻ってきます。」

「まさか…女神様だなんて。これまで、契約の切れたエージェントには全て、このようなお取り計らいをされてきたんですね?」

女神様の優しさに感服して、思わずそう確認すると、女神様は少しはにかんだように答えた。

「いえ…そういうわけではありません。私にも好ききらはありますので…」

どうやらこの女神は、私の

では、これからも潤いのある人生を…」

光がだんだん薄れ、消える直前に一瞬、一つの球を抱いた美しい女性の姿が浮かび、そして宙に霧散していった…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今から25,000年前に栄えた人類の文明は、人類が長年排出してきた温室効果ガスによる温暖化で引き起こされた、災害の激甚化、感染症の流行、食料作物の不足などのいくつもの困難の中で滅びていった。人類は、温室効果ガスを排出せず、環境を改善する道を必死に模索したが、有効な解決策を見出すことはできなかったのだ。文明の末期には、大きく人口を減らした人類の受け皿として、人工の衛星であるスペースコロニーを建設し移住する計画も実行に移された。この計画は2段階で構成されていた。第1段階はベースと呼ばれる、コロニーが自立できる資源とエネルギー循環の仕組みをもった人工の小惑星を、宇宙空間に建設すること。第2段階は、人間の生活に必要なインフラと社会を動かす仕組みを、第1段階で建設したベースに追加することであった。しかし、第1段階のベース建設はなんとか完了させることができたものの、第二段階への移行の時点では、人類はそれに充てることのできるリソースを既に喪失しており、スペースコロニーの建設は遂に断念せざるを得なくなったのだった。

それでもなお当時の為政者は、ごく一部の人々が長い時間を生き延びて再び繁栄の時を再び迎えることを信じて、文明が再度発展する際の手助けとすべく、自然科学と社会科学の各分野のエージェントを、完成していたベースの中にコールドスリープで待機させ、必要となった時点で彼らを覚醒させて地球に送り込み、人類の文明の早期再生と健全な育成を彼らに託すこととしたのである。

こうしたエージェントは、目覚めてから5000年にわたる長期間のミッションが与えられ、これを遂行できるように、当時飛躍的な発展を遂げた生命工学によってDNAレベルで肉体を改変されていた。彼らの肉体はほとんど歳を取らず、身体能力は普通の人間の5倍ほども高く、ベースと直接通信を行う機能を有する特殊な器官が体内に形成されていた。また、ベースを司るAIは彼らエージェントに対し最大限の支援を与えてくれるよう、プログラムされることとなった

ルナはこうしたエージェントの中の最後の一人であった。彼女に与えられた任務は、社会統治機構の発展支援とグローバルな環境の維持で、過去の経験に照らして、好ましくない社会統治機構や環境に有害な影響を及ぼすプロジェクトは、適正な方向に伸ばすとともに、必要に応じて潰すというものであった。

彼女以外のエージェントがどうなったかはルナの関心事項ではあったが、ベースを運営しているAIに訊いても、禁則事項に触れるとして、関連する情報は一切得られないでいた。

ただ、ルナが目覚めたときには既に、金属精錬等の素材技術や、燃焼による動力機関の存在など、先任のエージェントが手助けしたと思われる文明の発展が見てとれたことから、各エージェントの役割に応じて異なる時期に何人かが目覚めたのだろうとは推測できた。

そういった意味でルナは、自分がこの世界でたった一人の特殊な人類であることを時に強く意識して、寂しく思うこともあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ